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(回想) (18年前の 蝉が鳴く夏の日。 河原で 写真を撮る父と母と 小さな男の子がいる)

さとみ 「ほら、総司」
総一 「もう一枚 撮るんだよ。 総司、 もう一枚。 記念写真」

 (新聞紙で折った兜を被った悪戯っ子が 舌を出して後ろを振り返りながら、川沿いの土手の道を走る)
 (三脚付のカメラを持って、その子の後を追いかける父と母)

総一 「総司、待ちなさい。 こら、待ちなさい、総司」

 (その時、突然 道端から、二体の異形の怪物が現れる)
 (怪物は 緑色の体躯に カブトムシに似た角と外殻を備えていた)

 (両親の悲鳴に気が付き、後ろを振り返る総司少年)
 (怯える両親の目の前で、二体の怪物は 両親そっくりの姿に擬態する)

 (咄嗟に 木陰に隠れて、一部始終を目撃する総司)
 (偽者達の足元に倒れ、息を引き取る両親の姿。 二人の死を見届けると、再び 河原に降りていく偽者達…)