「曹長!」
ヨーツンヘイム付近からワシヤ中尉のジムが飛ぶ。
「あの、バカ!」
基地周辺からエディのジムが機動する。

幾度かのダンスの後、振り回されながらもついにサーベルを刺さんと姿勢を取るジム、しかしそれはザクレロの
真っ正面での体制だった。ザクレロも口内ビームをジムに向ける、外しっこない距離、どっちが速い!?
ジムのサーベルだ!しかしそれは命中直前で突っ込んできたヅダのシールドが受け止める、返す刀で発射される
ザクレローのビーム、直撃かと思われたが、別方向から高速機動してきた別のジムによって的をかっさらわれる
溶接された部分がちぎれ飛び、ジャックのジムを抱えて飛び去るエディのジム。
「ぐは、っ・・・エ、エディさん?」
「もう十分だ、撤退するぞ!」
「・・・え?」
分からない、もう少しであの悪魔を仕留められた。逃がせばまた脅威になる。しかも艦を半分失い形勢不利な
この状況で撤退は・・・
「あれを見ろ!」
ジオンの基地に目をやる、そこには小さな爆発の光芒が連鎖的に起こっていた。

「な・・・マドックが、沈む!?」
呆然と見やるデミトリーに、ワシヤが説明する。
「多分、内部に侵入されていたんだ、戦闘開始してすぐだろう、内側からやられたら手の打ちようが無い、
ここは引くぞ!」
「ぐっ・・・」
歯がみしながらもザクレロをヨーツンヘイムに向けるデミトリー。見ると基地に詰めていたムサイやパプアも数隻
離脱を開始している、残存するモビルスーツもそれに向かう、基地が無くなればそこを死守する意味は無い。
連邦軍もまた残った2艦のサラミスに撤収しつつあった。もともとポーズだけの小競り合いの予定だっただけに
基地を沈めたらそれ以上は望まないし、旗艦マゼランを沈められた以上、長期戦も出来ない、いい潮時だろう。

サラミスに取り付いて帰還の途に入る連邦軍、全員が戦死者に敬礼を送りつつ宙域を後にする。
ジャックはふと、自分のジムの盾に刺さったままの敵の刃を見やる。
同胞はこいつに殺された、憎むべき敵の刃。・・・いや、違うな。敬すべき勇者の牙の痕。
それを盾からもぎとり、その空間にそっと投げ落とす、その刃を見送って敬礼をし直す。

数時間後、ジャブロー攻防戦が連邦軍の勝利に終わった一報が入る、
ジャックもエディも、これから苛烈になる戦争の予感を感じていた。


第七話でした。ザクレロは前作でも出しましたが本当に好きな機体です。
しかし唯一の華がトゲだらけのバラというべきキャデラックさんとは、色気の無いSSだ。
そのへんは艦これの人に任せるか(失礼w