アシモフの 『夜来たる』 読了
博学のアシモフのことなので、物語の舞台となる設定をもっと緻密に描いている
のかと期待していたため、出だしを読み始めすぐに「あれれ?」となってしまった

大学の天文台には望遠鏡があり写真撮影ができ、新聞記者が突撃インタビュー
を行えるほど、成熟したマスコミと言論の自由がある社会
市場経済は、そうしたメディアが伝える世の中の動静を読みつつ投資の増減が
行われているというのだから、まるで1930年代の米国みたい

正確に時間を計る時計もあり、精密機械を組み立てられる工場、それに大都市も
存在するようなので、エネルギーのインフラもかなり整っていると思われる

ところが、そんな世界で人類が日蝕に怯えているという、何ともチグハグな設定に
思わず苦笑してしまった

ウェルズ『盲人の国』(1904年)、ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』(1937年)では、
センス・オブ・ワンダーとともに、読後、色々と考えさせられるものがあったものの、
『夜来たる』の場合、登場人物や会話の内容が「どこから見ても現代の米国人」に
しか感じられなかったのが、この作品を面白いと思えない敗因だったように思う

天文学者、新聞記者、心理学者、カルト教徒という配役だものなぁ....