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【もしも】種・種死の世界に○○が来たら13【統合】

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0001通常の名無しさんの3倍
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2013/12/23(月) 21:13:47.24ID:???
このスレは種系SSスレのうち、まとめサイトのカテゴリで
クロス物とされるスレの統合を目的としています。
種以外とのクロスオーバーを種別問わず投下してください。
種作品内でのIF作品は兄弟スレにお願いします。

過去スレ
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1196339764/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 2【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1208353319/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 3【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1212323601/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 4【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1218203927/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 5【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1226476158/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 6【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1230651332/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 7【統合】
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1233666943/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 8【統合】
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1242394476/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 9【統合】
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1254828439/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら10【統合】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/shar/1291395757/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら11【統合】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/shar/1342227660/
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら12【統合】
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/shar/1347369984/
まとめサイト
ttp://arte.wikiwiki.jp/

兄弟スレ
【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 15
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/shar/1386332621/
0119923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/07(火) 15:04:48.15ID:???
「何を言っているの?ジェリド中尉。
作戦行動以外の行為は認められないわ。」
エマは相変わらず短絡的な思考しか持ち得ない
彼に半ば呆れ返っていると
「相変わらず硬いね、小隊長さんは。」
とジェリドは重ねる。
この男の言動にエマ中尉は努めて冷静を装うが
「あなたはあなたはの作戦をしっかりやる事をお考えになったら?」
と挑発するように言い放つと
ジェリドは幼稚さを隠そうともせずに言葉を返す。
「ふ…!中尉こそ油断して《Mk-U》を奪われるなよ?」
「あなたのようなヘマはしないわ。
それより見えて来たわよ?」
ジェリドの言葉に意を介さず、前方を見ていた
エマの言葉の通り、モニターに白い船体が映る。
「あいつか…!よし、俺は作戦の通りここで待機する!」
そう言うとジェリドの《ハイザック》は
《アーガマ》からやや距離を置いたポイントへ
機体を待機させた。
0120923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/07(火) 15:08:46.62ID:???
「レーダーに感あり!
敵モビルスーツらしき熱源をキャッチ、数は5です」
そう声を上げたシーサーの言葉に
ブリッジ内は再び緊張に包まれる。
「来たか…大尉の《リック・ディアス》の補給はどうだ?」
「既に完了しているそうです」
ブライトの言葉にレコアがそう返すと頷いて、
モニターに目をやるとシーサーが更に続ける。
「さっきと侵入方位が違います!
機種不明機が3、
それに《ハイザック》と《ガンダムMk-U》です!」
機種不明?新型のモビルスーツがまた投入されたのか?
そう考えてながら侵入してきた方を確認すると
赤く点滅する光が4つほど確認できた。
「発光信号確認!…停戦の合図です!!」
「なんだと !?」
「本気か!?」
トーレスの報告にブレックスとヘンケンが
またかといった言い方で叫ぶ。
0124923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:30:25.45ID:???
モビルスーツデッキでは休戦の合図があった事を聞いた
メカニッククルー達が騒いでいた。
それが耳に入ったクワトロがアストナージに確認をする。
「また休戦だと?」
「はい、今度は白旗を確認したそうです。」
きっばりとと返すアストナージの言葉に
カミーユが間に入って口を開ける。
「モビルスーツが白旗を?」
カミーユの問いかけに
アストナージの隣にいたトラジャ・トラジャ軍曹が
頷いて「そうらしい。」
と言うと、クワトロがカタパルトデッキに出て
左手に白旗を持っている《ガンダムMk-U》を確認する。

ブリッジでは白旗を手に接近する《Mk-U》の
様子を見ていたブレックスが「どう思う?」と
ブライトやヘンケンに意見を求める。
「分かりません…
ですが我々は時間を稼ぐ必要があります。」
「応じるしか選択肢はなさそうですね。」
ブライトに続いてヘンケンが致し方なしといった
表情でブレックスに返す。
「メインエンジンを直すまでの時間か…」ーーー。
0125923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:31:35.15ID:???
モビルスーツデッキでは休戦の合図があった事を聞いた
メカニッククルー達が騒いでいた。
それが耳に入ったクワトロがアストナージに確認をする。
「また休戦だと?」
「はい、今度は白旗を確認したそうです。」
きっばりとと返すアストナージの言葉に
カミーユが間に入って口を開ける。
「モビルスーツが白旗を?」
カミーユの問いかけに
アストナージの隣にいたトラジャ・トラジャ軍曹が
頷いて「そうらしい。」
と言うと、クワトロがカタパルトデッキに出て
左手に白旗を持っている《ガンダムMk-U》を確認する。

ブリッジでは白旗を手に接近する《Mk-U》の
様子を見ていたブレックスが「どう思う?」と
ブライトやヘンケンに意見を求める。
「分かりません…
ですが我々は時間を稼ぐ必要があります。」
「応じるしか選択肢はなさそうですね。」
ブライトに続いてヘンケンが致し方なしといった
表情でブレックスに返す。
「メインエンジンを直すまでの時間か…」ーーー。
0126923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:32:36.68ID:???
すいません重複しました…



《アークエンジェル》は先程まで鳴っていた
艦内のアラートが止んでおり
居住ブロックの食堂にある大型モニターには
外の様子が映し出されていた。
「おい!あっちのモニターで外の様子が見れるぞ!」」
部屋から出ていたトールがキラ達にそう叫ぶと
皆は顔を見合わせて頷くと
トールのいる食堂の方へと駆けて行く。
食堂には既に避難民の多くが
モニターを食い入るように見ていた。
食堂にいた人々はざわついている。
何人かの避難民の会話で白旗を持っているのは
ティターンズのだと分かった。

「ティターンズが…白旗?」
キラ達もモニターから見えるその光景を見て
何か様子がおかしいと感じていたーーー。


《アーガマ》の右舷カタパルトに《Mk-U》1号機が
着地するとコックピットハッチが開く。
《アーガマ》にはビームライフルを構えた
《ジム・クウェル》が周りを取り囲んでいた。
それを出迎えるような形となったクワトロとアポリーが
《Mk-U》の開いたハッチを見る。
0127923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:34:27.42ID:???
「一人だ…勇敢だな」
身を乗り出すように見下ろすノーマルスーツを来た
ティターンズの兵士が見えると
クワトロがそう呟いた。
コックピットから降りて来たティターンズ兵の
顔はバイザーによって確認する事は難しかった。

クワトロの前に降りてきたエマ・シーン中尉が
左手に持つ小型マイクをヘルメット当てる。
「バスク大佐の親書を持って参りました」
「……?」
(女がたった一人でか…)
マイクから聞こえた透き通るような女性の声に
声でクワトロは少し驚いていた。

「このモビルスーツに近付く者がいれば
あのジムが狙撃します」
そんなクワトロを尻目にエマが淡々と忠告すると
クワトロは再度周りを取り囲んでいる
ライフルを構えた《ジム・クウェル》に目を配らせる。

「…了解した…指揮官に会わせよう。着いてこい。」
クワトロは少しの間を置いてから言うと艦内へと通すーーー。

エアロックが解除されていた区画を抜けると
クワトロとエマはヘルメットを外して通路を進む。
0128923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:36:31.42ID:???
「一人だ…勇敢だな」
身を乗り出すように見下ろすノーマルスーツを来た
ティターンズの兵士が見えると
クワトロがそう呟いた。
コックピットから降りて来たティターンズ兵の
顔はバイザーによって確認する事は難しかった。

クワトロの前に降りてきたエマ・シーン中尉が
左手に持つ小型マイクをヘルメット当てる。
「バスク大佐の親書を持って参りました」
「……?」
(女がたった一人でか…)
マイクから聞こえた透き通るような女性の声に
声でクワトロは少し驚いていた。

「このモビルスーツに近付く者がいれば
あのジムが狙撃します」
そんなクワトロを尻目にエマが淡々と忠告すると
クワトロは再度周りを取り囲んでいる
ライフルを構えた《ジム・クウェル》に目を配らせる。

「…了解した…指揮官に会わせよう。着いてこい。」
クワトロは少しの間を置いてから言うと艦内へと通すーーー。

エアロックが解除されていた区画を抜けると
クワトロとエマはヘルメットを外して通路を進む。
0129通常の名無しさんの3倍
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2014/01/08(水) 18:37:51.39ID:jasWftPG
また重複しました。
すいません…


「一人で乗り込んで来たらしい…」
「モビルスーツでか?」
「ガンダムだよ…《Mk-U》の1号機だ。」
「いい女じゃないか…」
「だがティターンズだからな…バリバリの」
「主義者だってのか?」

クワトロに引き連れられて通路を進むエマに
《アーガマ》のクルー達は彼女の顔を見ながら
ぶつぶつと喋り出しており、彼女もその会話は
聞こえていたがあえて聞こえないふりをしていた。

「エマ・シーン中尉って言ってた人だ…」
その中にいたカミーユは
グリーノアの騒動で出会ったエマの顔を見るとそう呟いていた。

エマはクワトロの案内により応接室へと通された。
そこで彼女を迎えていたのは
ブレックスとブライト、ヘンケンの三人だった。

ブレックスと顔を合わせたエマは手に持った
一つの紙を差し出す。
「バスク・オム大佐からの親書のお返事は、
即答でお願いいたします。」
「厳しいな…」
どこか事務的な言い方にブレックスはぼやきながら
渡された親書の文章に目を通す。
0130923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:39:44.08ID:???
まもなくして、親書を手にしたブレックスの手が
震え出すと同時に鬼のような形相をした
彼の表情をブライト達が目にする。
「……っなんと破廉恥な!中尉はこの手紙の内容を知っているのかね!?」
ブレックスは声を荒げ、彼女にそう聞くと、
眉一つ動かさぬエマは「いいえ」と一言だけ答える。

ブライトやヘンケン、そしてクワトロも
親書を手にしてその内容を確認する。
それを目にしたヘンケンとブライトも目付きが
鋭くなり腹が煮えたぎるような思いになる。

「…だからそんな涼しい顔をしていられる」
ヘンケンは親書から目を離して
エマの顔を見ながらそう言うと、
ブレックスは再度親書を手にして、
エマ・シーン本人に親書を手渡して、中を確認させる。

「え……!?カミーユ・ビダンとともに…
《ガンダムMk-U》を返さない場合は…」ーーー。
親書の内容を見たエマの表情は
まるで信じられないといった様子だった。

「カミーユの両親を殺すということだ」
クワトロが一言そう言うと
「これがティターンズのやり方だよ。
まるでギャングやヤクザだ。
一軍の指揮官が思いつくことではない…!」
と憤怒の表情を見せるブレックスが重ねた。
0131923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:41:37.66ID:???
「ま、まさか…!バスク大佐がそのようなことを…
これは軍隊のやることではありません!」
自分が信じていたはずの軍が
このような事をするはずがない…
願いにも似た彼女の気持ちは
既に苦し紛れにも聞こえるような言葉しか返せずにいた。

「だがこれはバスクの直筆だ。
エマ中尉、君も読んだ通りだよ」
とヘンケンが鋭い言葉で彼女の言葉を論する。
「そうだ、ティターンズは軍隊ではない。
私兵だよ。わたくしの軍隊なのだ。」
とブレックスがヘンケンに続くと少しばかり
取り乱していたエマの態度が大人しくなる。

「しかし…地球連邦軍であることには変わりがありません。
あたしは…いえ、自分はバスクの私兵になった覚えはないのです。」
落ち着きを取り戻した彼女の言葉には
悲愴感が漂っていた。
軍人一家の名家の出である
彼女の軍を信じたい気持ちが尚もそうさせている。

「バスクのではないよ、中尉。
もっと大きなもの…
地球の引力に魂を引かれた人々の私兵なのだよ」
ブレックスがそう言い放つと
彼女には返す言葉が既に見つからなくなっていた。
0132923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:43:51.25ID:???
「しかし…こんな事は
ジオンだって思いつかんような手口だ…!」
ブライトがそう言ってその精悍な顔を曇らせていた。
「ですが単なる脅しかもしれません」
ブライトの言葉に腰へ手を当てて聞いていたクワトロが言う。
そこへブレックスが二人の会話に割って入るように
「いや、バスクならやるよ大尉。
ヤツの事はこの私が一番良く知っている」
と言うと何かを思い出すかのような表情を覗かせていた。

扉の向こうで聞き耳を立て
一連の話を聞いていたトーレスが「全く…!」
と言いうと、一緒になって聞いていたシーサーが
反対側の壁に備え付けられた連絡用の受話器を取り
モビルスーツデッキに繋ぐと
「ティターンズの奴ら人質を取ってるらしいぞ!」
と言うと、モビルスーツデッキにシーサーの言葉が響く。
「よくやるじゃないか…バスクめ!聞いたか!?」
それを聞いていたアストナージが苦虫を噛み潰すような
様子で隣のデッキクルーに言うと
「なんで人質が成立するんだ?」
と言ってアストナージに問いかける。
「カミーユ・ビダンの母親だからさ!」
と答えると、
その話は瞬く間に《アーガマ》全体へ広がって行く。
0133923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/08(水) 18:45:43.18ID:???
「人質…?」
モビルスーツデッキに一足遅れて入ってきたカミーユは
騒がしくなっているクルー達の言葉に耳を傾けると、
自分の母親であるヒルダ・ビダンが
人質となっている事を知る。
「今の話、本当なんですか!?
僕の母が人質だって…!」
忙しなく動くデッキクルーの肩を掴んで
カミーユが詰め寄ったーーー。

ーーーーー

「カミーユ・ビダンの母親が人質に!?」
「ああ、《ガンダムMk-U》及びカミーユ・ビダンの
引き渡し要求に応じなければ彼の母親を殺すと言っている。」
ラミアスがそう確認すると
《アークエンジェル》のブリッジの空気が途端に重くなり
事態の深刻さを感じ取る事が容易に出来た。

「なんて事を……」
ノイマンがそう呟くとナタルが一歩前へ出て
モニター越しのブライトへ問いかける。
「ノア大佐。奴らの要求を呑まれるのですか?」
「ブラフの可能性もあるが
あまりゆっくりと考えている事も難しそうだ。」
変わらぬ重い表情でブライトが言うと、
ラミアスやナタルは顔を見合わせると《アーガマ》と
《アークエンジェル》のブリッジには少しの沈黙が流れる。

「…こうなったら周辺のモビルスーツを撃破して
奴らへの回答にすべきだな…。」
沈黙を破ったブレックスは苦渋の色を浮かべて口を開けると
ブライトやレコア達ブリッジクルーは
驚いた表情でブレックスの方へ顔を向ける。
0134923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:06:20.77ID:???
「准将、それは軽率です!」
クワトロが珍しくブレックスへ噛み付くような素振りで言うと
ブリッジに戻っていたトーレスから通信が入る。
「正体不明のカプセルをキャッチ!」
「カプセル?…なんだ?映像を回せ。」
トーレスへブライトがそう指示をすると
ブリッジからの映像が応接室のモニターへ映った。

ーーーーー

《アーガマ》の前方にゆっくりと流れて来たカプセルに
ジェリドが気付くとジャマイカンから
渡された命令書を開いて目を通す。
「カプセルというのはあれか…
カプセルを敵が奪う気配を見せたら、カプセルを撃破しろ?
…戦艦を沈めるほどの爆弾なのか…?」
ジェリドが一人コックピットで言うと
「了解だジャマイカンさん」
とさらに言って操縦桿を動かし
マシンガンを手にして準備をする。

ーーーーー

ブライトはブリッジの扉開けて入るなり
「カメラを射出しろ!」
と指示すると、《アーガマ》のブリッジ横から
カメラが勢い良く射出すると
カメラに繋がれたワイヤーが延び、
カプセルに向かって直進して行くと
そのカメラの映像が鮮明に映し出された。
0135923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:07:27.17ID:???
ブレックス達もブリッジに到着すると同時に
モニターに大きく映った映像を目にする。

「…!?カプセルの中に!?」
ブリッジに通されたエマが
カプセルの中に見える何かを確認すると
ブライトが「人間…!?…まさか!!」と言って
中に見えるものが人間に見えたのが
エマ自身だけではない事を理解した。

「わかったろう、エマ中尉?
あれがティターンズという組織なのだよ」
「…嘘です!ホロスコープです!
あれはただの映像です!!」
ブレックスがそら見ろ。と言わんばかりの口振りで
エマへ言うと、いよいよあり得ない状況に
頭が混乱して反論するが
往生際の悪いエマにとどめの一言をブレックスは言う。
「バスクはそんな面倒をしない男だ。」
それを聞いたエマはグッと息を飲み込み俯いてしまった。

ブリッジの人間達はカプセルの中身がおそらくは
カミーユの母親だろうと思っていた。
0136923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:11:01.07ID:???
「あれの中身を確認したいが罠の可能性もある…」
カミーユ本人に確認させる手もあるとも思ったが
それをやっては彼がどうなるか?
奴らの思う壺なのでないか?
などと様々な思考がブライトの脳を駆け巡る。
「ええ…何かおかしい気がします。」
クワトロもブライトの言葉に同調するように考え込んだ。


《アークエンジェル》もカプセルを確認していた。
ブリッジにいる者たちは
ぞくりと寒気を感じると同時に汗が滲み出ていた。
「中に人がいます…!
あれがカミーユ・ビダンの母上でしょうか?」
ナタルが身を乗り出してラミアスの方へ顔をやる。
「な、何なの…あれは…チャンドラ曹長あの画像を解析して!」
人質をあのような事をしているティターンズに
怒りを感じ始めていたラミアスは語気を強めつつ
リアルな映像ではない事を願い
チャンドラへ指示を送る「は!」と言って
チャンドラがコンソールを操作し始める。

《アークエンジェル》のモビルスーツデッキでは
ブリッジから映し出される映像がそのまま流れており
全員が固唾を飲んで見ていた。
「まさかあれがカミーユ・ビダンの母親ってんじゃないだろうな!?」
モビルスーツデッキで待機をしていたムウが
ロベルトに確認すると
「おそらくそうでしょう…人のやる事ではない…!」
大きく頷きながら、怒りにも似た表情で吐き捨てた。
0137923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:12:28.62ID:???
食堂のモニターから外の様子を見ていた
キラ達や避難達はその映像を見て静まり返っていた。
「な…なんだよ…あれ…」
「あれ…人よね?」
トールとミリアリアが声を震わせて小さく言うと
やはりあれは人なのだとその場にいる全員が認識していた。

「女の人…だよな?」
「なんであんな所に…」
サイやキラもこの光景に妙な感覚を覚えていた。
なんの為にこんな所に人がいるのか理解出来ない彼らは
ただただその行く末を見届ける他なかったーーー。

ーーーーー

カミーユはデッキクルーの目を逃れ
《Mk-U》に乗り込むとコックピットハッチを閉じ
全天周囲モニターが作動して360度の映像が映った。

「《ガンダムMk-U》3号機出します!
邪魔はしないでくれ!オレはお袋を助けに行くんだ!」
カミーユがそう言うと、
《Mk-U》の右側にある壁に備え付けられたウェポンラックから
ビームライフルを右の手に取る。
周りにいたクルー達は慌てて
《Mk-U》から離れて行くのを
カミーユはモニターから確認していた。

モビルスーツデッキからの連絡を受けた
ブリッジオペレーターのキースロン少尉が叫ぶ。
「《Mk-II》3号機が動いた!?
カミーユがやってんの!?なんでだ!!」
それを聞いていたブライト達が慌てた様子で叫ぶ。
「なんだと!?」
0138923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:13:50.51ID:???
声を荒げているブライトの横で
エマは「あの子が…?」とぼつりと言うと
誰に言うようでも無く
「…カプセルに入ってる人の事…
分かっているんだわ…」と一人呟く。

それを聞いていたヘンケンが
CIC席のマイクを手に取って「誰かやめさせろ!」
と焦る気持ちを抑えずに大きな声を上げているが
エゥーゴ仕様とも言える白く塗り直された
《ガンダムMk-U》はカタパルトを使わずに
スラスターを噴かせながら既に発進していた。

「なんであんなところにお袋がいるんだ…!」
全速力で突き進む《Mk-U》は目の前で鉢合わせた
《ハイザック》を気にする様子もなくカプセルに
向かって猛進して行ったーーー。

ーーーーー

《アレキサンドリア》と合流した《ボスニア》の
チャン・ヤーはまた面倒を被ると内心苛立っていた。

「出撃命令だと?」
コックピットで待機するライラ大尉の言葉は予想通りの反応だ。
と思っていたチャン・ヤー少佐は、口元の髭を摩りながら
「ああ、ジャマイカン少佐からの命令だ。」
と苛立ちを隠すように目を閉じてライラの質問に答えた。
だがこう答えただけでこの女が納得する筈が無い。

「人質を使ってまでの作戦に参加しろというのか?」
「……命令は命令だ。私も気に食わんが仕方なかろう。」
また予想通りの反応だな。
だが、これ以上の説明が出来んのだから
後は黙って出撃して貰わんと困ると考え。
「とにかく、ライラ大尉は出撃だ。」
と言葉を重ねて通信を切った。

ティターンズは自ら交渉を反故にするつもりか?
ならばエマ・シーンとかいうのはどうなる…
相手を油断させる為だけのエサに使われたのか?
ジャマイカンの作戦…気に入らないな。
だが…奴かどうかを確かめるチャンスでもあるか…
そう考えていたライラの体は妙に熱を帯びていた。
0139923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:19:58.66ID:???
「来た…!カプセルを奪おうってんだな!?」
ジェリドは目の前を通り過ぎた《Mk-U》に
武器の照準をロックオンするとマシンガンを放つ。
これを《Mk-U》が躱すとジェリドは軽く舌打ちを
しながら再び照準を合わせようとする。

カプセルの目の前まで到着したカミーユ。
既にカプセルの中がモニターから肉眼できる状態だった。
彼が目にしたもの
それは紛れもなく彼の母親だった。

ヒルダは怯えた様子で
何かを伝えようと体を何度も大きく動かしていた。
なぜ?なんでここに?カミーユの頭の中は真っ白だった。
パイロットスーツの下に着ているインナーシャツや
下着が汗でぐっしょりとなっている気持ちの悪い
不快感を感じながら混乱する頭を整理出来ずにいた。

「いつもそうだ…いつもそうだ…いつもそうやって…!
あなたは何やってんです!そんなところで!」
カミーユはそう叫び
操縦桿を軽く動かしてカプセルを覆うように
両手のマニュピレーターが
カプセルに触れようとしていたその刹那。

「爆弾もろとも消えて無くなれよ《Mk-U》!」
ジェリドはグリップのボタンを親指でグッと押すと
両手で構えたままのマシンガンが火を吹くように
カプセル目掛けて銃弾の雨が飛んで行くーーー。
0140923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:23:07.02ID:???
銃弾の雨はマニュピレーターとカプセルに
ぶつかり火花が広がったその瞬間、
カプセルが割れて中にいたヒルダの体は
マシンガンの銃弾によりただの肉片と化す。

《Mk-U》の右手マニュピレーターには大量の血が
打ち付けられるようにこびり付き、
その瞬間を目の当たりにした《アーガマ》や
《アークエンジェル》のクルー達、
そしてキラ達や避難民達もその恐ろしい光景を見ていた。
ヒルダの無残な血肉が無重力空間に
放り出された時には彼らは思わず目を伏せた。

酷い…
こんな簡単に人の命が奪われていいものなのか…
あんな死に方は人の死に方じゃない…
こんな時代は早く終わらせるべきなんだ…
キラは唇を血が流れてきそうなほどに
強く噛み歯を食い込ませていた。

ーーーーー

ザフトの《ヴェサリウス》と《ガモフ》は
隕石に隠れながら
エゥーゴとティターンズのその一連の様子を見ていた。
「た、隊長…!あれは…」
アデス艦長は状況を飲み込めずといった感じだったが
クルーゼは何もかも分かっているかのような様子で
「諸君、あれがティターンズというものさ…」
そう言い放つクルーゼの体内を流れる赤い血は
滾(たぎ)るほどの高揚感に満ち足りていた。

面白い…実に面白いものを見せてくれる…
これこそが私の望むものだ…
憎悪の念が広がる宇宙は
クルーゼの心を満たしていたーーー。
0141923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/09(木) 13:42:19.10ID:???
これにて終了いたします。

途中で名無しに変わってますが気にしないで下さい。
0142通常の名無しさんの3倍
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2014/01/10(金) 02:04:25.02ID:???
投下おつおつ
キラがなんかまたなんか憑りつかれかかっとるねえ……
めっさ続きが読みとうおじゃる

ちなみに忘れられてるが避難所、まだ存在しておりますん
【クロス統合】もし種・種死の世界に○○が来たら
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/10411/1244447433/
0143通常の名無しさんの3倍
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2014/01/10(金) 20:42:17.04ID:???
>>109
GJ!アスランとフレイとは新しいな。
>>141
GJ!
このイベントが来てしまったか……カミーユはつらいよなあ。
てか、バスクってティターンズにとって余計なことしかしてないな。
そらエリアルドさんも真実知ったら茫然だわ。
0144923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:03:35.43ID:???
923です。
>>142
>>143

コメありがとうございます。

では投下致しますが、
猿さん食らったら日をまたぐ可能性ありますので
ご勘弁を……。
0145923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:04:54.96ID:???
#1
第12話_「交錯する戦場」



「はぁ?まだ出撃するなだって?」
《ガモフ》のノーマルスーツルームでディアッカが
声を裏返して聞くとイザークが
「隊長からの御達しだ。
命令あるまで待機…それが今の任務だ。」
と本人もディアッカの心中を察したかのような
不満たらたらな口ぶりで言う。

更にディアッカは思い出したかのように、
「なぁ、さっきの見たかよ…?」と言ってニコルの顔を見る。
「あんな事…!許される事じゃありませんよ。」
普段は温和なニコルはやや興奮気味に語気を強めていた。

彼らもまたヒルダ・ビダンが散って行くのを
その目で見ていたのだった。
状況から判断すればあれがティターンズの用意した
人質だという事は想像に難しくなかった。
その光景を見た若きザフトの兵士達は
『血のバレンタイン』によって抱いた怒りの炎を燃やし
倒すべきはティターンズだという事を再認識していた。
隊長であるクルーゼはそれを逆手に取って
標的を先ずはティターンズのみに絞り込んでいた。
0146923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:08:51.21ID:???
#2

何度見てもモニターのウインドウに映し出されている
白い《Mk-U》に異常があるようには見えなかった。
何だ…?何でもなかったのか?
《Mk-U》の装甲は何でもない。
爆弾では無かったのか?
だが…この不愉快さはなんなんだ?
ジェリドは様々な思考が脳内を駆け巡ると共に
言いようもない不快感に見舞われていた。

「うっうっうっ…うあぁぁぁ!」
リニアシートに座るカミーユは
頭を左右に振り乱し、涙を流し絶叫していた。
目の前で起きた事全てが鮮明に脳の中でリピートする。
それを受け止められない彼の心から
ふつふつと心の奥底から何かが湧き上がると
視線の先に見える一つ目の巨人にその感情が向けられる。

カミーユは叫びながら、操縦桿を前に押し出し
フットペダルを全開まで踏み込むと
爆発的な加速度を加えて《ハイザック》に向かって行く。
「何でもないぞ!?
どうなっているんだジャマイカン!!」
漆黒の闇を切り裂く白い躯体が青い炎を煌めかせ
自分に向かってくるのを確認したジェリドは
一人そう叫びながら操縦桿を握り構えた。
0147923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:10:35.02ID:???
#3

「こいつだ…!…こいつが!
こいつがやったんだぁ!!」
カミーユは仇敵を目の前にした鬼と化していた。
躊躇など微塵も感じられない動きで
ビームライフルを構えると《ハイザック》に向けて撃ち放った。


《アーガマ》の艦内は再びアラートが鳴っていた。
「前方よりティターンズ艦隊捕捉!
アレキサンドリアとサラミス級が4です!!」
トーレスがそう叫ぶとシーサーが続いて
「モビルスーツの出撃を確認しました!
本艦に向かってます!数は11!」
と言うと、ブリッジがざわりとする。
「やはり罠に過ぎなかったか!」
眉間に皺を寄せてブレックスが吐き捨てる。
味方がここにいるというのに攻撃をするつもりなのか?
ブライトはそう考えると、
モニターを青ざめた顔で見ていたエマに言葉をかける。

「エマ中尉、君を解放する。
早くこの艦を降りてアレキサンドリアへ帰るんだ。」
その言葉にエマは驚き目を見開いてブライトを見る。
「…よろしいのですかブライト大佐?」
「君をここで殺せばティターンズと何も変わらんからな。」
そう言うとブレックスやヘンケンはブライトの目を見て
コクリと頷いたのをエマが確認する。
0148923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:11:56.56ID:???
#4

「…わ、分かりました…!ありがとうございます。」
エマはブライト達に頭を下げるとヘルメットを被り
バイザーを下ろしてからブリッジを後にする。

「よし!《アークエンジェル》と《モンブラン》に打電!
モビルスーツ隊全機発進させろ!」
ブライトがトーレスへ指示を送ると
即座に左舷カタパルトへ
クワトロの赤い《リック・ディアス》が
リニアカタパルト射出装置へ足を接続し発進して行く。


「中尉、取り囲んでいるジムを落とすぞ!!」
ムウがそう言うとモニターから
ロベルトの顔が映り
「了解です!」と言ってムウが頷くと、
《アークエンジェル》右舷リニアカタパルトから
《メビウス・ゼロ》が勢いよく発進すると続いて
ロベルトの《リック・ディアス》が飛び出して行く。
《アーガマ》からも
アポリーの《リック・ディアス》が発進すると
《ジム・クウェル》に向かって照準を合わせた。


「くそ…!なぜ当たらん!」
《ハイザック》は《ガンダムMk-U》のビームライフルを
躱しながらマシンガンを撃ち放つも攻撃を当てられずにいると
ジェリドはとうとう《Mk-U》の接近を許してしまった。
0149923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:13:33.04ID:???
#5

全周囲を映し出すモニターに
《Mk-U》の顔がでかでかと映し出されると
《ハイザック》のコックピット全体が大きく揺れる。
「貴様か!母さんを殺したのは!?」
コックピットが揺れると同時にカミーユの声と
荒い息遣いが接触回線を通してジェリドの耳に入る。
「母さん…?」
何を言ってるんだ?こいつは…?
ジェリドは
《Mk-U》から聞こえてくる声に一人怪訝な顔をしながら
操縦桿を前へ押し出しフットペダルを踏むと
《Mk-U》との相対距離を開け両手で
マシンガンを構えると、《Mk-U》に向け放ち続ける。

《Mk-U》はマシンガンを物ともせず、
シールドで受け止めると右手に持った
ビームライフルを放つと、
《ハイザック》のマシンガンに命中して
収束されたメガ粒子の火線はマシンガンのマガジンに誘爆して
爆発を起こす。
揺れるコックピットでジェリドはその衝撃で
苦悶の表情を浮かべ歯を噛み締める。

ジェリドは衝撃に耐えると《ハイザック》が
時間にして一秒二秒という一瞬だが動きが止まる。

それを見逃さなかったカミーユは
《ハイザック》の後ろに回り込み背後を取ると
バックパックのウイングノズルを左手で掴み
右手のビームライフルの柄(え)で
《ハイザック》の後頭部を何度も殴りつける。
0150923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:16:18.17ID:???
#6

「殺すことは…なかったんだ!殺すことはなかったんだ!」
カミーユはそう叫びながら、
尚も《ハイザック》を殴り続けると、
再びカミーユの声が《ハイザック》のコックピットに響く。

この声…なんだ?
何処かで聞いた事のある声だ…
衝撃で体が前後左右に降られ、
コックピットのモニターが乱れる中でジェリドは
初めてではない聞き覚えのある声の正体に気付くーーー。

「確か…カミーユとかって女みたいな名前の…
……あんな子供に!」
子供相手に好きなようにやられている事に
気付いて妙な焦りに襲われると、
ジェリドは右手の操縦桿を前後に動かして、
フットペダルをさらに強く踏むと、
バックパックノズルから青い炎が噴き荒れ、
《Mk-U》を一気に振り払おうとする。
カミーユもそれに気付いたのか
操縦桿のグリップボタンを押し
バルカン砲を撃ち散らすと
ジェリドがそれは織り込み済みといった感じで
距離を開けながら《ハイザック》を反転させ、
左手に備え付けられた細長い濃緑のシールドでそれを防ぎきる。
0151923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:20:18.90ID:???
#7

そこへ濃紺色の《ガンダムMk-U》が
カミーユとジェリドの間に割って入る。
「カミーユ、ジェリド!離れなさい!!
ジェリド中尉、これに乗ってるのは子供なのよ!?」
エマはジェリドに通信で止めに入る。
エマの荒々しい声を聞いたジェリドは少し驚いた表情で
操縦桿を強く握る手は力を緩めた。

「落ち着けカミーユ君!
復讐心に支配されれば精神が壊れるぞ!!」
クワトロの《リック・ディアス》は後ろから
肩を触れて接触回線でクワトロがカミーユを諌める。

「邪魔するな!」
カミーユがそれを拒絶すると、
《リック・ディアス》を振り払って、
左手でバックパックのビームサーベルを引き抜く。

「カミーユ!!」
「殺してやる…殺してやる!」
クワトロは尚もカミーユを止めるが彼の感情は
この程度の制止で止まる事など難しかった。

エマの制止によってほぼ無防備となっていた
《ハイザック》へ《Mk-U》が再び襲いかかると、
サーベルで《ハイザック》のシールドごと左腕を溶断した。
0152923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:21:45.21ID:???
#8

「くそ…!エマ、こいつをなんとかしろ!!」
《ハイザック》の失った左腕を見て表情が歪むジェリドは
語気を強めエマに援護を求める。

「もうおやめなさい!カミーユ!」
エマは機体を操作して、
カミーユの乗る《Mk-U》の両肩を掴むと
接触回線を通してクワトロに続き、
カミーユを落ち着かせようとする。

その行動を見ていたジェリドは即座に通信を開いて
「……エマ!?貴様なぜそいつを撃たないんだ!?」
と言って《Mk-U》を攻撃しない
エマへ声を荒げ問いかける。

しかし、そんなジェリドの言葉にモニターに映るエマは
ジェリドに向かって鋭い目付きで訴えかける。
「こんな汚いやり方で事を片付けようなんて
軍のやり方じゃないからよ!」
「汚い…?何を言っているんだエマ!!」
「カプセルの中にはカミーユ・ビダンのお母様がいたのよ…!」
「な…なんだと!?」

エマの口から出た言葉は
ジェリドを動揺させるに充分だった。

あの小僧の母親だと…?
じゃあ殺したのは俺だってのか?
なぜそんな事をしたのだ…?
ジャマイカン…どういう事だ…

…いや……これは命令だ…
悪いのは俺じゃない…ジャマイカンだ…!
これは命令だったんだ!!
俺は悪くないぞ!
0156923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:42:09.70ID:???
#9

卑劣な作戦の犠牲者の内の一人とも言って良い彼は、
気付けば自分を庇うような考えに行き着くようになっていた。

「あなたはそれを知って心が痛まないの!?」
「俺は…俺はそんな事は知らない!!
…作戦は作戦だ…!軍人なら仕方ないだろう!?」
ジェリドはエマの訴えに臆する事なく
今の自らの気持ちを吐き出す。
軍人ならば一つ一つの感情に流されず
軍務に準ずるのが当然の事なのだから。

「それなら…!あの子を撃つなら私はあなたを撃つわ!!」
「な…に!?…狂ったか!?俺たちを裏切るつもりか!!」
エマの言葉を聞いたジェリドは驚きを隠さなかった。

そんな理由で鞍替えするというのかこの女は?
軍人一家の名家のお嬢様がこんな真似をして
全てを失ってまでこんな事が出来るのか…?
そう感じたジェリドの心は、
何かもやもやとした気持ちになっていた。

「自分の気持ちを裏切るわけにはいかない!
ジェリド中尉、今は《アレキサンドリア》へお引きなさい!
あなたの機体は戦える状態ではないわ!」
エマはジェリドにそう言って警告して撤退を促すと
ジェリドは妙に落ち着いてその言葉に納得していた。
0157923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:43:57.35ID:???
#10

その時、クワトロの乗る《リック・ディアス》に向けて
頭上から黄色く光る火線が2発3発と降り注ぐ。

「…?あれは交渉に出ていた《Mk-U》と
奪われたというもう1機の《Mk-U》か…。」
では交渉は成功したのか?
だがそれに関する合図が何もない…どうなっている?
そう考えながらも《リック・ディアス》に向けて
ビームライフルを放ったのはライラの《ガルバルディβ》だった。

「邪魔をしてくれる…!」
クワトロはビームライフルを躱すと
すかさずバックパックにマウントされた
クレイバズーカを手に撃ち抜き反撃を試みる。
ライラは煙の尾を引く砲弾の弾道を見極めて躱す。

「おかしい…なぜ奴らは動かない…?」
《リック・ディアス》と交戦しながら、
挙動のおかしい2機の《Mk-U》に気付き
ジェリドの《ハイザック》へ通信を送る。

「そこのザク、ボスニアの《ガルバルディ》隊だ。
ガンダムは何故動かないんだ?」
「黒い《ガンダムMk-U》のパイロットが裏切った!!」

彼女の問いにジェリドが吐き捨てるように言うと、
ライラが驚いて視線の先にいる2機の《Mk-U》に視線を向ける。
0158通常の名無しさんの3倍
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2014/01/11(土) 14:44:00.86ID:???
0===。El
  (・∀・ ) 『さるウゼェ』と心の中で思ったならッ!その時スデに支援は終わっているんだッ!
 >┘>┘
0159923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 14:45:18.19ID:???
#11

「俺はこの状態では戦えん!引かせてもらうぞ!!」と、
ジェリドは重ねて
アレキサンドリアに向かって反転し、
バーニアを噴かし引いていった。

「待て!!」
カミーユはヒルダを殺した《ハイザック》が引くのを見ると、
それを追おうとするがコックピットに、
熱源が接近する警告音が鳴る。

「ん…!?」
これ以上無いという程のタイミングで
カミーユの乗る《Mk-U》へ、ビームライフルを見舞ったが
無意識に操縦桿とフットペダルを動かして
鼻先を掠めるように《ガルバルディβ》の
ライフルから放たれた火線をカミーユは躱した。

「なに…!?今のを躱すのか!」
「お前も邪魔をするのか!」

カミーユはそう叫んで《ガルバルディβ》に向けて
ビームライフルを構えグリップのボタンを押すと、
銃口から放たれた黄色い光軸がライラ機を襲うと、
光軸の先に『自分』に覆い被さるような
“意思”とも“気”とも言えない“何か”を感じ、
ライラは慌ててフットペダルを踏み込んで躱すと、
距離を大きく開けて動きを止める。

「今のは…あの子はニュータイプとでもいうのか…?」
ライラは操縦桿を強く握ながら一人呟くが、
先ほどの“何か”を感じた彼女は自分の呟いた
言葉に違和感を覚える。
0165923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:07:01.43ID:???
#12

「…あの子?あの子と言ったのか私は…?」
そう考えていた彼女のノーマルスーツの中に着ている
シャツや下着は既にびっしょりと濡れていた。

動きを止めた《ガルバルディβ》に再びライフルを向けると
コックピットにまた警告音が鳴る。

カミーユがコンソールに目をやると、
10数もの熱源がこちら側に向かっているのが確認出来た。

コンソールから目を離し顔を上げると眼前から
何本ものビームの光軸がこちらに伸びてくる。
「く…!?」
「カミーユ、冷静になれ!!
数では不利だ。各個撃破で行くぞ!」
《アレキサンドリア》の僚艦の1隻、
サラミス改級《マダガスカル》から発進した
4機の《ジム・クウェル》は、
カミーユとクワトロのもとへと向かって行く。

エマの乗る《Mk-U》が
クワトロ機の肩に掴むと接触回線を通す。
「クワトロ大尉!私はもうティターンズには戻りません!」
クワトロの目付きが鋭くなり、眉を軽く細める。
「本気か?エマ・シーン中尉。」
「はい。それを示す為にも今はエゥーゴと共に戦います!」
エマはそう言うと
《Mk-U》の右手に持ったビームライフルの銃口は
ライラの《ガルバルディβ》へ向けられると
その銃口からビームが放たれる。
0166923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:09:33.83ID:???
#13

ビームを躱したライラは
宇宙空間に馴染む濃紺の《Mk-U》を見据え、
「く…!本気で裏切ったというのか!」
と、ジェリドの言葉が本当の事だと理解して吐き捨てる。
するとコックピットから通信を知らせる音が耳に入る。

「隊長!こちらが押され気味です!!援護を頼みます!!」
それを聞いたライラは軽く舌打ちして、
「…奴らは《マダガスカル》の
《クウェル》隊に任せるか…!」と言って、
モニターに拡大表示されるクワトロの《リック・ディアス》や、
カミーユとエマの《Mk-U》を一瞥して部下の下へと急いだ。


《アークエンジェル》の豊富な武装と、
前線に出ている《アーガマ》や、
直掩機の頑張りでなんとか艦にダメージを受けずに済んでいた。

しかし数の上での劣勢は覆らず、向こうの直掩機も合わせれば、
ティターンズの戦力は軽く20機はいると見てよい状況に、
《アークエンジェル》のブリッジは焦りの色が出始めていた。
そこへ、モビルスーツデッキにいるチーフメカニックの
マードックから通信が入る。
0169923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:12:24.75ID:???
#14

「艦長!あのキラ・ヤマトって坊主が《ストライク》に!」
「…何ですって!?」
モニターに映る彼は慌てた様子で声をあげると、
ラミアスも目を見開いて立ち上がり、
「《ストライク》へ繋げ!」
と、CIC席に座るナタルはオペレーターの
ロメロ・バル軍曹へ指示を送ると、
通信モニターにノーマルスーツを着ていないキラが映る。

「キラ・ヤマト君、あなた何をしているの!?」
ラミアスが鋭い目付きでモニター越しのキラを見て
語気を強めて詰め寄る。

「勝手な真似をしてすいません。
僕も戦います!」
ラミアスの問いに答えたキラの表情からは
既に気の弱そうな印象が消えていた。
それを見たラミアスは、ヘリオポリスの
あの時の出来事を思い出していた。

「馬鹿な事はやめろキラ・ヤマト!!」
「早くハッチを開けて下さい!!
敵が多いんでしょう!?
避難民も守らなくちゃいけないなら戦える僕も出ます!」
ナタルがキラを諌めていると、被せるようにキラが反論をする。
0170923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/11(土) 15:15:00.44ID:???
#15

横目でそのやり取りを聞いていたラミアスは
腰に手を当て頭を抱えるような仕草で口を開く。
「……分かりました…
でもノーマルスーツだけでも着てくれないかしら?」
と、言うとブリッジがざわめく。
片手で額(ひたい)に手を当てているラミアスの表情からは、
観念したという様子が伺えた。

「……宜しいのですか艦長!?」
一つ息を飲んだナタルはラミアスの方へ体を向け
顔を見上げながらラミアスへ問うと、
「責任は私が取ります。
でも彼にいくら反対しても多分、
梃子でもコックピットから降りないわ。」
と言って、呆れ気味の顔をして問いに答える。

「…ありがとうございます。
ラミアス艦長…。」
「礼なんていいから早く着替えて来なさい。」
「はい!」
モニター越しに映るキラとそうやり取りをすると、
メカニックマンのブライアンに連れられて、
コックピットを降りノーマルスーツルームに向かって行った。
「マードック曹長、彼が戻るまでに
“エールストライカーパック”を準備して。」
「わっかりました!!急いで準備
しますぜ!」
ラミアスはそう指示するとマードックが、
気合のこもった声で意気揚々と答えると準備に取り掛かった。
0171923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:16:55.71ID:???
#16

ムウはライラ隊の《ガルバルディβ》と交戦していた。
ムウはおそらくこの敵の隊の中で、
空間戦闘における練度が高く、
一番厄介な相手達だと警戒していた。

「やっぱり黒いジムより動きが良いな!」
ムウが《ガルバルディβ》の2連ミサイルランチャーを躱すと
「だがこれは躱せるか!?」
と、叫ぶとガンバレルを展開する。

展開したガンバレルをモビルスーツの死角へと誘導すると
ガンバレルから連続してマシンガンが放たれる。
《ガルバルディβ》の頭部、シールド、脚部、右腕部を
的確に打ち据えると、
チタン合金・セラミック複合材製の装甲が、
次第に貫かれ始め、やがて爆発を起こす。
「よっしゃあ!!」
と言って軽く口笛を吹くと、
トドメの一撃としてリニアガンをコックピットに撃ち放つと、
大きな火球となって周囲の闇を照らした。

一歩遅く駆け付けたライラが到着するも状況は悪くなっていた。
「ち…!やはりあいつがいたか!!」
ライラは《メビウス・ゼロ》をその視界に入れると
操縦桿を握るその手が力み、
体が少し宙に浮くような感覚に陥る。
0172923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:18:47.32ID:???
#17

「ん…!?…この感覚は…」
ムウが反射的にそう呟くと、
“何か”を感じた方へ顔を向け、フットペダルを強く踏み、
ライラの《ガルバルディβ》へ向け加速して行く。

「近付いてくる…!この“感じ”…奴か…!?」
ライラの予感が確信に変わると、心臓の鼓動は途端に早くなる。
それと同時に何故か向かってくる存在が、
ハッキリと分かってしまう自分を不思議に思っていた。

「おい!そこのモビルスーツ!!
応答しろ!!」
ムウはオープン回線を使って、
《ガルバルディβ》にコンタクトを取る。
ミノフスキー粒子が戦闘濃度まで上がりきった、
この戦闘宙域は長距離通信機器が使用できない状況だが、
ムウは回線が通じる距離まで近付いていた。

「この声…やはり…!?」
ムウの独特の声を聞いたライラは完全に動きを止めた。

「おい!答えろ!!
俺はムウ・ラ・フラガ大尉だ!」
動きの止まった《ガルバルディβ》を見たムウも
呼び掛けをしながら《メビウス・ゼロ》の動きを止める。

「…久しぶりだな…ムウ・ラ・フラガ。」
ライラはムウの呼び掛けにようやく応じて、
「私はライラ・ミラ・ライラだ。
えているだろう?」と言って、
落ち着いた口調で名乗った。
0175923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/11(土) 15:21:45.67ID:???
#18

「そんな気はしていたが…やはりライラか……!」
彼女の名前を聞いたムウの中で、眠っていた記憶が
走馬灯のように脳の中を駆け巡る。
多くの若き男女の仲間と共に訓練に明け暮れた日々に、
死線をくぐり抜けた信頼する友…
彼女と過ごした多くの日々や肌の温もり。
時代の荒波によって信じていた仲間達との決別の刻ーーー。

「エゥーゴにいたなんてな!」
「いずれはこうなる運命だったんだろうな。」
怒りにも似た声でムウに話をするライラに
いつもの落ち着いた様子でムウが返す。

「連邦軍を裏切るというのか?」

「俺は裏切ったつもりはない。
だが腐敗しきった連邦政府は
既にティターンズに迎合している…
そんな世界はフェアじゃない。」

彼女の問いを躊躇なく返すムウの言葉を聞くと
ムウ・ラ・フラガという男は、
こういう達観的な男だったと思い出していた。
だからこそ可能性や夢を彼に見ていた。
しかしコーディネイターという存在の出現や
ティターンズの誕生という歴史が彼らを引き裂いたーーー。

彼との記憶を思い出しながらも、
もう何も言うまいと
覚悟を決めたような様子で
「ならば私はあなたを撃たせてもらう!」
と言って操縦桿のグリップボタンを押すと、
ビームライフルを撃ち放つと《メビウス・ゼロ》目掛けて
メガ粒子の光軸が襲いかかる。
0179923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/11(土) 15:25:03.37ID:???
#19

「くっ…!!待て、俺はお前とは戦いたくはない!」
すんでの所で《ガルバルディβ》のライフルから放たれた
ビームを躱して背後に回り込んで、ライラを諌める。

「甘いよ…!!アンタはみんなを引っ張れる男だった!
それを知っていながら私を…仲間を裏切ったんだ!」
激情にかられたライラは機体を反転させて、
堰を切ったようにビームライフルを乱射する。
「チ…!!連邦軍の腐敗はもう充分見たはずだ!!
なぜそれを分からないんだライラ!」
手当たり次第に撃ち放つライラの攻撃は
ムウの腕前からすれば容易に躱す事が出来た。


一方アポリーはロベルトや
《モンブラン》の《ジムU》隊と協力して、
包囲していた3機の《ジム・クウェル》を相手にしていた。

《アークエンジェル》と《モンブラン》の防衛をしている、
4機の《ジムU》は《ジム・クウェル》を迎撃していたが、
既に2機の《ジムU》が堕とされていた。
0180923 ◆cehD7uPtpU
垢版 |
2014/01/11(土) 15:27:29.37ID:???
#20

「ち…!あれじゃ力が足りんか…!?」
アポリーが汗を滲ませながら吐き捨てると、
《ジム・クウェル》に向けて、
クレイバズーカを撃ち放ち相手のシールドを破壊すると、
追い打ち様に左手に構えたビームピストルを2発、3発と浴びせ
《ジム・クウェル》の頭部とコックピット部分に直撃する。
熱核反応炉への誘爆はせず、
《ジム・クウェル》は両の手足をだらんとさせると、
宇宙空間に漂うデブリの一部となっていった。

ーーーーー

「隊長、始まりました。」
「よし、モビルスーツ隊全機発進とガモフに通達。
こちらも残りの戦力を全て出すぞ。」
身を隠してエゥーゴとティターンズの戦いを
司令席に座って見ていたクルーゼは、
オペレーターからの報告にピクリと眉を動かすと、
相変わらずの淡々とした口調で指示を出した。

「よし、モビルスーツ隊発進を急がせろ!」
クルーゼの鶴の一言を待っていたアデス艦長が指示を出す。
今回の作戦は両軍が交戦し入り乱れた所を
奇襲してティターンズを叩くという単純なものだった。
0182923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:29:42.45ID:???
#21

「ティターンズに地獄を見せてやれ。
エゥーゴは気にする必要はない。各自の健闘を祈る。」
戦闘開始前で騒がしい《ヴェサリウス》と、
《ガモフ》の艦内、そして出撃前の
モビルスーツのコックピット内にクルーゼの声が響いていた。

《ヴェサリウス》のモビルスーツデッキでは
アスランが《イージス》のコックピットに乗り込んで、
一人考え事をしているとミゲルがコックピットに
体半分を突っ込みアスランの双眸(そうぼう)を覗き込んで話す。

「俺もまた出撃だ。
アスラン、ヘリオポリスの時のような
腑抜けた戦い方はだけは勘弁してくれよ。」
そう言うと、大破した専用機の《ジン》ではなく、
クルーゼより譲り受けた《シグー》に向かって、
その体を泳がせていった。

腑抜けてなどいない……。が、
外から見ればそのように見えるんだろうな…。
と、反論しかけた自分を押し殺して己を
半ば自虐的に分析していた。
0185923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:32:20.30ID:???
#22

《イージス》のコックピットハッチを閉じ、
オールビューモニターを作動させると、
内壁のディスプレイがデッキ内部を360度映し出す。
ハンガーから《イージス》が離れ、
カタパルトの発進位置に立つ。

「キラ…お前はそこにいるのか…?」
そう呟いて、カタパルトデッキの先に広がる
漆黒の宇宙に向けて薄紅色のガンダムが発進して行く。

「アスラン達が発進した!俺達も出るぞ!!」
《ガモフ》で発進態勢にあった、
イザークが回線を通じて指示を出すと、
「了〜解!」と軽いディアッカの返事が返ってくる。

「よし、イザーク・ジュール、《デュエル》出るぞ!!」
イザークがそう言うと、《デュエル》の躯体が浮き上がり
前方へ発進しようとすると、
《デュエル》のバックパックにジョイントされた、
エネルギー供給用のケーブルが引っ張られ、
機体を前進させケーブルをパージすると
《デュエル》が勢いよくカタパルトから発進して行く。
0188923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:35:05.20ID:???
#23

《アレキサンドリア》のブリッジには
戦況を見ていたジャマイカンが呟く、
「ふん、エゥーゴの《アーガマ》もこれで終わりだな。」
勝利を確信したかのような物言いのジャマイカンに対して、
「エゥーゴなど所詮は烏合の衆です。
我々ティターンズのように統制された組織にしてみれば
このくらいは赤子の手を捻るくらい簡単な事です。」
と、副官のガディ・キンゼーが、
したり顔で言うと口元を釣り上がらせた。
その時、ブリッジオペレーターが悲鳴にも似た声を上げる。

その耳障りな声に副官のガディが
「落ち着かんか!!何事か!?」
と、一喝するように言うと、
「9時の方向!ザフトのモビルスーツ2機と機種不明機が3!
ナスカ級とローラシア級です!!」
その言葉に司令席に座っていたガティとジャマイカンが
驚いた表情を丸出しにして立ち上がる。

「迎撃!迎撃だ!!」
「展開しているモビルスーツを何機かこちらに戻せ!!」
上擦り語気を強めた声で、
ガティとジャマイカンが慌てた様子で指示を出す。
0190923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:37:00.12ID:???
#24
みなさんどんどん支援お願いします!!

「エ…エゥーゴと交戦中の部隊が戻るまで10分はかかります!!」
「それまでなんとかもたせんか愚か者!!」
情けない声で指示に答えるオペレーターに
ガティが怒号を浴びせると
隣の司令席に座るジャマイカンが
「バスク閣下に繋げ!!」
と言って、今回の作戦終了後にグリプスへ戻る予定だった、
《ブルネイ》に乗り移っていたバスクへと通信を繋げる。

「まんまと横っ面を叩かれたようだなジャマイカン。」

モニターに映るバスクが軽く皮肉を、
ジャマイカンに浴びせると、
「は……」と少し歯切れの悪い返事を押し被せるように
「閣下、ここは一度グリプスへお戻り下さい。」
と言ってバスクの顔色を伺う。

「うむ、分かった。
作戦が上手くいかなかったのならば、
私がここにいる必要もあるまい。
以後の追撃任務は君に任せる。」

以外にもジャマイカンの策が、
上手く行かなかった事に対して、
追及しなかった事をジャマイカン本人は内心驚いたが、
あえて平静を装いつつ、「……は…。お任せ下さい。」
とだけ答え通信を終わらせた。
0193923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:38:51.68ID:???
#25

カミーユ機、エマ機の《ガンダムMk-U》と、
クワトロの駆る《リック・ディアス》は
4機の《ジム・クウェル》を撃破し、
《サチワヌ》隊の《ハイザック》部隊4機を相手にしていた。

「チ…キリがないな…エマ中尉、大丈夫か?」
物量で押してくる相手に対して、
クワトロが舌打ちしつつも、
こちら側に寝返ったエマ中尉を気遣う。
彼女からはティターンズに関する情報を聞き出す為にも
ここで死なれては困るからと考えての事だった。
宇宙での戦いに慣れているエゥーゴにとって
厄介なのはルナツーの部隊などの正規の宇宙軍兵達だが、
彼女のパイロットとしての腕は確かであり、
とても地球出身とは思えない空間戦闘能力を発揮していた。

「大丈夫です。《Mk-U》は良い性能を発揮してくれています。」
と、クワトロの問いにエマは凛とした声で返す。
《Mk-U》の性能を引き出せている彼女を、
クワトロは改めて感心している様子で、
『素質』がありそうだ…と、感じていた。

そうやり取りしている間に、
《ハイザック》が近付き、クワトロとエマは再び、
迎撃態勢を取ると、《ハイザック》隊は散開して
その内の2機がカミーユ機の方へと向かって行く。
0197923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:41:47.93ID:???
#26

ビームライフルを装備した《ハイザック》隊はどうやら、
各個撃破へとシフトし、2機の《ハイザック》が
カミーユの乗る《Mk-U》へ集中砲火を浴びせるーーー。

その《ハイザック》の撃ち放つ一筋の光軸が《Mk-U》を襲い、
その火線と共に乗って迫り来る殺気にカミーユは反応し、
咄嗟に左腕に装備されたシールドを構えると
メガ粒子の光軸はシールドにぶつかり放射線状に爆ぜる。

《Mk-U》はビームコーティングの施されたシールドで、
《ハイザック》の攻撃を防ぐと、
ビームライフルを左手に持ち替え、
腰にマウントされたバズーカを構える。

「ぞろぞろと出て来て…!!」
そう言って、グリップのボタンを押すと、
《Mk-U》の右手マニュピレーターが、
バズーカのトリガーを引くと砲口から
発射された弾頭が起爆し、数百個にも及ぶ鉄球が
2機の《ハイザック》目掛けて降り注ぎ、
小さな鉄球は《ハイザック》が撃ち放ったビームとぶつかると、
眼前に火球が幾つも発生し、やがて爆煙のみが広がる。

視界を奪われた1機の《ハイザック》が動きを止めると
爆煙の中から《Mk-U》が目の前に現れるーーー。
0199923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:43:24.62ID:???
#27

「みんな消し去ってやる!!」

《Mk-U》は右手に持ったビームを発生させていないグリップを、
《ハイザック》のコックピットの間近へ突き出すと、
ナイフのような形に高収束されたビーム刃が形成され、
《ハイザック》のコックピットをひと突きする。
機体は爆発を起こさずにパイロットは、
家族や恋人の事を考える間も無く一瞬にして蒸発していった。


一方、前方のティターンズ艦隊の異変に気付いたトーレスが、
その様子をブライトへ報告する。
「ブライト艦長!前方で光を確認、艦砲の光です!」

それに反応したブライトは、「どういう事だ?」
と、聞くとシーサーがブライトの言葉に被せるように叫ぶ。
「これは…ザフトです!
ヘリオポリスを襲って来た奴らです!」
シーサーがそう言うと、ブリッジにいた全員が
シーサーの方へ顔を向ける。
0202923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:45:52.70ID:???
#28

「ザフトの指揮官はキレ者というべきか、
手段を選ばない冷酷な男というべきなのか…」
そう呟くヘンケンの目付きは、
獲物を捉える獣のように鋭くなっていた。
ザフトのヘリオポリス襲撃によって
怪我は未だに完治せず、
少しは楽になったとはいえ腕の包帯とギブスは、
普段の生活を不便な目に合っているのだから無理も無かった。

「ん!?…ブライト艦長!!
《アークエンジェル》からモビルスーツが発進しました!」
「何…?」
《アーガマ》のライトオペレーター、サマーン軍曹が
ブライトの方へ振り返り大きく声を上げると、
周辺の宙域を映し出すモニターには、
《アークエンジェル》の前方を突き進む、
GAT-X105の照合番号が確認出来た。

あれは《ストライク》だーーー。
ブライトはすぐさま、《アークエンジェル》へ繋ぐように、
トーレスへ指示を送った。

「ラミアス艦長、《ストライク》の発進を確認したが…、
そちらで何かあったのか?」
ブライト以外の者達も《ストライク》に乗っているのは
誰なのかおおよそ見当はついていた。
0206923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:50:23.01ID:???
#29

「勝手をお許し下さい。
彼がそう望み、私の一存で許可致しました。」
ラミアスは席から腰を離して立ち上がると、
モニターへ映るブライトに頭を下げる。

「…仕方あるまい。我々と行動を共にすれば、
何れはそうなるのではないかと思っていた。」
その様子を見ていたブレックスは、
ラミアスを責める事はなかった。
その言葉の通り、彼が戦場に立つのは必然だと
言わんばかりの口調だった。

「申し訳ありません…
とにかく、フラガ大尉をフォローに回します。
戦場に出した以上は彼を死なせるような事はしません。」
ラミアスがそう言うと、ブライトとブレックスは大きく頷いた。


「ン?…小僧をフォローしろだあ!?こんな時に!!」
ライラの《ガルバルディβ》と交戦中のムウに、
《アークエンジェル》からの電文を受け、
コンソールに表示された文章を目にして、口中に吐き捨てる。
0213923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 15:57:32.10ID:???
#30

「反撃しろムウ・ラ・フラガ…!
今は敵同士なんだぞ!?」
一方的に《メビウス・ゼロ》に対して、
ビームライフルの雨を浴びせるが、
ライラの攻撃は掠める事も無く一向に当たらなかったーーー。
むしろ彼女本人もムウと戦いたくないという、
潜在的意識が手元を狂わせているのだが、
それに気付かないライラは焦燥に駆られていた。

その時、一人残ったライラの部下が近付き、
通信回線を寄越して来る。
「た、隊長!艦隊がザフト軍の奇襲を受けているそうです!!
ここからお引き下さい!」

「なんだと…!?」
その言葉を聞いたライラは艦隊のある方へ、
慌ててモニターを拡大させると、
確かに戦闘の光が確認出来た。

「くそ…!ここは引くぞ!!
《ボスニア》が落とされては恥だ!!」
「はっ!!」
ライラは《メビウス・ゼロ》を睨みつけると、
母艦の《ボスニア》へ向けて撤退して行った。

「ライラ……。」
去って行く《ガルバルディβ》の背を見ながら
ムウは物思いにふけるように呟いていた。
と、その時だったーーー。
0216923 ◆cehD7uPtpU
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2014/01/11(土) 16:00:03.83ID:???
#31

「フラガ大尉!!」
キラの声が《メビウス・ゼロ》のコックピットに響くと、
いつの間に接近していた《ジム・クウェル》が爆散した。

《アーガマ》を攻撃していた《ジム・クウェル》が、
撤退をしつつ《メビウス・ゼロ》に、
ビームライフルを構えていた所を、
駆け付けた《エールストライク》が
ビームライフルで《ジム・クウェル》の
コックピットを撃ち抜いていた。

「…ん!?坊主か…大丈夫か?」
呼び掛けに気付いたムウは、
死ぬかもしれなかったと考える様子も無く、
心ここに在らずといった様子でキラへ語りかける。

「大丈夫も何も…
敵はもう引いていますよ?」
キラが怪訝そうにムウの質問に答える。
「ん…?…あ、ああそうだな。」
キラの返答を聞くと辺りを見回し、
レーダーを確認するとキラの言葉通り
周辺のモビルスーツは味方機だけだと気付いた。

「……?フラガ大尉こそ大丈夫ですか?」
付き合いは僅か数日とはいえ、
為人を分かっているつもりのキラは、
ムウの調子がいつもと違う事に気付き様子を伺う。
キラの言葉にムウは目を点にして、
数秒ほど二人の間に沈黙が訪れるが、
それを破ったのはムウだった。
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