>>960

(海辺の教会から逃げ出したひよりが 林の中で、ふと足を止める)
(風に揺れる葉擦れの音に紛れて、 微かに 人とも獣ともつかない呻き声が聴こえてくる)

??? (ううぅ……)

 (顔を上げ、声の主を探して 辺りを見回すひより)

ひより 「……誰だ?」

??? (うう……)

ひより 「(指を左耳に添える) ボクを呼んでいるのか?」

 (ワームとして 目覚めたての超感覚的知覚が 外界に大きく広がる)
 (呻き声は 実際の音ではなく、 ひよりの心の中に 直接 響いてくるようだった)
 (左手を そっと 胸元に当て、声が聴こえてくる方向を探る…)


       (カブト 第32話より)