] Sword Messiah
1.
 その時代、我々は神に見放されていた。
人生は幻に同じく、靄の掛かった世界だ。
其の中に在って、栄華と呼ばれている者達が居た……。

 神聖シルバロニア共和国に代々座する王室の一族は、
一人の運命の子を授かり、とうとう自らの意味を前にするのだ。
…その青年は神を思わせる高貴さを纏う剣士として成長した。
 王太子ユナシル「父上。風向きは変わりました。我らは時を迎えたのです。
力は蓄えられ、心はこの時と決めています。奴等は……蛇め等は、
暗黒神殿にてその首を落とされる夢を見ていると、……ステファンが言います。」
魔道士は進み出て、言った。
ステファン「間違い無く。見やれば世界は聖地の位置する座標に
運命を集め置いた模様です。ユナシルの輪郭が世界に共鳴を始めているのです。」
 王の間に於いて此の時、打倒”蛇魔道士”決戦のもう一人の傑物が見える。
騎士ギルバーンは騎士の常識では語れない。彼が戦いに引き出されたのは騎士では
無いからだろう。
礼儀も無ければ愛想も無い。精悍な顔付に劣俗な表情を楽しむ悪漢である。
只この時は自らがこの世に生を受けし、真っ当に果たし切るべき天命に従ずる者であった。
 シルバロニア国王が口を開いた。彼の代で歴史とは変わるのだ……。
「永き戦いの日々が終わる。我らが敵は我らの力に絶対では無いのだ。
”白銀剣士”ユナシル、”軌道の魔道士”ステファン、”雷鳴”のギルバーン。
余が命ずる。暗黒神殿にてフィラスキュラを消滅の向こう迄有り得無き徹滅を……!」