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次に、要求される「精度」も桁違いだ。地対空ミサイルは、目標の航空機に近づいた時点で弾頭が破裂す
る。機体の一部に破片が命中すれば、飛行が不安定となり墜落する。だが、核弾頭は頑丈な容器に核物質
が格納されているため、破片では破壊できない。無効化するためには、硬くて重い物質を核弾頭に“直撃
”させなければならないのだ。これを技術的に成し遂げたとされるのが、イージス艦から発射する迎撃ミ
サイル「SM3ブロック1A」である。
しかし、最近の北朝鮮のミサイル発射では、予想外に高性能化した実態が明らかになり、それらのミサイ
ルにも対応できるのかという問題が新たに浮上した。17年5月に発射された「火星12号」の場合、中距離
ミサイルをあえて短距離を目標として高高度に打ち上げたため(これをロフテッド軌道という)、最大高
度は2千キロにも達した。対する迎撃ミサイルの最大高度は、ブロック1Aで500キロ、ブロック2Aでも千キ
ロといわれており、この情報が確かであれば、迎撃は難しい。なぜなら、SM3は、弾道ミサイルを最大高
度付近で迎撃するよう設計されているからである。