●水道問題の根幹は、地方の経済社会が疲弊して、老朽化した水道を維持更新する財源がないという問題だ。
 移民問題は、建設・農林水産・中小企業の現場が人手不足で潰れそうになっている問題だ。
●水道運営の広域化・民営化は、業者へ利益誘導しようというのではない。
 財源がないのでそうしないと水道が維持できないからだ。
 最低賃金ギリギリで外国人技能実習生が働かされているのは、多くの受入れ企業が悪質なのではない。
 そこまでコストカットしないと、納入先の過酷な仕入額切り下げに対応できないからだ。
●なのに、野党の戦術は「データを出せ。データが誤っている」と政府を非難したり
 「水道は公共事業で民営化にはそぐわない。技能実習生の失踪は問題だ」という、分かりきった原則論を繰り返すだけ。
●野党は「ブレーンを与党が独占しているから自分たちは代案が出せない」と弁解するが、
 そのような人材の問題ではない。そうではなく現実を直視しない姿勢に問題がある。
 原則が通用しない過酷な現実から目をそむけて、安全なところで原則論だけ言っていても説得力がない、
 そこに問題がある。
●衰退する地方で老朽化する水道インフラの維持や更新のために、どんな財源を引張ってくるのか、
 技能研修生に頼らざるを得ない業界が置かれているデフレ構造からどう脱却させるのか、
 現場を歩き現場の苦悩を知り、その上で知恵を絞り「実現しうる解決策」を提案し
 「具体策を原則に適合するまで詰めて行く」それが政治というもの。
●そうした努力をせずに、いかにも都会的な世論に受けそうな「原則論」ばかりを、
 現実との乖離に目をつむって居丈高に叫び続ける。
 これでは「危機感に押され、問題を説明せずに制度改定を急ぐ」政権当局のほうが「まし」に見える。
(2018年12月06日 NewsWeek日本版)