谷口監督が分析する、現在のロボットアニメ

――個人的に、ロボットアニメというジャンルでは、『コードギアス』以降、特に新規のヒット作
がなかなか生まれていない印象を受けます。谷口監督は、ロボットアニメの現状をどう認識されていますか?

谷口:それについては、もう巨大ロボットが必要とされなくなってきているということでしょうね。
『シンカリオン』(※2)のような子供を主な対象とした番組はまた別ですが、巨大ロボットという存在を、
大多数のお客さんが欲しいと思わなくなってきているんだと思います。
これまで「ロボに乗ってる自分がかっこいい」「乗っているのが楽しそう」といった、ロボットに託してきた
お客さんの想いがなくなってきたのかもしれません。
これは逆にいえば、そういう楽しみを提示できていない作り手の責任とも言えます。
今の時代にどうしてもロボットものをやりたいのなら「巨大ロボットがなぜ存在するのか」という根本から
考え直さないといけません。しかし、そこまで考えることが許される現場というのがなくなってきている
のがアニメ業界の現状だと私は思います。

谷口:そもそも最近は、巨大ロボットが好きなプロデューサーが減ってきていますすからね。好きでも
ない人が作ったところで、作品も可哀想なんですよ。
お客さんの側も含めて、全体的な趣向が巨大ロボットよりも、ここにバンダイナムコアーツさんが居る
ので一例としてあげると(笑)戦車のような、より現実的なラインに降りてきているんだろうなとも思います。
話を戻しますが、現実問題として、昔ながらの巨大ロボットアニメが、今後盛り返してくるかというと、
難しいのではないかと。そもそも、ロボットを描けるアニメーターの数も減ってしまっている問題があるんです