>>267
"私がレジナルド・デイシーの息子である以上、私は彼の主張を二度にわたって論破したことになる。"
この論破とはつまり、オートナニーが役立たずというのを証明することだよね
父レジナルドは終生ナニーを信じ続けたわけだから

ここでまず、ライオネルはエドマンドの現状を好ましいものとは考えていない
機械としかコミュニケートできない人間も悪くないと思うなら、そもそも悔恨の言葉など口にするはずがないのだし
だから『オートナニーは人とコミュニケーションがとれる所謂まともな子を育てない』というエドマンドによる証明が父に対する一度目の論破

ライオネルはもともと新聞が父レジナルドを中傷したことに激怒してこの実験に着手した
父の名誉を回復したい、オートナニーは役立たずじゃないというのを世間に対して証明したいと思っていた
そして他の科学者、つまり家族以外の者がこの実験をしていたら、成否に関わらず"彼の影響力の大きさを示す証拠になった"とライオネルは考えている
それなのに、この実験を行なったのはオートナニーとレジナルドの薫陶を受けた息子だった
父レジナルドとオートナニーの世間に対する影響力の小ささを、『オートナニーは役立たずである』ということを、息子である自分が証明してしまった
これが二度目の論破になる

ライオネルは父の名誉を回復させられなかったことを主に悔やんでいる
だからラムズヘッドの慰めの言葉に対して「それは誤解だ」と言った
自分の私生児エドマンドに対して人道的な育て方をしなかったことでなく、ひたすら父に申し訳ないと思っている。だから"誤解"
だと思うんたけど、そのあと結局エドマンドを引き取って死ぬまで育てたわけだから、彼に対しても多少は申し訳ないと感じていたんだろう
ラムズヘッドに対する"誤解"って言葉が強すぎるような気がして、ここがしっくりきてないんだよね