>>131

(夕暮れの波止場。 影山が一人、縁に腰掛けて フクロウのマスコットを眺めている)
(陶器製のフクロウは、砕けた欠片を 丁寧に接着して修復してある)

 (其処に、いかついブーツを履いた男が 踵の拍車を鳴らしながら 歩いて来る)
 (右袖の無い黒のロングコート。 骸骨を象ったネックレス。 爛々と光る鋭い目)
 (地獄兄弟の長兄、矢車想…)

影山 「兄貴…… (咄嗟に、左手に持っていたフクロウの御守りを 上着の左ポケットに隠す)」

矢車 「相棒、 (立ち止まる) お前、良い事した… とか、思ってんじゃねえだろうな?」

影山 「……… (答えが見つからずに 目を逸らす)」

 (矢車が 心の底まで見透かすような疑いの眼差しを 影山に向ける)
 (影山の反応に 未だ迷っている様子を感じ取った矢車が、口元を皮肉に歪める)