この大逆事件が伝わると、外国での反応はすさまじかった。ロンドンの日本大使館には山のような抗議文が寄せられ
大使の加藤高明は八方弁明につとめなければならなかった。また、ロンドンで開かれた社会党大演説会には
日本政府に抗議するために二万人にも及ぶ民衆が参集したのである。こうした国際世論の大波はアメリカの
サンスランシスコやオークランドにも及んだ。こうした国際的な批難を考慮して勅命により十二名が減刑されたわけであるが
それでもこうした動きを鎮静化することが出来なかったのである。  「ネズミはまだ生きている」 著・楠家重敏