>>359
○ ハイデッカーにおける人間と伝統の関係性について。

慣習や伝統という意味云々ついてハイデッカーの考えを参考にして以下に示しておく。

生物学的には、犬やネコといった動物にとって世界とは現在という常に単一の存在。
それだけに世界は自己と一体化し、本能の赴くままに行動する。
動物(眼差し) → 現在=世界  ※自らの存在と世界が一体化。

次に人間は、動物と異なり、現在のみならず、過去や未来の世界を想定する事ができる。
しかし、そのままではパラレル的な世界だけが示されることになり、自分という存在を不確かな物とし不安にさせる。


               1.未来の世界
人間(眼差し)      2.現在の世界 ※自らの存在と世界がバラバラ
               3.過去の世界

慣習・伝統というものは、上記のようなパラレルな世界を連続性を担保しつなぎ止める為の接着剤としての役割を果たし、
自分と言う存在について、より確かな側面を提供する機能が存在する。


               1.未来の世界
                   | (慣習・伝統文化)
人間(眼差し)      2.現在の世界             ※ 慣習・伝統によって世界が結び付けられた、自らの存在と世界が再度一体化。
                   | (慣習・伝統文化)
               3.過去の世界
              ----------------------
                (統一された世界)

天皇制のような慣習や伝統を守るということは、人間とは社会的な生き物であるという本能的な要請と、
知性の発達による想像力との間に生まれた産物だと言えるでしょう。
動物とは異なる、人間としてのアイデンティティの拠り所として機能していると言える。