>>605
印象論で良いなら、アルマゲの設定と能力描写から見て、あの状態から抜け出すのはかなり凄いことだと思います

前提として、「アルマゲの憑依能力には、アスランのような完全洗脳と、クエルボのような人格を共有する単純融合がある」ということから考えます
アルマゲ完全体は憑依能力によって宇宙の人々を体内に維持していました
この時、内部の宇宙の人々は、説得が通じた以上はそれぞれ自我を維持するクエルボのような単純融合であったと考えられます

ここから、アルマゲ完全体の人格は「私はインダベーであり、ダイカーンであり、カローであり、圧政を受けたものであり……」という
無数の人格が、「私はドン・アルマゲ=宇宙の不幸の化身である」というくくりによって一つに安定していたものと考えられます

さて、この状態の宇宙の人々は、クエルボの例から考えて「自分は宇宙の不幸の化身である」という事実から自己嫌悪が肯定される状態にあります
クエルボはそれで満足していましたが、これだけならば自分を呪うのが嫌になる日が来るかもしれません

しかし劇中では宇宙中の人々を取り込んだために、ジャークマター側の加害者と、圧政を受けた被害者が同時に「ドン・アルマゲ」になってしまっています
その結果、

俺(アルマゲ)は不幸だ→俺(アルマゲ)を不幸にしたのはジャークマターのダイカーンだ→そのジャークマターのダイカーンは私(アルマゲ)だ→
俺(アルマゲ)は私(アルマゲ)を不幸にした怨敵だ→なんて俺(私)(アルマゲ)は不幸なんだ→最初に戻る

という「自分で自分を呪うしかない無限ループ構造」がアルマゲ完全体の内部に無数に構成されてしまっています
こうして彼らは自分の意志で、自分の望むままに無限に奈落に落ち続けていき、そして「自分は宇宙の不幸の化身である」という暗い歓びを得続ける訳です

アルマゲの憑依能力を破るだけならラッキーのように強い心と幸運を持っていれば破れるでしょうが、このループ構造を破るには全員が協力せねばなりません
私は力がないモブであっても精神は平等である=誰かの意志が特別な力を持つわけではないという立場を取るので、
これを破るのに必要なのは「アルマゲ内部の全員が、自分自身の大切なものを奪って不幸にした自分自身を取りあえず肯定し、前を向いて歩きだす」ことです
ほぼ無理だと思いますね