田口成光
最近のウルトラ作品を見てひとつ疑問に思うのは、僕らとしてはテーマというか、視聴ターゲットをキチンと絞って作ってきたと思うんです。
最近は、いきなり30年前の超獣やリバイバル怪獣が出てきたりしますがマニアには非常に面白く見えるかもしれないけれど、今の子供達にとってどうなんだろうということなんですね。
それと、役者さんたちのキャラクターの作り方がカリカチュアライズっていうのかな。
誇張しすぎて滑稽と言うか漫画的と言うか。元気っぽく作ってるんだけど、凄くアニメの世界の軽さ、リアリティのない軽さっていうんですかね。そんな感じになってることも気になりますね。特撮ものだからこそリアリティが重要だと。
それから、どうしても怪獣とヒーローによる戦いになりがちで、戦う為の設定で戦う物語にしてしまっている所が「ちょっと危険だな」って言う感じもします。
だから、これからウルトラシリーズを作っていく礎になればいいなっていう視点で言うと、
僕らがあの時に培ったものが、円谷プロの中でもう一つ重なって行けなかったのかなって言う気がするんですよね。
僕らにすれば暗黙の中で「これは、やっちゃいけないよ」っていう形で、ちゃんとあった物がシリーズのテーマになっちゃったりとかね。
例えば、今、岡村さんがおっしゃった「怪獣を助ける」っていうバクタリの話は軟投型というか変化球ですよね。
ですから、「シリーズの中で1本か2本」という暗黙の共通認識みたいなのがあったんだけど、それ自体がシリーズのテーマになっちゃったりとかね。
タブーをオープンにしてるという気はするんですけどね。