「インスタ映えということで新作のコーヒーの出前に来ました〜」

CRの空間が歪み突如としてデンライナーが現れたかと思うと、晩秋にはひどく寒そうな服を着た添乗員のナオミがお盆にいっぱいのマグカップを載せて乗り込み口からの降りてくる。
秋の新作でーす。とにこやかな彼女の手の中には毒々しいほど鮮やかなオレンジのクリームのジャック・オ・ランタンや、深い紫と蛍光黄色のおばけのデコレーションをされた、自称コーヒーが並んでいた。

「わー!かわいー!!ねえねえ貰っていい!!」
「はい!ポッピーさんぜひ感想もお願いします!」
「紫のコーヒーとか心踊るなあ〜」
「えぇ……ポッピーもパラドもよく飲むと思えるね……」

極彩色の飲み物にはしゃぐバグスターふたりをチベスナ顔で眺めた永夢は、僕は普通のコーヒーでと席を立つ。

「ええ〜!?永夢さんも飲んでくださいよお!タロスズには大評判で定番メニューにしようかって思ってるんですよお」

拗ねるナオミに永夢もはっきり断ることもできず、比較的食べ物の色っぽいジャック・オ・ランタンコーヒーを手に取る。

「インスタはやってないけど、写真撮って黎斗や飛彩に見せよーっと!」
「じゃあ俺もー!」

キラキラした色彩にポッピーとパラドはナオミの目論見通り写メることに夢中だった。

「じゃ、じゃあ……とりあえずいただこうかな」