>>533

現在の国会の慣行では、野党の取れる手段は極めて限定されます。国会審議で追及しても、そもそも答弁等に信頼がおけないのですから、意味はありません。
内閣不信任案を提出する手もありますが、一国会で一回しか提出できず、しかも多数派の与党に否決される可能性が高いです。
議長や議院運営委員長に改善を求めても、与党議員のポストとなっていますので、言うだけに終わる可能性も高いのです。

 そこで、野党はやむにやまれず、審議拒否という手段に出ることになります。
政府与党の国会対応に、重大な問題があるという主張を可視化して、世論を味方につけるのです。

 逆に、審議の前提が整っていないのにもかかわらず、安易に審議に応じれば、政府や法案のチェックを十分にできず、問題ある法律を成立させて、人々に害をもたらすかもしれません。
例えば、工場の生産ラインで、モニターが異常を知らせれば、原因追及と改善策を講じるまで、生産ラインをストップさせます。
操業を続けると、大量の不良品を製造してしまい、大損害を発生させるおそれがあるからです。生産ラインのストップで生じる損害は、やむを得ないものと見なされます。これと同じ論理です。

 よって、審議拒否は「サボり」ではないのです。むしろ、国会のあり方を正常化したり、政府の信頼を回復したりするための、国権の最高機関における少数派議員としての「仕事」なのです。