「日本学術会議の件で、妙なことをやらされた。数カ月前に内調(内閣情報調査室)から指示が出た」

 さる公安関係者が、こんなことを口にしたのだ。「指示」を受けて動いたのは、公安警察と公安調査庁だという。

 これまで菅総理は6人の任命を見送ったことに対し、「(かつて政府が提出した法案への態度とは)まったく関係ない」と繰り返し、各学者の思想・信条によらないと説明してきた。ところが、どうやら実際は違うようだ。公安関係者が続けて明かす。

「実は『共謀罪や安全保障関連法などで政府に耳の痛いことを言った学者たちの身元を洗え』というオーダーがあった。『なんで?』という感じだった。しかし、命令は命令。あれこれ調べて報告した」

 要するに、任命拒否=パージの結論が先にありきで、そのために「6人のアラを探せ」との極秘の指示が官邸から出ていたというのだ。

 こうした内調の「私的な」動きは、安倍政権時代に活発化した。

 菅官房長官に批判的に食い下がる東京新聞・望月衣塑子記者や、安倍総理に不都合な発言をした前川喜平元文科省次官の身辺を調査して数々のスキャンダルを探し当て、マスコミにリークするなどしたのである。

 加計学園の獣医学部新設にあたり「総理のご意向」があったとする文書の存在を明らかにした前川氏に対し、内調は同氏が援助交際などの温床になっているとされる東京・新宿区のいわゆる「出会い系バー」に足しげく通っていたことを突き止め、読売新聞にリーク。同紙は17年5月に報じた。

 同じ頃、望月記者に対しては、24時間体制の動向監視に加え、電話の受発信記録やメール傍受なども行い、その結果をメディア関係者に漏らしていたことも明らかになっている。