「新元号はありません」
官房長官が告げた瞬間、記者たちにどよめきはなかった。そうか、やっぱりそうだったのかという安堵だけがそこにあるかのようだった。
「五月から先はありません。そこが時間の終わりなのです。では、さようなら」
そう言った長官もまた、奇妙な安堵に包まれているようだった