■ カルテ1ページで1万円!? 精神科の高すぎる「情報開示料金」を問う 3/3

個人情報保護法違反の可能性も

大学病院など主要87病院(多くは特定機能病院)のカルテ開示費用については、
厚生労働省が昨春、調査結果をまとめた。それによると、白黒コピー1枚を請求した
場合の費用は、999円以下が67%、2000円〜2999円が2%、3000円〜3999円が15%、
5000円以上が16%。基本料金の最高額は5400円で、コピー代は50円台が最高額だった。

この調査結果を知った立憲民主党の阿部知子衆議院議員から、「依然として高額を
徴収する病院が多い」「(法外な請求をする病院は)個人情報保護法違反に当たること
は明らか」との指摘を受けた政府は、個人情報保護法の規定をもとに「実費を勘案し
て合理的であると認められる範囲内において、その手数料額を定めなければならない」「調査結果を踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい」などと答弁した。

上記の調査で基本料金の最高額だった慶応大学病院の開示料金は現在、基本料金5500
円+A4白黒コピー代1枚55円(いずれも税込)。日本を代表する名門私大病院らしい高額
設定だが、それでも緑雲会多摩病院と比べると、破格のバーゲン料金に見えてくるか
ら恐ろしい。

厚生労働省は、精神科病院も対象とした実態調査を一刻も早く行うべきだ。
そして明らかに常識から逸脱した開示料金を掲げる病院に対しては、
個人情報保護法違反の観点から、厳しく対処する必要がある。

2019.11.3「現代ビジネス」 著者 佐藤光展