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 (憤る加賀美の視線を逸らすように 横を向き、 厨房でメモを見ている蓮華に 声を掛ける)

天道 「蓮華、お前も飯にしろ。 此処のランチは まあまあ いける」

蓮華 「それでしたら、御心配なく」

 (厨房から出て来た蓮華が 腰から小さな麻袋を取り出して、掌の上に 粒状の穀物を取り出す)
 (胸の内のモヤモヤを抑えて、加賀美が近づいてきて訊ねる)

加賀美 「何なんだ、それ?」

蓮華 「戦国時代より続く優れた携帯食糧、干し飯(ほしいい)です。 (近くの椅子を引いて座る)
     訓練生は 皆、これを食べてるんですよ」

加賀美 「美味いのか?」

蓮華 「(急に表情を失くす)…そういう感情は忘れました。 もう七年も 料理なんか食べてないから…」

天道 「………」

 (何事かを考え込む天道。 無言で立ち尽くす加賀美。 蓮華が ポリポリと音を立てて 干し飯を齧る…)


       (カブト 第33話より)