安倍内閣は数々の問題を抱えているのに、安定的な支持率を維持している。なぜか?

1:「他よりよさそう」 代わる首相候補がいない。世論調査で「安倍内閣をなぜ支持するのか」を聞くと「他よりよさそう」という答えが50%を超える。
多くのメディアで同様の結果を得ている。多くの国民は「安倍首相には問題が多いが、じゃあ他に誰がいる?」と、とりあえず安倍内閣を支持しているのだ。

2:「自民党批判の受け皿なし」  自民党にとって代わる政党がない。1980年代に50%台だった自民党の支持率は低下して30%台だ。
だが、立憲民主党などほかの政党の支持率は軒並み一桁。自民党と政権を争える野党がない。代わりに増えたのは「支持政党なし」だ。

3:「20代、30代の支持」と「スマホ普及率」  不祥事に左右されず内閣支持率が安定的に推移するようになったタイミングと、
スマホの普及が高原状態に達したタイミングは一致している。
保有率が7割台になったスマホの使っているのは主に若い世代だ。20代から40代の7割以上がSNSを見る。新聞やテレビに代わってスマホで情報を得る。
スマホの情報は、新聞やテレビとは違う。FacebookやGoogle、Yahoo!ニュースなどは、ユーザーの関心、好みに合わせて情報を選ぶアルゴリズムが機能する。
フィルターを通した情報に限られて、組織的犯罪処罰法や公文書管理などの問題は届きにくくなる。
新聞社がいくら政権を批判しても、伝わりにくい仕組みだ。内閣支持率が安定的に推移する状況はこうして創られているのではないか。
新聞やテレビなど伝統的なメディアを見ることが多い50代以上は、政権の問題に反応し内閣に批判的な姿勢をとっており、それが数字に現れている。

スマホの利便性がますます高まり、どっぷりつかる世代が増えていくと、この現象はさらに進むだろう。
安倍内閣の評価を超えて、民主主義にとってかなり危うい現象と言えるだろう。

(2020/3/24 文春オンラインより)