【もしも】種・種死の世界に○○が来たら13【統合】
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
お待たせしました。
25/32
ストライクのシュベルトゲベールがマサムネの一振りを弾く。
繰り出された剣の一閃をキラは受け流すように逸らすと、
滑り込むようにアンファングへ肉薄した。
唐突な状況の変化にクルーゼはギリリと歯ぎしりすると、
スラスターを逆噴射してピクウスを撃ちながら距離をとる。
アンファングのマサムネは、キラのシュベルトゲベールに初めて力負けした。
ただ、力負けしたというには語弊がある。
実際はいなされたというべきものなのだが、
これまで防戦一方だったストライクが、
初めてこちらに攻撃的な一撃を繰り出したのだ。
「何かが違う」ということには気が付いたが、それが何なのか掴めない。
しかし、この変化は危険な兆候と考えた彼は、ストライクのカメラを狙い一閃するも、
それすらも何故か分かっていたかのように躱されてしまった。
「ちぃ!」
クルーゼは攻撃の中止を2機のゲイツに命じると、急速に後退する。
アンファングの後退をみて、ストライクは冷静に彼らの動きを注視していたが、
アンファングは後退したまま戻ることなく、ゲイツ二機を伴って空域を離脱していった。
「こちらストライク、敵部隊の一部撤退を確認。
このまま艦へ帰投し水中仕様へ換装し、ジーニーを支援したい。対応をお願いします」
「こちらアークエンジェル、ヤマト中尉の帰投を受理。帰投してください」
ストライクが帰投した。
「アークエンジェル、進路転身」
「進路転身、面舵20、北北東方向」
艦橋ではジェインウェイの作戦通りに進路が変更され、
アークエンジェルは徐々に空域を移動し始める。
その頃、海中ではトールが必死に逃げ回っていた。 26/32
「くそぉ、やっぱこうなるよなぁ。あー、マジ勘弁してほしい」
スピードこそ相手と互角程度に泳げるようになったものの、3対1では歯が立たない。
最初の一機は、やはりまぐれに等しい結果だったようだ。
「……な!?クルーゼめ。やはり頼りにはならんか。
ものの数にはしていなかったが、こうまで脆いとは」
モラシムはご丁寧にクストーへ送られた暗号通信の転送を見て怒り心頭だった。
クルーゼは自身の作戦計画に影響を与えるため、これ以上の戦闘の継続は不可能と判断し、
断腸の思いで空域を去らざるを得ない。貴殿の健闘を祈ると伝えて来たのだ。
確かに援軍要請は彼らのオペレーション・スピットブレイク参加を考えればギリギリのラインだ。
そこの無理を押してこちらへ駆けつけたことは評価せざるを得ない。
実際モラシムも期待していなかったことなのだが、この状況で苦っている暇は無い。
ゾノに搭乗しているモラシムは、相手機を追い込むために指揮をとるが、
相手の機体もなかなかにしぶとく逃げ回る。
それはこちらとスピードが同じであったこともあるが、
こちらの攻撃を「誘う」のが上手いことだ。
グーンに積まれている魚雷はあらかた撃ち尽くしていた。
脚付き用に残しておくべき分を考えても、撃てる弾がもう限界だった。
これほどにたかだか一機に手こずらされるとは考えてなかった彼からすれば、計算ミスが痛かった。
そこに上方から水音がした。
センサーが機影を探知。勿論、それは友軍ではない。
「ぬぅ、ストライクが来たか。ん、しかし、着水ポイントが動いた?
……脚付きが大きく転身したのか!?このコースは……やりよる」
ゾノは照明弾を撃った。
それを合図とするように一斉に攻撃が止む。
「え!?なんだ」
『トール大丈夫』
「あ、キラ!俺は大丈夫だ。つか、相手が変だぞ!」
『うん』 27/32
モラシムはもう一発魚雷を撃ち込んだ。それは水上に向けられていた。
海面で弾けて輝く。
それは上空で戦う二機にも確認できた。
フェアトラウェンはフォールディングから急速に後退すると、
全速力で空域を離脱していく。
フォールディングはところどころ傷を負いつつも、なんとか初戦を突破した。
「敵機が後退していきます」
アーガイルが報告する。
センサーからも敵機が引いていくのが見える。
「艦長、赤道連合のコーストガードから通信が入りました」
ミリアリア・ハウの報告の後、ラミアスが再生を許可した。
彼女はそれに従い、通信が再生された。
『こちら、赤道連合海上警備隊。
貴艦隊は現在わが方の領海に侵入しつつある。
直ちに進路を転進し、現空域から離れる様に警告する。
従わなければ、我が国の法に則り、貴艦隊への攻撃を開始する』
この通信内容に全員の目がジェインウェイに集まった。
ラミアスが訪ねる。 28/32
「閣下、どういたしましょうか」
ジェインウェイは悪戯っぽく微笑んで答えた。
「歓迎式典のセレモニーに参加するというのも捨てがたいけど、
ここは救助を優先しましょう。ラミアスさん、
進路を彼らのテリトリーのぎりぎり外へ。
アルスターの捜索隊を結成して捜索させましょう。
彼らへは『風に流された』とでも伝えて頂戴」
「了解しました」
アークエンジェルは再び進路を戻すとアルスターの捜索準備に入った。
闇が辺りを支配し、雨がようやく降りやもうとしていた。
パチパチと音を鳴らしながら火が燃えていた。
二人はあれから一言も話すこともなく、ただその場に座っていた。
アスランは火を絶やさないように薪をひたすらくべている。
そんな彼の姿に構わず彼女は火を見つめていた。
「……食べないのか」
アスランが用意した非常食を彼女は食べようとしない。
彼は構わず自分の食事をとっていたが、気になり放っておけなかった。
「……」
「敵の物には毒が入ってるとでも思ってるなら、
そんな面倒なことはしないと言っておくよ。
……仇と食事なんてしたくないという君の気持ちはわかるが、
戦えばいつか君も俺と同じ立場になる。
それでも戦うというんだ。俺と何が違うんだい」
「……違うわよ。あなたとは。あなたは、
あなた達は優れたコーディネイター様なんでしょう。
なら、こんな下等なナチュラルからの挑戦を受けない道だってあったじゃない。
なのに受けてしまった。戦えば……戦うしかないじゃない」 29/32
「それは!?……だったら、黙って核を打ち込まれたまま、
へらへら笑って居ろとでも、君は言うのか」
「……そんなことは……」
2人の間を暫く沈黙が支配する。
視線を合わせるでもなく、パチパチと音を立てて揺れる炎を見つめる2人。
「……俺の母は、ユニウス7に居た」
「……え?」
「君と同じだよ。俺も母は居ないんだよ。……君達の攻撃でね」
「あ……」
「……だからと、君を殺せば母を戻せるのかと言われたら、そんなことは無いだろう。
そりゃ、最初はそんな気持ちも有ったよ。でも、そう志を共にして育ったはずの仲間は、戦場で散った。
正直、俺は何をやっているんだと思った。だけど、やらなきゃやられるだろう。
……とはいえ、それでニュートロンジャマーなんてものを作ってしまった俺達は、
確かに君達のことを言えない。所詮、オリジナルを逸脱することは出来なかったということだろう」
フレイは彼の置かれた立場に、未来の自分の姿を重ねていた。
仇を打つという思いの一心で進んできたフレイにとって、
彼は同じ境遇を分かち合える存在に思えた。
そう気が付いたとき、彼女の中でコーディネイターに対するわだかまりは消えていた。
「……あの、でも、それじゃなぜ戦い続けるの。
貴方にとって戦場は居なければならない場所?私、分からないの。
貴方のようにわかっている人が、どうしてここに居るのか」
彼女の問いかけに、彼は苦笑を禁じ得なかった。
彼の脳裏には父の顔があった。
「……もう、俺一人だけが去れる状況じゃなくなってしまったんだ。
俺は、たぶん、戦わないっていう選択肢を選べない。あー、でも、一つだけは選べる」
「どんな道?」
「ここで本当に死んでしまったら良いんだ」 30/32
そう言うと彼は腰に備えた銃を手に取り、セーフティを解除した。
そして立ち上がると、彼女のもとへ近づいてしゃがむ。
彼女は唐突な彼の行動に身構えたが、
これまた予想外の彼の行動に目が点になった。
「……どう……しろと?」
「……受け取ってくれ」
彼女は素直に銃を受け取った。
彼はそれを見てにっこりほほ笑むと、彼女の向かい側に静かに戻った。
「さぁ、これで君は仇を打てて晴れて自由になれるし、
俺はこんな憂鬱な状況から解放される。
一石二鳥ってことだよ。どうだい、やってくれるかな」
彼女は手を伸ばして銃を構える。
その腕に震えは無い。
俯き加減の姿勢だが、その眼は彼を凝視している。
「……あなた、本当にそれでいいと思ってるの。
そんな自分を犠牲にしたところで、
貴方の思っている結果なんて何も得られないかもしれない。
それでも命を捨てたいの。私は良いわ。やってあげるわよ。
命の一つや二つ消えたところで、このご時世、何が変わるでもない。
そうよ。戦ってしまったら、最後まで戦うしかないのよ。
そんな覚悟もなくて戦うだなんて、ちゃんちゃらおかしいわ。
そういう女々しい男は……、この世から消えた方が良いのよ!」
「……君は」
ダン!
銃声が木霊する。
多くの鳥が飛び立つ羽音がざわめき、
小さな島が音の衝撃に揺れる様に感じられた。 31/32
「……なぜ」
彼女は手を上に掲げて撃ち放っていた。
それは本当に一瞬の出来事だった。
彼女の顔はといえば、すがすがしいほどの笑顔を浮かべていた。
まるで憑き物が落ちた様に。
「お互い、位置についたのよ。スタートラインへ。
そして今、よーいドンって、走り始めたの。
これからは誰かに縛られるのをやめて自分の道を探すのよ。
あ、でも、戦うのはやめないわ。まだ、私には守るべきものがあるもの。
みんなが平和に暮らせる日が来るまでは戦う。
でも、あなた達を滅ぼそうだとか、そんなことはもう考えない」
彼女はそう言って振り上げていた手を下した。
そして、銃を彼の方へそっと置いた。
アスランは彼女の置いた銃を拾い、自分の腰のホルダーに戻した。
「(これまでは滅ぼそうと思っていたのかよ)……そうか。
君は激情的なのか冷静なのか、本当にわからないな」
苦笑する彼の反応に、彼女は微笑みを浮かべて答える。
「あら、女心と秋の空とか言うでしょ。
変わり続けるのが女ってものよ。
生きていると何かに縛られがちだけど、
それをそのまま受け入れないから長生きするのよ。
男って、その辺ずっとナイーブで女々しいじゃない。
だから男らしくってことなんでしょ」
「……参ったな。
立場は逆のはずだが、君に負けっぱなしだ」
「今は勝負は関係無いんじゃなかったの。優秀なコーディネイターさん」
とても健康的に朗らかに笑顔を浮かべた彼女の表情に、
彼は思わず赤面した。咄嗟に顔をそらして俯き加減に口を開く。
「アスランだ。俺の名前は、アスラン・ザラ」 32/32
彼は唐突に名乗った。
彼女は彼の反応に微笑み、笑顔で答えた。
「フレイよ。フレイ・アルスター」
「……フレイ、良い名前だ。君らしい」
「あら、そう?……本当はそう思っていないんでしょう?」
疑惑の眼差しを向ける彼女に、アスランは慌てて彼女の言葉を否定する。
「そんなことはない!
……君とは、こういう場所じゃない所で、会いたかった」
「……そうね。本当に、何やってんだろ。私達。フフ」
二人は互いのわだかまりが解けると、プライベートなことも含めて談笑を始めた。
深まりゆく夜の闇の中、炎の揺らめきが二人を照らした。
ミゲルは独房の様な個室を出され、新しい部屋に移された。
てっきり元居た医療室へ戻されるものと思ったが、新しい個室があてがわれたのに驚いていた。
同室には勿論ラスティの荷物も有るが、彼はゲームをしに遊びに出ていて部屋には居ない。
部屋のドアは開かず、必要な時に転送ビームによって勝手に運ばれる。
一つある窓には見慣れた宇宙空間が広がっているが、一つ違う点を挙げるとすれば、
比較的多くの岩石が浮遊していることだろうか。ここは小惑星帯の中なのだろう。
どこの小惑星帯かは分からないが、推測するにアステロイド辺りと考えるべきだろうか。
しかし、アステロイドで無傷で宇宙船が留まり続けるというのは危険な話だ。
どのようにして衝突を回避しているのだろうか。見たところ、動いている様子は無い。
ここは不思議な場所だ。
連合でもZAFTでもない。だけど、そのどちらよりもずっと優れた技術が備わっている。
宇宙人というものがいるとすれば説明し易い話だが、彼らに応対した人々は皆人間だ。
何の変哲も無いただの人間だが、コーディネイターの自分よりも力を持っていたり、
戦闘センスが良かったり、知識も豊富に理解している。彼らは一体何者なのだろうか。
『ドクターからミゲル』
「…なんですか」
『君と会いたい人物がいる。良いかね?』
「良いも何も、俺はいつでも暇ですよ」
『そうか。分かった。コンピューター、一名転送』
ーピーピーポー
ミゲルの体は青白い光に包まれ粒子となって消えた。
第39話終わり。40話へ続く。ご支援有り難うございました。
次回はまた一ヶ月後くらいかな。年度末で忙しくなるのですみません。 乙
おお、アスランとフレイの交流とはまたこれから期待できる
二人の立場や失ったもの、守らなければならないものを考えたらとても無理のない展開
何で本編でこういうのやってくれな…
それはともかくミゲルもどうなっちゃうんだろ 投下おつおつ
ミゲルもラスティもアスラン達にとっては過去の人にされちゃってるんだよな〜仕方ないけど
この二人がどういう役目を果たすのか+(0゚・∀・) + ワクテカ + 923です
新年あけましておめでとうございます。
新年初投下いたします〜 923です
新年あけましておめでとうございます。
新年初投下いたします〜 第11話_「命の価値は」
「良いな?ジェリドの命令書は後続のカプセルが視界に入ったら開くのだ」
アレキサンドリアのブリーフィングルームでは
艦長のジャマイカン少佐が大きなモニターを背に
雛壇で両腕を後ろに回して、目の前に座る
ティターンズカラーと呼ばれている紺色の
ノーマルスーツを着た兵士達に作戦の説明をしていた。
その中にエゥーゴによって専用機となるはずだった
《ガンダムMk-U》3号機のパイロット、
ジェリド・メサ中尉は作戦指示が与えられ「はっ!」
と言うと、雛壇の横にいた士官から
命令書を手渡される。
思わず、それを反射的に開こうとしたが
ジャマイカンの言葉を思い出してその手を止めた。
命令書がジェリド中尉に渡ったのを確認すると
ジャマイカン少佐は左隣の席に座っている
《Mk-U》1号機のパイロット、エマ・シーン中尉に目をやる。
「エマ・シーン中尉の交渉は15分間が限度だ。いいな?」
その座った目付きで彼女を見ながらジャマイカンが確認する 「は!そのカプセルというのは強力な爆弾でしょうか?」
エマ・シーン中尉が軽く右手を挙げて返事を返し、
『カプセル』というワードが気になり疑問をぶつけた。
「そんなところだ」
と彼女へ素っ気ない物言いで答えた。
それを聞いたエマ中尉がスッと立ち上がり
後ろを振り返り兵士達の顔を見て
「では、初めて《ジム・クウェル》に登場する者もいると思うが高度の訓練と思え。
今回の作戦はあくまで《Mk-U》を取り戻す為の交渉である」
と、はっきりとした口調で
彼女と作戦を共にする部下達へ伝えた。
透き通るような声にいかにもな優等生の彼女。
軍人一家の名家のお嬢様だと言う事だった。
そういう出自もあってか、周りからは
疎まれる事が多いが彼女はなるべく
そういった雑音を気にしないようにしている。
そんな地球出身のエリートを集めたティターンズにとって
彼女はまさにうってつけの人材だと言えた。
だからこそ、冷静沈着且つ聡明な彼女に
エゥーゴとの交渉という大役を任せたのだったのだが。
「よし、それでは明日は
別の者に小隊長をやってもらうからそのつもりで」
ジャマイカンはそう言いうと
ブリーフィングルームを後にした。 ライラ隊の攻撃により、
機関部にダメージを負った
《アーガマ》は足止めを受けていた。
ブリッジ内にはティターンズによる第2波に備え
緊張が走っていたがそれと同時に焦りの色も見えていた。
ブレックスはいつ現れるとも知れない
ティターンズが気になるようでモニターから目を離さずに
ブライトへ尋ねる
「全速は出せんのか?このままでは敵の第2波が来る…」
「メインエンジンがやられてますので…」
ブライトからは歯切れの悪い応えが返って来た。
先の《ガルバルディ》との戦闘で受けた
機関部への損傷で艦隊の足止めを見事に受けていた。
ブレックスはモビルスーツを出し惜しみした結果では?
と考えたが、相手の第2波を考えれば
仕方のない事だろうと感じていた。
先ほどの戦闘でカミーユやアポリーを出して
どちらかがダメージを受ければ、確実に次の戦闘に
影響を及ぼし兼ねない事も分かっていた。
幸いクワトロは被弾なく済んだ事はまだ救いだとも思っていた。 CIC席に座るヘンケンはこのブリッジにいる中で
唯一ノーマルスーツを着ていなかった。
敵にやられるわけがないと言い切る彼の気合いが伺える。
そんな彼が振り向いてブライトの方へ視線を送る。
「ブライト艦長、次は待機させていたアポリー中尉や
カミーユにも出撃してもらいましょう」
ヘンケンの言葉にブライトが
ノーマルスーツのヘルメットを外して大きく息を吐くと
「無論そのつもりだ、ヘンケン中佐。
彼らはその為に温存したようなものだしな…」
ブライトがそう言うと、ヘンケンは大きく頷いた。
そんな二人を尻目に考え込むような雰囲気で
腕を組んでいたブレックスが口を開く
「しかし…あまりに鮮やかな退き際だった。
どう思う?ブライト艦長」
「本気で落とすつもりはなかったように見えました。
我々がエゥーゴと分かったからこそ
足を止めたのだと思います。」
ブレックスの問いにはっきりと答える
ブライトの言葉にブリッジにいる者達は納得していた。 濃紺の機体色である《ガンダムMk-U》1号機の
パイロット、エマ・シーンは
小隊長を務めモビルスーツ小隊の先頭を突き進んでいた。
後続に続くのは濃紺と濃紫の機体色の
《ジム・クウェル》3機が追従する。
ティターンズの新たな量産モビルスーツで
連邦宇宙軍再建の為に開発された《ジム・カスタム》に
ティターンズが手を加えたモビルスーツだった。
ルナツー工廠で生産開発されたこの機体は
地球至上主義を掲げるティターンズにとって
連邦とジオニック系技術の融合となった《ハイザック》とは
双璧を成す連邦軍だけの技術で造られたモビルスーツとなり
とあるテストチームで完成したモビルスーツの
データを取り入れられていた。
エマは目標地点を目指し前を見据えていると
コックピットのHUDに《ハイザック》のパイロット
ジェリド・メサの顔が映し出される
「エマ中尉、隙があれば《Mk-U》を奪い返して
《アーガマ》を沈めても構わないんじゃないのか?」
今回の作戦でジャマイカンの特命を受けている
ジェリドもエマ小隊に続いていた。 「何を言っているの?ジェリド中尉。
作戦行動以外の行為は認められないわ。」
エマは相変わらず短絡的な思考しか持ち得ない
彼に半ば呆れ返っていると
「相変わらず硬いね、小隊長さんは。」
とジェリドは重ねる。
この男の言動にエマ中尉は努めて冷静を装うが
「あなたはあなたはの作戦をしっかりやる事をお考えになったら?」
と挑発するように言い放つと
ジェリドは幼稚さを隠そうともせずに言葉を返す。
「ふ…!中尉こそ油断して《Mk-U》を奪われるなよ?」
「あなたのようなヘマはしないわ。
それより見えて来たわよ?」
ジェリドの言葉に意を介さず、前方を見ていた
エマの言葉の通り、モニターに白い船体が映る。
「あいつか…!よし、俺は作戦の通りここで待機する!」
そう言うとジェリドの《ハイザック》は
《アーガマ》からやや距離を置いたポイントへ
機体を待機させた。 「レーダーに感あり!
敵モビルスーツらしき熱源をキャッチ、数は5です」
そう声を上げたシーサーの言葉に
ブリッジ内は再び緊張に包まれる。
「来たか…大尉の《リック・ディアス》の補給はどうだ?」
「既に完了しているそうです」
ブライトの言葉にレコアがそう返すと頷いて、
モニターに目をやるとシーサーが更に続ける。
「さっきと侵入方位が違います!
機種不明機が3、
それに《ハイザック》と《ガンダムMk-U》です!」
機種不明?新型のモビルスーツがまた投入されたのか?
そう考えてながら侵入してきた方を確認すると
赤く点滅する光が4つほど確認できた。
「発光信号確認!…停戦の合図です!!」
「なんだと !?」
「本気か!?」
トーレスの報告にブレックスとヘンケンが
またかといった言い方で叫ぶ。 0===。El
(・∀・ ) 支援よーい!
>┘>┘ モビルスーツデッキでは休戦の合図があった事を聞いた
メカニッククルー達が騒いでいた。
それが耳に入ったクワトロがアストナージに確認をする。
「また休戦だと?」
「はい、今度は白旗を確認したそうです。」
きっばりとと返すアストナージの言葉に
カミーユが間に入って口を開ける。
「モビルスーツが白旗を?」
カミーユの問いかけに
アストナージの隣にいたトラジャ・トラジャ軍曹が
頷いて「そうらしい。」
と言うと、クワトロがカタパルトデッキに出て
左手に白旗を持っている《ガンダムMk-U》を確認する。
ブリッジでは白旗を手に接近する《Mk-U》の
様子を見ていたブレックスが「どう思う?」と
ブライトやヘンケンに意見を求める。
「分かりません…
ですが我々は時間を稼ぐ必要があります。」
「応じるしか選択肢はなさそうですね。」
ブライトに続いてヘンケンが致し方なしといった
表情でブレックスに返す。
「メインエンジンを直すまでの時間か…」ーーー。 モビルスーツデッキでは休戦の合図があった事を聞いた
メカニッククルー達が騒いでいた。
それが耳に入ったクワトロがアストナージに確認をする。
「また休戦だと?」
「はい、今度は白旗を確認したそうです。」
きっばりとと返すアストナージの言葉に
カミーユが間に入って口を開ける。
「モビルスーツが白旗を?」
カミーユの問いかけに
アストナージの隣にいたトラジャ・トラジャ軍曹が
頷いて「そうらしい。」
と言うと、クワトロがカタパルトデッキに出て
左手に白旗を持っている《ガンダムMk-U》を確認する。
ブリッジでは白旗を手に接近する《Mk-U》の
様子を見ていたブレックスが「どう思う?」と
ブライトやヘンケンに意見を求める。
「分かりません…
ですが我々は時間を稼ぐ必要があります。」
「応じるしか選択肢はなさそうですね。」
ブライトに続いてヘンケンが致し方なしといった
表情でブレックスに返す。
「メインエンジンを直すまでの時間か…」ーーー。 すいません重複しました…
《アークエンジェル》は先程まで鳴っていた
艦内のアラートが止んでおり
居住ブロックの食堂にある大型モニターには
外の様子が映し出されていた。
「おい!あっちのモニターで外の様子が見れるぞ!」」
部屋から出ていたトールがキラ達にそう叫ぶと
皆は顔を見合わせて頷くと
トールのいる食堂の方へと駆けて行く。
食堂には既に避難民の多くが
モニターを食い入るように見ていた。
食堂にいた人々はざわついている。
何人かの避難民の会話で白旗を持っているのは
ティターンズのだと分かった。
「ティターンズが…白旗?」
キラ達もモニターから見えるその光景を見て
何か様子がおかしいと感じていたーーー。
《アーガマ》の右舷カタパルトに《Mk-U》1号機が
着地するとコックピットハッチが開く。
《アーガマ》にはビームライフルを構えた
《ジム・クウェル》が周りを取り囲んでいた。
それを出迎えるような形となったクワトロとアポリーが
《Mk-U》の開いたハッチを見る。 「一人だ…勇敢だな」
身を乗り出すように見下ろすノーマルスーツを来た
ティターンズの兵士が見えると
クワトロがそう呟いた。
コックピットから降りて来たティターンズ兵の
顔はバイザーによって確認する事は難しかった。
クワトロの前に降りてきたエマ・シーン中尉が
左手に持つ小型マイクをヘルメット当てる。
「バスク大佐の親書を持って参りました」
「……?」
(女がたった一人でか…)
マイクから聞こえた透き通るような女性の声に
声でクワトロは少し驚いていた。
「このモビルスーツに近付く者がいれば
あのジムが狙撃します」
そんなクワトロを尻目にエマが淡々と忠告すると
クワトロは再度周りを取り囲んでいる
ライフルを構えた《ジム・クウェル》に目を配らせる。
「…了解した…指揮官に会わせよう。着いてこい。」
クワトロは少しの間を置いてから言うと艦内へと通すーーー。
エアロックが解除されていた区画を抜けると
クワトロとエマはヘルメットを外して通路を進む。 「一人だ…勇敢だな」
身を乗り出すように見下ろすノーマルスーツを来た
ティターンズの兵士が見えると
クワトロがそう呟いた。
コックピットから降りて来たティターンズ兵の
顔はバイザーによって確認する事は難しかった。
クワトロの前に降りてきたエマ・シーン中尉が
左手に持つ小型マイクをヘルメット当てる。
「バスク大佐の親書を持って参りました」
「……?」
(女がたった一人でか…)
マイクから聞こえた透き通るような女性の声に
声でクワトロは少し驚いていた。
「このモビルスーツに近付く者がいれば
あのジムが狙撃します」
そんなクワトロを尻目にエマが淡々と忠告すると
クワトロは再度周りを取り囲んでいる
ライフルを構えた《ジム・クウェル》に目を配らせる。
「…了解した…指揮官に会わせよう。着いてこい。」
クワトロは少しの間を置いてから言うと艦内へと通すーーー。
エアロックが解除されていた区画を抜けると
クワトロとエマはヘルメットを外して通路を進む。 また重複しました。
すいません…
「一人で乗り込んで来たらしい…」
「モビルスーツでか?」
「ガンダムだよ…《Mk-U》の1号機だ。」
「いい女じゃないか…」
「だがティターンズだからな…バリバリの」
「主義者だってのか?」
クワトロに引き連れられて通路を進むエマに
《アーガマ》のクルー達は彼女の顔を見ながら
ぶつぶつと喋り出しており、彼女もその会話は
聞こえていたがあえて聞こえないふりをしていた。
「エマ・シーン中尉って言ってた人だ…」
その中にいたカミーユは
グリーノアの騒動で出会ったエマの顔を見るとそう呟いていた。
エマはクワトロの案内により応接室へと通された。
そこで彼女を迎えていたのは
ブレックスとブライト、ヘンケンの三人だった。
ブレックスと顔を合わせたエマは手に持った
一つの紙を差し出す。
「バスク・オム大佐からの親書のお返事は、
即答でお願いいたします。」
「厳しいな…」
どこか事務的な言い方にブレックスはぼやきながら
渡された親書の文章に目を通す。 まもなくして、親書を手にしたブレックスの手が
震え出すと同時に鬼のような形相をした
彼の表情をブライト達が目にする。
「……っなんと破廉恥な!中尉はこの手紙の内容を知っているのかね!?」
ブレックスは声を荒げ、彼女にそう聞くと、
眉一つ動かさぬエマは「いいえ」と一言だけ答える。
ブライトやヘンケン、そしてクワトロも
親書を手にしてその内容を確認する。
それを目にしたヘンケンとブライトも目付きが
鋭くなり腹が煮えたぎるような思いになる。
「…だからそんな涼しい顔をしていられる」
ヘンケンは親書から目を離して
エマの顔を見ながらそう言うと、
ブレックスは再度親書を手にして、
エマ・シーン本人に親書を手渡して、中を確認させる。
「え……!?カミーユ・ビダンとともに…
《ガンダムMk-U》を返さない場合は…」ーーー。
親書の内容を見たエマの表情は
まるで信じられないといった様子だった。
「カミーユの両親を殺すということだ」
クワトロが一言そう言うと
「これがティターンズのやり方だよ。
まるでギャングやヤクザだ。
一軍の指揮官が思いつくことではない…!」
と憤怒の表情を見せるブレックスが重ねた。 「ま、まさか…!バスク大佐がそのようなことを…
これは軍隊のやることではありません!」
自分が信じていたはずの軍が
このような事をするはずがない…
願いにも似た彼女の気持ちは
既に苦し紛れにも聞こえるような言葉しか返せずにいた。
「だがこれはバスクの直筆だ。
エマ中尉、君も読んだ通りだよ」
とヘンケンが鋭い言葉で彼女の言葉を論する。
「そうだ、ティターンズは軍隊ではない。
私兵だよ。わたくしの軍隊なのだ。」
とブレックスがヘンケンに続くと少しばかり
取り乱していたエマの態度が大人しくなる。
「しかし…地球連邦軍であることには変わりがありません。
あたしは…いえ、自分はバスクの私兵になった覚えはないのです。」
落ち着きを取り戻した彼女の言葉には
悲愴感が漂っていた。
軍人一家の名家の出である
彼女の軍を信じたい気持ちが尚もそうさせている。
「バスクのではないよ、中尉。
もっと大きなもの…
地球の引力に魂を引かれた人々の私兵なのだよ」
ブレックスがそう言い放つと
彼女には返す言葉が既に見つからなくなっていた。 「しかし…こんな事は
ジオンだって思いつかんような手口だ…!」
ブライトがそう言ってその精悍な顔を曇らせていた。
「ですが単なる脅しかもしれません」
ブライトの言葉に腰へ手を当てて聞いていたクワトロが言う。
そこへブレックスが二人の会話に割って入るように
「いや、バスクならやるよ大尉。
ヤツの事はこの私が一番良く知っている」
と言うと何かを思い出すかのような表情を覗かせていた。
扉の向こうで聞き耳を立て
一連の話を聞いていたトーレスが「全く…!」
と言いうと、一緒になって聞いていたシーサーが
反対側の壁に備え付けられた連絡用の受話器を取り
モビルスーツデッキに繋ぐと
「ティターンズの奴ら人質を取ってるらしいぞ!」
と言うと、モビルスーツデッキにシーサーの言葉が響く。
「よくやるじゃないか…バスクめ!聞いたか!?」
それを聞いていたアストナージが苦虫を噛み潰すような
様子で隣のデッキクルーに言うと
「なんで人質が成立するんだ?」
と言ってアストナージに問いかける。
「カミーユ・ビダンの母親だからさ!」
と答えると、
その話は瞬く間に《アーガマ》全体へ広がって行く。 「人質…?」
モビルスーツデッキに一足遅れて入ってきたカミーユは
騒がしくなっているクルー達の言葉に耳を傾けると、
自分の母親であるヒルダ・ビダンが
人質となっている事を知る。
「今の話、本当なんですか!?
僕の母が人質だって…!」
忙しなく動くデッキクルーの肩を掴んで
カミーユが詰め寄ったーーー。
ーーーーー
「カミーユ・ビダンの母親が人質に!?」
「ああ、《ガンダムMk-U》及びカミーユ・ビダンの
引き渡し要求に応じなければ彼の母親を殺すと言っている。」
ラミアスがそう確認すると
《アークエンジェル》のブリッジの空気が途端に重くなり
事態の深刻さを感じ取る事が容易に出来た。
「なんて事を……」
ノイマンがそう呟くとナタルが一歩前へ出て
モニター越しのブライトへ問いかける。
「ノア大佐。奴らの要求を呑まれるのですか?」
「ブラフの可能性もあるが
あまりゆっくりと考えている事も難しそうだ。」
変わらぬ重い表情でブライトが言うと、
ラミアスやナタルは顔を見合わせると《アーガマ》と
《アークエンジェル》のブリッジには少しの沈黙が流れる。
「…こうなったら周辺のモビルスーツを撃破して
奴らへの回答にすべきだな…。」
沈黙を破ったブレックスは苦渋の色を浮かべて口を開けると
ブライトやレコア達ブリッジクルーは
驚いた表情でブレックスの方へ顔を向ける。 「准将、それは軽率です!」
クワトロが珍しくブレックスへ噛み付くような素振りで言うと
ブリッジに戻っていたトーレスから通信が入る。
「正体不明のカプセルをキャッチ!」
「カプセル?…なんだ?映像を回せ。」
トーレスへブライトがそう指示をすると
ブリッジからの映像が応接室のモニターへ映った。
ーーーーー
《アーガマ》の前方にゆっくりと流れて来たカプセルに
ジェリドが気付くとジャマイカンから
渡された命令書を開いて目を通す。
「カプセルというのはあれか…
カプセルを敵が奪う気配を見せたら、カプセルを撃破しろ?
…戦艦を沈めるほどの爆弾なのか…?」
ジェリドが一人コックピットで言うと
「了解だジャマイカンさん」
とさらに言って操縦桿を動かし
マシンガンを手にして準備をする。
ーーーーー
ブライトはブリッジの扉開けて入るなり
「カメラを射出しろ!」
と指示すると、《アーガマ》のブリッジ横から
カメラが勢い良く射出すると
カメラに繋がれたワイヤーが延び、
カプセルに向かって直進して行くと
そのカメラの映像が鮮明に映し出された。 ブレックス達もブリッジに到着すると同時に
モニターに大きく映った映像を目にする。
「…!?カプセルの中に!?」
ブリッジに通されたエマが
カプセルの中に見える何かを確認すると
ブライトが「人間…!?…まさか!!」と言って
中に見えるものが人間に見えたのが
エマ自身だけではない事を理解した。
「わかったろう、エマ中尉?
あれがティターンズという組織なのだよ」
「…嘘です!ホロスコープです!
あれはただの映像です!!」
ブレックスがそら見ろ。と言わんばかりの口振りで
エマへ言うと、いよいよあり得ない状況に
頭が混乱して反論するが
往生際の悪いエマにとどめの一言をブレックスは言う。
「バスクはそんな面倒をしない男だ。」
それを聞いたエマはグッと息を飲み込み俯いてしまった。
ブリッジの人間達はカプセルの中身がおそらくは
カミーユの母親だろうと思っていた。 「あれの中身を確認したいが罠の可能性もある…」
カミーユ本人に確認させる手もあるとも思ったが
それをやっては彼がどうなるか?
奴らの思う壺なのでないか?
などと様々な思考がブライトの脳を駆け巡る。
「ええ…何かおかしい気がします。」
クワトロもブライトの言葉に同調するように考え込んだ。
《アークエンジェル》もカプセルを確認していた。
ブリッジにいる者たちは
ぞくりと寒気を感じると同時に汗が滲み出ていた。
「中に人がいます…!
あれがカミーユ・ビダンの母上でしょうか?」
ナタルが身を乗り出してラミアスの方へ顔をやる。
「な、何なの…あれは…チャンドラ曹長あの画像を解析して!」
人質をあのような事をしているティターンズに
怒りを感じ始めていたラミアスは語気を強めつつ
リアルな映像ではない事を願い
チャンドラへ指示を送る「は!」と言って
チャンドラがコンソールを操作し始める。
《アークエンジェル》のモビルスーツデッキでは
ブリッジから映し出される映像がそのまま流れており
全員が固唾を飲んで見ていた。
「まさかあれがカミーユ・ビダンの母親ってんじゃないだろうな!?」
モビルスーツデッキで待機をしていたムウが
ロベルトに確認すると
「おそらくそうでしょう…人のやる事ではない…!」
大きく頷きながら、怒りにも似た表情で吐き捨てた。 食堂のモニターから外の様子を見ていた
キラ達や避難達はその映像を見て静まり返っていた。
「な…なんだよ…あれ…」
「あれ…人よね?」
トールとミリアリアが声を震わせて小さく言うと
やはりあれは人なのだとその場にいる全員が認識していた。
「女の人…だよな?」
「なんであんな所に…」
サイやキラもこの光景に妙な感覚を覚えていた。
なんの為にこんな所に人がいるのか理解出来ない彼らは
ただただその行く末を見届ける他なかったーーー。
ーーーーー
カミーユはデッキクルーの目を逃れ
《Mk-U》に乗り込むとコックピットハッチを閉じ
全天周囲モニターが作動して360度の映像が映った。
「《ガンダムMk-U》3号機出します!
邪魔はしないでくれ!オレはお袋を助けに行くんだ!」
カミーユがそう言うと、
《Mk-U》の右側にある壁に備え付けられたウェポンラックから
ビームライフルを右の手に取る。
周りにいたクルー達は慌てて
《Mk-U》から離れて行くのを
カミーユはモニターから確認していた。
モビルスーツデッキからの連絡を受けた
ブリッジオペレーターのキースロン少尉が叫ぶ。
「《Mk-II》3号機が動いた!?
カミーユがやってんの!?なんでだ!!」
それを聞いていたブライト達が慌てた様子で叫ぶ。
「なんだと!?」 声を荒げているブライトの横で
エマは「あの子が…?」とぼつりと言うと
誰に言うようでも無く
「…カプセルに入ってる人の事…
分かっているんだわ…」と一人呟く。
それを聞いていたヘンケンが
CIC席のマイクを手に取って「誰かやめさせろ!」
と焦る気持ちを抑えずに大きな声を上げているが
エゥーゴ仕様とも言える白く塗り直された
《ガンダムMk-U》はカタパルトを使わずに
スラスターを噴かせながら既に発進していた。
「なんであんなところにお袋がいるんだ…!」
全速力で突き進む《Mk-U》は目の前で鉢合わせた
《ハイザック》を気にする様子もなくカプセルに
向かって猛進して行ったーーー。
ーーーーー
《アレキサンドリア》と合流した《ボスニア》の
チャン・ヤーはまた面倒を被ると内心苛立っていた。
「出撃命令だと?」
コックピットで待機するライラ大尉の言葉は予想通りの反応だ。
と思っていたチャン・ヤー少佐は、口元の髭を摩りながら
「ああ、ジャマイカン少佐からの命令だ。」
と苛立ちを隠すように目を閉じてライラの質問に答えた。
だがこう答えただけでこの女が納得する筈が無い。
「人質を使ってまでの作戦に参加しろというのか?」
「……命令は命令だ。私も気に食わんが仕方なかろう。」
また予想通りの反応だな。
だが、これ以上の説明が出来んのだから
後は黙って出撃して貰わんと困ると考え。
「とにかく、ライラ大尉は出撃だ。」
と言葉を重ねて通信を切った。
ティターンズは自ら交渉を反故にするつもりか?
ならばエマ・シーンとかいうのはどうなる…
相手を油断させる為だけのエサに使われたのか?
ジャマイカンの作戦…気に入らないな。
だが…奴かどうかを確かめるチャンスでもあるか…
そう考えていたライラの体は妙に熱を帯びていた。 「来た…!カプセルを奪おうってんだな!?」
ジェリドは目の前を通り過ぎた《Mk-U》に
武器の照準をロックオンするとマシンガンを放つ。
これを《Mk-U》が躱すとジェリドは軽く舌打ちを
しながら再び照準を合わせようとする。
カプセルの目の前まで到着したカミーユ。
既にカプセルの中がモニターから肉眼できる状態だった。
彼が目にしたもの
それは紛れもなく彼の母親だった。
ヒルダは怯えた様子で
何かを伝えようと体を何度も大きく動かしていた。
なぜ?なんでここに?カミーユの頭の中は真っ白だった。
パイロットスーツの下に着ているインナーシャツや
下着が汗でぐっしょりとなっている気持ちの悪い
不快感を感じながら混乱する頭を整理出来ずにいた。
「いつもそうだ…いつもそうだ…いつもそうやって…!
あなたは何やってんです!そんなところで!」
カミーユはそう叫び
操縦桿を軽く動かしてカプセルを覆うように
両手のマニュピレーターが
カプセルに触れようとしていたその刹那。
「爆弾もろとも消えて無くなれよ《Mk-U》!」
ジェリドはグリップのボタンを親指でグッと押すと
両手で構えたままのマシンガンが火を吹くように
カプセル目掛けて銃弾の雨が飛んで行くーーー。 銃弾の雨はマニュピレーターとカプセルに
ぶつかり火花が広がったその瞬間、
カプセルが割れて中にいたヒルダの体は
マシンガンの銃弾によりただの肉片と化す。
《Mk-U》の右手マニュピレーターには大量の血が
打ち付けられるようにこびり付き、
その瞬間を目の当たりにした《アーガマ》や
《アークエンジェル》のクルー達、
そしてキラ達や避難民達もその恐ろしい光景を見ていた。
ヒルダの無残な血肉が無重力空間に
放り出された時には彼らは思わず目を伏せた。
酷い…
こんな簡単に人の命が奪われていいものなのか…
あんな死に方は人の死に方じゃない…
こんな時代は早く終わらせるべきなんだ…
キラは唇を血が流れてきそうなほどに
強く噛み歯を食い込ませていた。
ーーーーー
ザフトの《ヴェサリウス》と《ガモフ》は
隕石に隠れながら
エゥーゴとティターンズのその一連の様子を見ていた。
「た、隊長…!あれは…」
アデス艦長は状況を飲み込めずといった感じだったが
クルーゼは何もかも分かっているかのような様子で
「諸君、あれがティターンズというものさ…」
そう言い放つクルーゼの体内を流れる赤い血は
滾(たぎ)るほどの高揚感に満ち足りていた。
面白い…実に面白いものを見せてくれる…
これこそが私の望むものだ…
憎悪の念が広がる宇宙は
クルーゼの心を満たしていたーーー。 これにて終了いたします。
途中で名無しに変わってますが気にしないで下さい。 投下おつおつ
キラがなんかまたなんか憑りつかれかかっとるねえ……
めっさ続きが読みとうおじゃる
ちなみに忘れられてるが避難所、まだ存在しておりますん
【クロス統合】もし種・種死の世界に○○が来たら
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/10411/1244447433/ >>109
GJ!アスランとフレイとは新しいな。
>>141
GJ!
このイベントが来てしまったか……カミーユはつらいよなあ。
てか、バスクってティターンズにとって余計なことしかしてないな。
そらエリアルドさんも真実知ったら茫然だわ。 923です。
>>142
>>143
コメありがとうございます。
では投下致しますが、
猿さん食らったら日をまたぐ可能性ありますので
ご勘弁を……。 #1
第12話_「交錯する戦場」
「はぁ?まだ出撃するなだって?」
《ガモフ》のノーマルスーツルームでディアッカが
声を裏返して聞くとイザークが
「隊長からの御達しだ。
命令あるまで待機…それが今の任務だ。」
と本人もディアッカの心中を察したかのような
不満たらたらな口ぶりで言う。
更にディアッカは思い出したかのように、
「なぁ、さっきの見たかよ…?」と言ってニコルの顔を見る。
「あんな事…!許される事じゃありませんよ。」
普段は温和なニコルはやや興奮気味に語気を強めていた。
彼らもまたヒルダ・ビダンが散って行くのを
その目で見ていたのだった。
状況から判断すればあれがティターンズの用意した
人質だという事は想像に難しくなかった。
その光景を見た若きザフトの兵士達は
『血のバレンタイン』によって抱いた怒りの炎を燃やし
倒すべきはティターンズだという事を再認識していた。
隊長であるクルーゼはそれを逆手に取って
標的を先ずはティターンズのみに絞り込んでいた。 #2
何度見てもモニターのウインドウに映し出されている
白い《Mk-U》に異常があるようには見えなかった。
何だ…?何でもなかったのか?
《Mk-U》の装甲は何でもない。
爆弾では無かったのか?
だが…この不愉快さはなんなんだ?
ジェリドは様々な思考が脳内を駆け巡ると共に
言いようもない不快感に見舞われていた。
「うっうっうっ…うあぁぁぁ!」
リニアシートに座るカミーユは
頭を左右に振り乱し、涙を流し絶叫していた。
目の前で起きた事全てが鮮明に脳の中でリピートする。
それを受け止められない彼の心から
ふつふつと心の奥底から何かが湧き上がると
視線の先に見える一つ目の巨人にその感情が向けられる。
カミーユは叫びながら、操縦桿を前に押し出し
フットペダルを全開まで踏み込むと
爆発的な加速度を加えて《ハイザック》に向かって行く。
「何でもないぞ!?
どうなっているんだジャマイカン!!」
漆黒の闇を切り裂く白い躯体が青い炎を煌めかせ
自分に向かってくるのを確認したジェリドは
一人そう叫びながら操縦桿を握り構えた。 #3
「こいつだ…!…こいつが!
こいつがやったんだぁ!!」
カミーユは仇敵を目の前にした鬼と化していた。
躊躇など微塵も感じられない動きで
ビームライフルを構えると《ハイザック》に向けて撃ち放った。
《アーガマ》の艦内は再びアラートが鳴っていた。
「前方よりティターンズ艦隊捕捉!
アレキサンドリアとサラミス級が4です!!」
トーレスがそう叫ぶとシーサーが続いて
「モビルスーツの出撃を確認しました!
本艦に向かってます!数は11!」
と言うと、ブリッジがざわりとする。
「やはり罠に過ぎなかったか!」
眉間に皺を寄せてブレックスが吐き捨てる。
味方がここにいるというのに攻撃をするつもりなのか?
ブライトはそう考えると、
モニターを青ざめた顔で見ていたエマに言葉をかける。
「エマ中尉、君を解放する。
早くこの艦を降りてアレキサンドリアへ帰るんだ。」
その言葉にエマは驚き目を見開いてブライトを見る。
「…よろしいのですかブライト大佐?」
「君をここで殺せばティターンズと何も変わらんからな。」
そう言うとブレックスやヘンケンはブライトの目を見て
コクリと頷いたのをエマが確認する。 #4
「…わ、分かりました…!ありがとうございます。」
エマはブライト達に頭を下げるとヘルメットを被り
バイザーを下ろしてからブリッジを後にする。
「よし!《アークエンジェル》と《モンブラン》に打電!
モビルスーツ隊全機発進させろ!」
ブライトがトーレスへ指示を送ると
即座に左舷カタパルトへ
クワトロの赤い《リック・ディアス》が
リニアカタパルト射出装置へ足を接続し発進して行く。
「中尉、取り囲んでいるジムを落とすぞ!!」
ムウがそう言うとモニターから
ロベルトの顔が映り
「了解です!」と言ってムウが頷くと、
《アークエンジェル》右舷リニアカタパルトから
《メビウス・ゼロ》が勢いよく発進すると続いて
ロベルトの《リック・ディアス》が飛び出して行く。
《アーガマ》からも
アポリーの《リック・ディアス》が発進すると
《ジム・クウェル》に向かって照準を合わせた。
「くそ…!なぜ当たらん!」
《ハイザック》は《ガンダムMk-U》のビームライフルを
躱しながらマシンガンを撃ち放つも攻撃を当てられずにいると
ジェリドはとうとう《Mk-U》の接近を許してしまった。 #5
全周囲を映し出すモニターに
《Mk-U》の顔がでかでかと映し出されると
《ハイザック》のコックピット全体が大きく揺れる。
「貴様か!母さんを殺したのは!?」
コックピットが揺れると同時にカミーユの声と
荒い息遣いが接触回線を通してジェリドの耳に入る。
「母さん…?」
何を言ってるんだ?こいつは…?
ジェリドは
《Mk-U》から聞こえてくる声に一人怪訝な顔をしながら
操縦桿を前へ押し出しフットペダルを踏むと
《Mk-U》との相対距離を開け両手で
マシンガンを構えると、《Mk-U》に向け放ち続ける。
《Mk-U》はマシンガンを物ともせず、
シールドで受け止めると右手に持った
ビームライフルを放つと、
《ハイザック》のマシンガンに命中して
収束されたメガ粒子の火線はマシンガンのマガジンに誘爆して
爆発を起こす。
揺れるコックピットでジェリドはその衝撃で
苦悶の表情を浮かべ歯を噛み締める。
ジェリドは衝撃に耐えると《ハイザック》が
時間にして一秒二秒という一瞬だが動きが止まる。
それを見逃さなかったカミーユは
《ハイザック》の後ろに回り込み背後を取ると
バックパックのウイングノズルを左手で掴み
右手のビームライフルの柄(え)で
《ハイザック》の後頭部を何度も殴りつける。 #6
「殺すことは…なかったんだ!殺すことはなかったんだ!」
カミーユはそう叫びながら、
尚も《ハイザック》を殴り続けると、
再びカミーユの声が《ハイザック》のコックピットに響く。
この声…なんだ?
何処かで聞いた事のある声だ…
衝撃で体が前後左右に降られ、
コックピットのモニターが乱れる中でジェリドは
初めてではない聞き覚えのある声の正体に気付くーーー。
「確か…カミーユとかって女みたいな名前の…
……あんな子供に!」
子供相手に好きなようにやられている事に
気付いて妙な焦りに襲われると、
ジェリドは右手の操縦桿を前後に動かして、
フットペダルをさらに強く踏むと、
バックパックノズルから青い炎が噴き荒れ、
《Mk-U》を一気に振り払おうとする。
カミーユもそれに気付いたのか
操縦桿のグリップボタンを押し
バルカン砲を撃ち散らすと
ジェリドがそれは織り込み済みといった感じで
距離を開けながら《ハイザック》を反転させ、
左手に備え付けられた細長い濃緑のシールドでそれを防ぎきる。 #7
そこへ濃紺色の《ガンダムMk-U》が
カミーユとジェリドの間に割って入る。
「カミーユ、ジェリド!離れなさい!!
ジェリド中尉、これに乗ってるのは子供なのよ!?」
エマはジェリドに通信で止めに入る。
エマの荒々しい声を聞いたジェリドは少し驚いた表情で
操縦桿を強く握る手は力を緩めた。
「落ち着けカミーユ君!
復讐心に支配されれば精神が壊れるぞ!!」
クワトロの《リック・ディアス》は後ろから
肩を触れて接触回線でクワトロがカミーユを諌める。
「邪魔するな!」
カミーユがそれを拒絶すると、
《リック・ディアス》を振り払って、
左手でバックパックのビームサーベルを引き抜く。
「カミーユ!!」
「殺してやる…殺してやる!」
クワトロは尚もカミーユを止めるが彼の感情は
この程度の制止で止まる事など難しかった。
エマの制止によってほぼ無防備となっていた
《ハイザック》へ《Mk-U》が再び襲いかかると、
サーベルで《ハイザック》のシールドごと左腕を溶断した。 #8
「くそ…!エマ、こいつをなんとかしろ!!」
《ハイザック》の失った左腕を見て表情が歪むジェリドは
語気を強めエマに援護を求める。
「もうおやめなさい!カミーユ!」
エマは機体を操作して、
カミーユの乗る《Mk-U》の両肩を掴むと
接触回線を通してクワトロに続き、
カミーユを落ち着かせようとする。
その行動を見ていたジェリドは即座に通信を開いて
「……エマ!?貴様なぜそいつを撃たないんだ!?」
と言って《Mk-U》を攻撃しない
エマへ声を荒げ問いかける。
しかし、そんなジェリドの言葉にモニターに映るエマは
ジェリドに向かって鋭い目付きで訴えかける。
「こんな汚いやり方で事を片付けようなんて
軍のやり方じゃないからよ!」
「汚い…?何を言っているんだエマ!!」
「カプセルの中にはカミーユ・ビダンのお母様がいたのよ…!」
「な…なんだと!?」
エマの口から出た言葉は
ジェリドを動揺させるに充分だった。
あの小僧の母親だと…?
じゃあ殺したのは俺だってのか?
なぜそんな事をしたのだ…?
ジャマイカン…どういう事だ…
…いや……これは命令だ…
悪いのは俺じゃない…ジャマイカンだ…!
これは命令だったんだ!!
俺は悪くないぞ! 0===。El
(・∀・ ) ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
>┘>┘ #9
卑劣な作戦の犠牲者の内の一人とも言って良い彼は、
気付けば自分を庇うような考えに行き着くようになっていた。
「あなたはそれを知って心が痛まないの!?」
「俺は…俺はそんな事は知らない!!
…作戦は作戦だ…!軍人なら仕方ないだろう!?」
ジェリドはエマの訴えに臆する事なく
今の自らの気持ちを吐き出す。
軍人ならば一つ一つの感情に流されず
軍務に準ずるのが当然の事なのだから。
「それなら…!あの子を撃つなら私はあなたを撃つわ!!」
「な…に!?…狂ったか!?俺たちを裏切るつもりか!!」
エマの言葉を聞いたジェリドは驚きを隠さなかった。
そんな理由で鞍替えするというのかこの女は?
軍人一家の名家のお嬢様がこんな真似をして
全てを失ってまでこんな事が出来るのか…?
そう感じたジェリドの心は、
何かもやもやとした気持ちになっていた。
「自分の気持ちを裏切るわけにはいかない!
ジェリド中尉、今は《アレキサンドリア》へお引きなさい!
あなたの機体は戦える状態ではないわ!」
エマはジェリドにそう言って警告して撤退を促すと
ジェリドは妙に落ち着いてその言葉に納得していた。 #10
その時、クワトロの乗る《リック・ディアス》に向けて
頭上から黄色く光る火線が2発3発と降り注ぐ。
「…?あれは交渉に出ていた《Mk-U》と
奪われたというもう1機の《Mk-U》か…。」
では交渉は成功したのか?
だがそれに関する合図が何もない…どうなっている?
そう考えながらも《リック・ディアス》に向けて
ビームライフルを放ったのはライラの《ガルバルディβ》だった。
「邪魔をしてくれる…!」
クワトロはビームライフルを躱すと
すかさずバックパックにマウントされた
クレイバズーカを手に撃ち抜き反撃を試みる。
ライラは煙の尾を引く砲弾の弾道を見極めて躱す。
「おかしい…なぜ奴らは動かない…?」
《リック・ディアス》と交戦しながら、
挙動のおかしい2機の《Mk-U》に気付き
ジェリドの《ハイザック》へ通信を送る。
「そこのザク、ボスニアの《ガルバルディ》隊だ。
ガンダムは何故動かないんだ?」
「黒い《ガンダムMk-U》のパイロットが裏切った!!」
彼女の問いにジェリドが吐き捨てるように言うと、
ライラが驚いて視線の先にいる2機の《Mk-U》に視線を向ける。 0===。El
(・∀・ ) 『さるウゼェ』と心の中で思ったならッ!その時スデに支援は終わっているんだッ!
>┘>┘ #11
「俺はこの状態では戦えん!引かせてもらうぞ!!」と、
ジェリドは重ねて
アレキサンドリアに向かって反転し、
バーニアを噴かし引いていった。
「待て!!」
カミーユはヒルダを殺した《ハイザック》が引くのを見ると、
それを追おうとするがコックピットに、
熱源が接近する警告音が鳴る。
「ん…!?」
これ以上無いという程のタイミングで
カミーユの乗る《Mk-U》へ、ビームライフルを見舞ったが
無意識に操縦桿とフットペダルを動かして
鼻先を掠めるように《ガルバルディβ》の
ライフルから放たれた火線をカミーユは躱した。
「なに…!?今のを躱すのか!」
「お前も邪魔をするのか!」
カミーユはそう叫んで《ガルバルディβ》に向けて
ビームライフルを構えグリップのボタンを押すと、
銃口から放たれた黄色い光軸がライラ機を襲うと、
光軸の先に『自分』に覆い被さるような
“意思”とも“気”とも言えない“何か”を感じ、
ライラは慌ててフットペダルを踏み込んで躱すと、
距離を大きく開けて動きを止める。
「今のは…あの子はニュータイプとでもいうのか…?」
ライラは操縦桿を強く握ながら一人呟くが、
先ほどの“何か”を感じた彼女は自分の呟いた
言葉に違和感を覚える。 0===。El
(・∀・ ) バァ―――z___ン
>┘>┘ #12
「…あの子?あの子と言ったのか私は…?」
そう考えていた彼女のノーマルスーツの中に着ている
シャツや下着は既にびっしょりと濡れていた。
動きを止めた《ガルバルディβ》に再びライフルを向けると
コックピットにまた警告音が鳴る。
カミーユがコンソールに目をやると、
10数もの熱源がこちら側に向かっているのが確認出来た。
コンソールから目を離し顔を上げると眼前から
何本ものビームの光軸がこちらに伸びてくる。
「く…!?」
「カミーユ、冷静になれ!!
数では不利だ。各個撃破で行くぞ!」
《アレキサンドリア》の僚艦の1隻、
サラミス改級《マダガスカル》から発進した
4機の《ジム・クウェル》は、
カミーユとクワトロのもとへと向かって行く。
エマの乗る《Mk-U》が
クワトロ機の肩に掴むと接触回線を通す。
「クワトロ大尉!私はもうティターンズには戻りません!」
クワトロの目付きが鋭くなり、眉を軽く細める。
「本気か?エマ・シーン中尉。」
「はい。それを示す為にも今はエゥーゴと共に戦います!」
エマはそう言うと
《Mk-U》の右手に持ったビームライフルの銃口は
ライラの《ガルバルディβ》へ向けられると
その銃口からビームが放たれる。 #13
ビームを躱したライラは
宇宙空間に馴染む濃紺の《Mk-U》を見据え、
「く…!本気で裏切ったというのか!」
と、ジェリドの言葉が本当の事だと理解して吐き捨てる。
するとコックピットから通信を知らせる音が耳に入る。
「隊長!こちらが押され気味です!!援護を頼みます!!」
それを聞いたライラは軽く舌打ちして、
「…奴らは《マダガスカル》の
《クウェル》隊に任せるか…!」と言って、
モニターに拡大表示されるクワトロの《リック・ディアス》や、
カミーユとエマの《Mk-U》を一瞥して部下の下へと急いだ。
《アークエンジェル》の豊富な武装と、
前線に出ている《アーガマ》や、
直掩機の頑張りでなんとか艦にダメージを受けずに済んでいた。
しかし数の上での劣勢は覆らず、向こうの直掩機も合わせれば、
ティターンズの戦力は軽く20機はいると見てよい状況に、
《アークエンジェル》のブリッジは焦りの色が出始めていた。
そこへ、モビルスーツデッキにいるチーフメカニックの
マードックから通信が入る。 0===。El
( ○ ) 全力で支援しろ!
>┘>┘ #14
「艦長!あのキラ・ヤマトって坊主が《ストライク》に!」
「…何ですって!?」
モニターに映る彼は慌てた様子で声をあげると、
ラミアスも目を見開いて立ち上がり、
「《ストライク》へ繋げ!」
と、CIC席に座るナタルはオペレーターの
ロメロ・バル軍曹へ指示を送ると、
通信モニターにノーマルスーツを着ていないキラが映る。
「キラ・ヤマト君、あなた何をしているの!?」
ラミアスが鋭い目付きでモニター越しのキラを見て
語気を強めて詰め寄る。
「勝手な真似をしてすいません。
僕も戦います!」
ラミアスの問いに答えたキラの表情からは
既に気の弱そうな印象が消えていた。
それを見たラミアスは、ヘリオポリスの
あの時の出来事を思い出していた。
「馬鹿な事はやめろキラ・ヤマト!!」
「早くハッチを開けて下さい!!
敵が多いんでしょう!?
避難民も守らなくちゃいけないなら戦える僕も出ます!」
ナタルがキラを諌めていると、被せるようにキラが反論をする。 #15
横目でそのやり取りを聞いていたラミアスは
腰に手を当て頭を抱えるような仕草で口を開く。
「……分かりました…
でもノーマルスーツだけでも着てくれないかしら?」
と、言うとブリッジがざわめく。
片手で額(ひたい)に手を当てているラミアスの表情からは、
観念したという様子が伺えた。
「……宜しいのですか艦長!?」
一つ息を飲んだナタルはラミアスの方へ体を向け
顔を見上げながらラミアスへ問うと、
「責任は私が取ります。
でも彼にいくら反対しても多分、
梃子でもコックピットから降りないわ。」
と言って、呆れ気味の顔をして問いに答える。
「…ありがとうございます。
ラミアス艦長…。」
「礼なんていいから早く着替えて来なさい。」
「はい!」
モニター越しに映るキラとそうやり取りをすると、
メカニックマンのブライアンに連れられて、
コックピットを降りノーマルスーツルームに向かって行った。
「マードック曹長、彼が戻るまでに
“エールストライカーパック”を準備して。」
「わっかりました!!急いで準備
しますぜ!」
ラミアスはそう指示するとマードックが、
気合のこもった声で意気揚々と答えると準備に取り掛かった。 #16
ムウはライラ隊の《ガルバルディβ》と交戦していた。
ムウはおそらくこの敵の隊の中で、
空間戦闘における練度が高く、
一番厄介な相手達だと警戒していた。
「やっぱり黒いジムより動きが良いな!」
ムウが《ガルバルディβ》の2連ミサイルランチャーを躱すと
「だがこれは躱せるか!?」
と、叫ぶとガンバレルを展開する。
展開したガンバレルをモビルスーツの死角へと誘導すると
ガンバレルから連続してマシンガンが放たれる。
《ガルバルディβ》の頭部、シールド、脚部、右腕部を
的確に打ち据えると、
チタン合金・セラミック複合材製の装甲が、
次第に貫かれ始め、やがて爆発を起こす。
「よっしゃあ!!」
と言って軽く口笛を吹くと、
トドメの一撃としてリニアガンをコックピットに撃ち放つと、
大きな火球となって周囲の闇を照らした。
一歩遅く駆け付けたライラが到着するも状況は悪くなっていた。
「ち…!やはりあいつがいたか!!」
ライラは《メビウス・ゼロ》をその視界に入れると
操縦桿を握るその手が力み、
体が少し宙に浮くような感覚に陥る。 #17
「ん…!?…この感覚は…」
ムウが反射的にそう呟くと、
“何か”を感じた方へ顔を向け、フットペダルを強く踏み、
ライラの《ガルバルディβ》へ向け加速して行く。
「近付いてくる…!この“感じ”…奴か…!?」
ライラの予感が確信に変わると、心臓の鼓動は途端に早くなる。
それと同時に何故か向かってくる存在が、
ハッキリと分かってしまう自分を不思議に思っていた。
「おい!そこのモビルスーツ!!
応答しろ!!」
ムウはオープン回線を使って、
《ガルバルディβ》にコンタクトを取る。
ミノフスキー粒子が戦闘濃度まで上がりきった、
この戦闘宙域は長距離通信機器が使用できない状況だが、
ムウは回線が通じる距離まで近付いていた。
「この声…やはり…!?」
ムウの独特の声を聞いたライラは完全に動きを止めた。
「おい!答えろ!!
俺はムウ・ラ・フラガ大尉だ!」
動きの止まった《ガルバルディβ》を見たムウも
呼び掛けをしながら《メビウス・ゼロ》の動きを止める。
「…久しぶりだな…ムウ・ラ・フラガ。」
ライラはムウの呼び掛けにようやく応じて、
「私はライラ・ミラ・ライラだ。
えているだろう?」と言って、
落ち着いた口調で名乗った。 #18
「そんな気はしていたが…やはりライラか……!」
彼女の名前を聞いたムウの中で、眠っていた記憶が
走馬灯のように脳の中を駆け巡る。
多くの若き男女の仲間と共に訓練に明け暮れた日々に、
死線をくぐり抜けた信頼する友…
彼女と過ごした多くの日々や肌の温もり。
時代の荒波によって信じていた仲間達との決別の刻ーーー。
「エゥーゴにいたなんてな!」
「いずれはこうなる運命だったんだろうな。」
怒りにも似た声でムウに話をするライラに
いつもの落ち着いた様子でムウが返す。
「連邦軍を裏切るというのか?」
「俺は裏切ったつもりはない。
だが腐敗しきった連邦政府は
既にティターンズに迎合している…
そんな世界はフェアじゃない。」
彼女の問いを躊躇なく返すムウの言葉を聞くと
ムウ・ラ・フラガという男は、
こういう達観的な男だったと思い出していた。
だからこそ可能性や夢を彼に見ていた。
しかしコーディネイターという存在の出現や
ティターンズの誕生という歴史が彼らを引き裂いたーーー。
彼との記憶を思い出しながらも、
もう何も言うまいと
覚悟を決めたような様子で
「ならば私はあなたを撃たせてもらう!」
と言って操縦桿のグリップボタンを押すと、
ビームライフルを撃ち放つと《メビウス・ゼロ》目掛けて
メガ粒子の光軸が襲いかかる。 #19
「くっ…!!待て、俺はお前とは戦いたくはない!」
すんでの所で《ガルバルディβ》のライフルから放たれた
ビームを躱して背後に回り込んで、ライラを諌める。
「甘いよ…!!アンタはみんなを引っ張れる男だった!
それを知っていながら私を…仲間を裏切ったんだ!」
激情にかられたライラは機体を反転させて、
堰を切ったようにビームライフルを乱射する。
「チ…!!連邦軍の腐敗はもう充分見たはずだ!!
なぜそれを分からないんだライラ!」
手当たり次第に撃ち放つライラの攻撃は
ムウの腕前からすれば容易に躱す事が出来た。
一方アポリーはロベルトや
《モンブラン》の《ジムU》隊と協力して、
包囲していた3機の《ジム・クウェル》を相手にしていた。
《アークエンジェル》と《モンブラン》の防衛をしている、
4機の《ジムU》は《ジム・クウェル》を迎撃していたが、
既に2機の《ジムU》が堕とされていた。 #20
「ち…!あれじゃ力が足りんか…!?」
アポリーが汗を滲ませながら吐き捨てると、
《ジム・クウェル》に向けて、
クレイバズーカを撃ち放ち相手のシールドを破壊すると、
追い打ち様に左手に構えたビームピストルを2発、3発と浴びせ
《ジム・クウェル》の頭部とコックピット部分に直撃する。
熱核反応炉への誘爆はせず、
《ジム・クウェル》は両の手足をだらんとさせると、
宇宙空間に漂うデブリの一部となっていった。
ーーーーー
「隊長、始まりました。」
「よし、モビルスーツ隊全機発進とガモフに通達。
こちらも残りの戦力を全て出すぞ。」
身を隠してエゥーゴとティターンズの戦いを
司令席に座って見ていたクルーゼは、
オペレーターからの報告にピクリと眉を動かすと、
相変わらずの淡々とした口調で指示を出した。
「よし、モビルスーツ隊発進を急がせろ!」
クルーゼの鶴の一言を待っていたアデス艦長が指示を出す。
今回の作戦は両軍が交戦し入り乱れた所を
奇襲してティターンズを叩くという単純なものだった。 #21
「ティターンズに地獄を見せてやれ。
エゥーゴは気にする必要はない。各自の健闘を祈る。」
戦闘開始前で騒がしい《ヴェサリウス》と、
《ガモフ》の艦内、そして出撃前の
モビルスーツのコックピット内にクルーゼの声が響いていた。
《ヴェサリウス》のモビルスーツデッキでは
アスランが《イージス》のコックピットに乗り込んで、
一人考え事をしているとミゲルがコックピットに
体半分を突っ込みアスランの双眸(そうぼう)を覗き込んで話す。
「俺もまた出撃だ。
アスラン、ヘリオポリスの時のような
腑抜けた戦い方はだけは勘弁してくれよ。」
そう言うと、大破した専用機の《ジン》ではなく、
クルーゼより譲り受けた《シグー》に向かって、
その体を泳がせていった。
腑抜けてなどいない……。が、
外から見ればそのように見えるんだろうな…。
と、反論しかけた自分を押し殺して己を
半ば自虐的に分析していた。 #22
《イージス》のコックピットハッチを閉じ、
オールビューモニターを作動させると、
内壁のディスプレイがデッキ内部を360度映し出す。
ハンガーから《イージス》が離れ、
カタパルトの発進位置に立つ。
「キラ…お前はそこにいるのか…?」
そう呟いて、カタパルトデッキの先に広がる
漆黒の宇宙に向けて薄紅色のガンダムが発進して行く。
「アスラン達が発進した!俺達も出るぞ!!」
《ガモフ》で発進態勢にあった、
イザークが回線を通じて指示を出すと、
「了〜解!」と軽いディアッカの返事が返ってくる。
「よし、イザーク・ジュール、《デュエル》出るぞ!!」
イザークがそう言うと、《デュエル》の躯体が浮き上がり
前方へ発進しようとすると、
《デュエル》のバックパックにジョイントされた、
エネルギー供給用のケーブルが引っ張られ、
機体を前進させケーブルをパージすると
《デュエル》が勢いよくカタパルトから発進して行く。 #23
《アレキサンドリア》のブリッジには
戦況を見ていたジャマイカンが呟く、
「ふん、エゥーゴの《アーガマ》もこれで終わりだな。」
勝利を確信したかのような物言いのジャマイカンに対して、
「エゥーゴなど所詮は烏合の衆です。
我々ティターンズのように統制された組織にしてみれば
このくらいは赤子の手を捻るくらい簡単な事です。」
と、副官のガディ・キンゼーが、
したり顔で言うと口元を釣り上がらせた。
その時、ブリッジオペレーターが悲鳴にも似た声を上げる。
その耳障りな声に副官のガディが
「落ち着かんか!!何事か!?」
と、一喝するように言うと、
「9時の方向!ザフトのモビルスーツ2機と機種不明機が3!
ナスカ級とローラシア級です!!」
その言葉に司令席に座っていたガティとジャマイカンが
驚いた表情を丸出しにして立ち上がる。
「迎撃!迎撃だ!!」
「展開しているモビルスーツを何機かこちらに戻せ!!」
上擦り語気を強めた声で、
ガティとジャマイカンが慌てた様子で指示を出す。 #24
みなさんどんどん支援お願いします!!
「エ…エゥーゴと交戦中の部隊が戻るまで10分はかかります!!」
「それまでなんとかもたせんか愚か者!!」
情けない声で指示に答えるオペレーターに
ガティが怒号を浴びせると
隣の司令席に座るジャマイカンが
「バスク閣下に繋げ!!」
と言って、今回の作戦終了後にグリプスへ戻る予定だった、
《ブルネイ》に乗り移っていたバスクへと通信を繋げる。
「まんまと横っ面を叩かれたようだなジャマイカン。」
モニターに映るバスクが軽く皮肉を、
ジャマイカンに浴びせると、
「は……」と少し歯切れの悪い返事を押し被せるように
「閣下、ここは一度グリプスへお戻り下さい。」
と言ってバスクの顔色を伺う。
「うむ、分かった。
作戦が上手くいかなかったのならば、
私がここにいる必要もあるまい。
以後の追撃任務は君に任せる。」
以外にもジャマイカンの策が、
上手く行かなかった事に対して、
追及しなかった事をジャマイカン本人は内心驚いたが、
あえて平静を装いつつ、「……は…。お任せ下さい。」
とだけ答え通信を終わらせた。 #25
カミーユ機、エマ機の《ガンダムMk-U》と、
クワトロの駆る《リック・ディアス》は
4機の《ジム・クウェル》を撃破し、
《サチワヌ》隊の《ハイザック》部隊4機を相手にしていた。
「チ…キリがないな…エマ中尉、大丈夫か?」
物量で押してくる相手に対して、
クワトロが舌打ちしつつも、
こちら側に寝返ったエマ中尉を気遣う。
彼女からはティターンズに関する情報を聞き出す為にも
ここで死なれては困るからと考えての事だった。
宇宙での戦いに慣れているエゥーゴにとって
厄介なのはルナツーの部隊などの正規の宇宙軍兵達だが、
彼女のパイロットとしての腕は確かであり、
とても地球出身とは思えない空間戦闘能力を発揮していた。
「大丈夫です。《Mk-U》は良い性能を発揮してくれています。」
と、クワトロの問いにエマは凛とした声で返す。
《Mk-U》の性能を引き出せている彼女を、
クワトロは改めて感心している様子で、
『素質』がありそうだ…と、感じていた。
そうやり取りしている間に、
《ハイザック》が近付き、クワトロとエマは再び、
迎撃態勢を取ると、《ハイザック》隊は散開して
その内の2機がカミーユ機の方へと向かって行く。 0===。El
(・∀・ ) ドォ―――z___ン
>┘>┘ #26
ビームライフルを装備した《ハイザック》隊はどうやら、
各個撃破へとシフトし、2機の《ハイザック》が
カミーユの乗る《Mk-U》へ集中砲火を浴びせるーーー。
その《ハイザック》の撃ち放つ一筋の光軸が《Mk-U》を襲い、
その火線と共に乗って迫り来る殺気にカミーユは反応し、
咄嗟に左腕に装備されたシールドを構えると
メガ粒子の光軸はシールドにぶつかり放射線状に爆ぜる。
《Mk-U》はビームコーティングの施されたシールドで、
《ハイザック》の攻撃を防ぐと、
ビームライフルを左手に持ち替え、
腰にマウントされたバズーカを構える。
「ぞろぞろと出て来て…!!」
そう言って、グリップのボタンを押すと、
《Mk-U》の右手マニュピレーターが、
バズーカのトリガーを引くと砲口から
発射された弾頭が起爆し、数百個にも及ぶ鉄球が
2機の《ハイザック》目掛けて降り注ぎ、
小さな鉄球は《ハイザック》が撃ち放ったビームとぶつかると、
眼前に火球が幾つも発生し、やがて爆煙のみが広がる。
視界を奪われた1機の《ハイザック》が動きを止めると
爆煙の中から《Mk-U》が目の前に現れるーーー。 #27
「みんな消し去ってやる!!」
《Mk-U》は右手に持ったビームを発生させていないグリップを、
《ハイザック》のコックピットの間近へ突き出すと、
ナイフのような形に高収束されたビーム刃が形成され、
《ハイザック》のコックピットをひと突きする。
機体は爆発を起こさずにパイロットは、
家族や恋人の事を考える間も無く一瞬にして蒸発していった。
一方、前方のティターンズ艦隊の異変に気付いたトーレスが、
その様子をブライトへ報告する。
「ブライト艦長!前方で光を確認、艦砲の光です!」
それに反応したブライトは、「どういう事だ?」
と、聞くとシーサーがブライトの言葉に被せるように叫ぶ。
「これは…ザフトです!
ヘリオポリスを襲って来た奴らです!」
シーサーがそう言うと、ブリッジにいた全員が
シーサーの方へ顔を向ける。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています