「人權」と云ふ用語は十七世紀にホツブスが發案し、以後十八世紀にはルソー等々に因つて大革命思想に發展する縡になる。
其の後のナポレオンの擡頭に因つて革命は自滅し、各國を占領する縡に因り、人權の用語は各國に弘まる縡になるが、
國民國家の誕生と共に其は國民の權利、國民權に變化を遂げる。
國民の權利、國民權は憲法に本づくが、人權と云ふ用語は相變はらず曖昧な儘であり、
人權には國籍が無い。
内容は曖昧。
平等性は實質特權に等しく、用途は政治宣傳。
飜つて國民權は國籍性はあり、内容は憲法を元にするので明確。
國民權は憲法の下に平等であり、用途は法律概念。
 今現在我々が生きてゐる環境は國民國家であり、謂はゞ國民ある。
人權の唯の人と云ふ訣では無い。
權利とは義務の代償が權利であり、義務無しの權利は無い。
人權とは耶蘇ヘのゴツド信仰が其の源であり、天賦人權論は宗ヘ思想である。
其が政治の中に這入込んで訣が判らなくなる。
 かう云ふ歴史的、傳統文化的に背景が異なる非耶蘇ヘの日本人には全く意味の無い概念であり、
現代我々が有つてゐるのは國民權丈であり、其以外の權利と稱ばれる者は何も無い。