機動戦士ガンダムU.C.100 ズム・シティの落日
第37話 【ズム・シティ】3分で分かる飛べないガルスはシュツルム・ガルス【ニヴフ専用シュツルム・ガルス】

〜U.C.100年 サイド3 ズム・シティ〜
「なんだあの機体は?」
「後ろのアイザック、防衛隊カラーじゃないわね」
「ティターンズか?!」
「ここは大丈夫なんだろうな!?」
「皆様、落ち着いて!! あの者たちの襲来も我らの想定通りです!
 蛮族は我らの手で成敗致します! どうか、席に戻って!」
パニックを起こし駆け出そうとした観覧客は、係員の教徒に抑えられる。
会場警備員はこれをどうしたものかと......「一先ず止まってください!」異教の方に従った。

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「何なのですか、あれは!!」
「心をお沈めください、スワティク・パル阿闍梨(あじゃり)!」
舞台裏で自分の公演の番を待っていたスワティク・パルは、憤慨した。
彼の日常は基本的に阿闍梨(先生)として不足のないものだ。
しかし一年戦争で妻子を毒ガスの餌食にされ、信仰に救いを求めた男の多面性は時おり暴かれる。
「ホジャ・ギジェット君のような若者に任せられません、私が引導を渡してやりましょう!」
「阿闍梨!!」
スワティク・パルは山車として用意されていたゴブリンAに乗り込んだ。
「誰ですか、あのような者たちを呼び込んだのは!!」
ゴブリンAは実弾ライフルを宙に撃ちながらずいずい進む。
「キャーっ!モビルスーツが入ってきたわ!!」
「阿闍梨......事態は深刻化するばかりですぞ」

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「あちゃー、とんでもない爆弾かかえてんじゃないの」
ニヴフは懸念以上の事態に声を上げた。
魔羅坊殿がズム・シティにもMSを持ち込むというので隔壁に待機していたが
実弾の入ったライフルなど、税関は何をしていた? 鼻薬を嗅がされていたのだろう。
それはさておき、一人コロニー待機を命じられたニヴフは
これに単独で対処しなければならない。
「奴さんは...いい感じだ、こっちに来てらぁ」
隔壁出入口からゴブリンAまで10m、7m、5...「そこだぁ!」
「何だと?!」奈落が開き、MSは尻から落ち、何事もなかったように奈落は折り畳まれた。

 幸い、巻き込まれた群衆はいなかったようだ。
「暴れん坊はとっちめないとなぁ!」
「誰なんです、貴方一体!?」
「通りすがりのシュツルム・ガルスだ!」
それはリアスカートをリック・ドムII仕様にした以外は、シュツルム・ガルスそのものだった。