>>663
第四十三條 國ノ權力カ事實上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶對的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、
成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ囘復確保スル爲施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ盡スヘシ。

そしてポツダム宣言では・・・

「ポツダム」共同宣言(米、英、支三國宣言)


 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隸化セントシ又ハ國民トシテ滅亡セシメントスルノ意圖ヲ有スルモノニ非ザルモ
吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰爭犯罪人ニ對シテハ嚴重ナル處罰ヲ加ヘラルベシ
日本國政府ハ日本國國民ノ間ニ於ケル 『民主主義的傾向ノ復活強化ニ對スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ』
言論宗ヘ及思想ノ自由竝ニ基本的人權ノ尊重ハ確立セラルベシ

……を以て、改革す可きは帝國憲法自體では無く、其の運用面に於ける支障の除去にある事を指摘してゐる。
詰り今迄我が國の根本規範及び最高規範として通用してきた帝國憲法には、
種々の人權條項があり、聯合軍の占領政策を實施するに當つて、其の運用を從前にする事で充分であつて、
其の事に就いて帝國憲法を改正しなければ成らないやうな絶對的な支障が在る訣が無い。
皇室典範に關しては支障とされる點すら無い。
其ゆゑ占領下での典憲の改正は國際法に違反する。

ところが『ハーグ陸戰條約は交戰中のみ適用されること、我が國の場合は交戰後の占領であり、
從つて原則として其の適用を受けないこと、假に適用されるとしても、
ポツダム宣言・降伏文書と云ふ休戰協定が成立してゐるので、「特別法は一般法を破る」
と云ふ原則に從ひ休戰條約(特別法)が陸戰條條約(一般法)よりも優先的に適用される 。』
とする見解に依る反論がある。

併し此のやうな見解は根本的に誤つてゐる。
第一にGHQは「占領軍は國際法及び陸戰法規に依つて課せられた義務を遵守する物とする。』として、
GHQの占領統治が陸戰法規の適應を受ける占領である事を承認してゐる。
(連合軍の日本占領の基本的目的と連合軍に依る其の達成の方法とに關するマッカーサー元帥の管下部隊に對する訓令)
昭和二十年十二月十九日新聞掲載。