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なつみSTEP
https://www.youtube.com/watch?v=H0SNJIgSB5M
二分と言う短時間に、密度の濃い中身が詰め込まれている。複数回の視聴によって観た印象が変わっていき、同時に作品へとハマる。快作。
細かく且つコミカルに描かれた背景の伏線への細かい言及は他に譲るとしよう。
しかし何故、複数回を観る気にさせるかというと、圧倒的な楽しさがあるからだ。
それは背景だけではない。物語中ぐりぐりと動く、なつみの喜怒哀楽が豊かで、見ていて自然と好感を感じさせる。
BGMも慣れ親しんだ「線路は続く」のPOPバージョンで、ワクワク感を高める。
特になつみの表情は出色で、中でもギコしぃカップルへの軽い羨望のようなジェラシーのような目線は、巧みだ。これはまたストーリーの伏線となっている点でも巧み。
そして何故なつみの表情に焦点が当たるかと言うとモブをアスキーアートが担当しているからだろう。
その記号的な表情は、なつみの人間的な表情と対になっていて、装飾過多に陥らせない。
見せるところは見せ、他は単純化させるという手腕が遺憾なく発揮されていて、様々な伏線が入り組みながらも、複雑になりすぎない。その塩梅の心地よさ。
こうして一挙手一投足を観ていく内に、なつみにすっかり好感を持ち、自分は彼女になら撲殺されてもいい、とまでは行かずとも。
ひと時の作中の天国の体験が、心の暗がりを晴らしてくれたのならば、路を戻ることは出来なくとも、心に踏ん切りをつけさせてくれたのならば。と胸に迫る余韻に浸ってしまうのだった。
萌え、というものに絶妙にアプローチした作品だと思う。
狭い私見ながら、ここまでキャラクタの感情の動きに魅了されるFlashを、増して三分以内の短編なぞ、自分は他に知らない。 ただ、これは何かパワー、センス?(あいまいー)みたいなのが無いと、「稚拙ぅ」「へたぁ」「失敗作」ってなるかもしれないです。
当作品でも観る人、観る環境、例えば流し見とかだと、そう思われるかもしれない。
センス。ここは踏み込みたいです。
あの、キャラに物凄く「リアル」というか「地に足のついた感」があるんです。
それは本当にあのOLさんが居そうな感じがする。わざとらしく演技するのではなく、そこに居る。
例えば愚痴をこぼしながらの同僚との会話、なんて、詰まらないものですよね、多くのFlashでは中だるみポイントとして削られる部分だと思います。
ただ、だからこそ、これを入れることで、創作物っぽさを消し、現実にありそう感を生んでいるようにも思います。
私に隣り合ってくれるキャラとして感情移入もしましたし、好ましくもありまして、あの社会に精一杯立ち向かって進んでいる、愛おしさが。
この愚痴シーンを、場面転換とともに、会話と心境を並行させて密度濃くぽんぽんと展開し、そこを決定的に退屈とは思わせないで通過した時点で、
この作品の迫って来るもの、伏線なぞなくとも伝わる説得力、みたいなのが確約されたんじゃないでしょうか。
(ただ、やっぱり愚痴はテンションが下がる場面なのは確かだと思うので、ここで閉じた方もいらっしゃるだろうとは思いますが)
と、女性側に感情移入させつつ、主観(OLが見たこと思ったことだけを描写している)視点を守り、老人側にはミステリアスさを持たせる。
更に、OLと老人の関係を、いささか怪しく互いに踏み込みきれない秘密の関係にしたことで、女性も必要以上にその謎を暴かない、暴かせない。
この二人の微妙であやふやな関係は転部の再確認でインパクトとなりますが、物語全編でもムーディに彩りを加えています。そう思う。
思えば、主題の桜だって、季節のほんの一時期に関係するものですし、和み、華やか、祭り、切ない、散ってしまうと言った印象があり、作品にマッチ。
と、そういうのが不意打ちになったのかな。 秒速5センチメートル My Little Lover 風と空のキリム
ttp://www.youtube.com/watch?v=T6xyZQNSyAI
>あなたに逢えたことがいちばん
>今まででうれしいと思った
>かんしょの緑が揺れる音の
>その先に沈む夕日を見た時
>いい事だけの空気を吸おうよ
>いらないものは持たないでいいよ
>多分 全部は無理だと知ってる
>だけど希望が込み上げてきてる
>どうして光さしてくるの
>訳もしれずに涙こぼれる
>あなたのことを感じる全てで
>からだをとりまいている空気まで
>海が夕日でざわついてきたら
>高まるこころポケットに詰めて
>今日はここを離れていくけど
>イメージの中には花が咲いた
>どうして人は生きていくの
>問いかけてたら涙にじんだ
>あなたのことを感じる全てで
>からだをとりまいている空気まで
>かんしょの海が手をふってた ここで言う「かんしょ」は、さとうきびの草でしょう。使われた映画が沖縄とそれを舞台にしているから。
これはメロディと歌手のakkoさんの声から、「切なさ」が漂っていて、そこから嫌でも失恋をイメージさせます。雰囲気が抜群。
でも、少しだけ歌詞は捻ってます。でも私なりになぞってみると、歌われてるのはやっぱり失恋じゃないかと思います。
少しだけの捻りなので、わざわざ開く意義もなさそうですが、私だけのために。
妄想しましょう。
「会えたこと」が「いちばん今まででうれしいと思った」
過去形の文末から、この人は思い出を振り返っているのだと匂わせます。
更に両想いだったら、「会えたこと」よりも「心と身体が通じ合った、一緒に過ごしたこと」の方がいちばんな気がします。
なので、片思いで終わったようにも思わせます。強引かな?
かんしょが揺れる。風が吹く。その先の夕日が沈む。何かが終わろうとしている。
「いいことだけの空気を吸おうよ」
ここは励ますようなフレーズですが。私には、逃げ、に思えました。
何故ならサビがこうなんです。
「あなたのことを感じる全てで からだをとりまいている空気まで」
この「からだをとりまいている空気」は「いいことだけの空気」とは違うように思います。対が「全部」とあるように。
だから、これはあなたとの関わりのいいことだけの空気を拾い、辛かったり悲しい部分だけを捨てようとしている場面じゃないかな?
となると、ここから先の「希望」や「光」は、決して明るいだけの見通しには思えません。
諦めよう、忘れようとしつつ、そうはさせない「涙までこぼれさせてしまう」そんなもの。
何か? と言うとそれこそが「あなたの全て」で「取り巻いている空気」なのではと思います。
もう見たくない、持っていたくないのに、込み上げてくる痛く辛い心や感情が今までの蓄積にあって、都合よく忘れることを許さない。
そのもがきが一番のシチュエーション。うん、強引。 二番はそれを解決へと向かわせます。
夕日が落ちようとする。どうしようもなく過ぎ去っていく時。
その中で、この人は決意をします。心は捨てない。ポケットに詰める。
「今日『は』ここを離れていくけど」で、別れを決心しつつ、何時かは、再訪を胸に秘めます。
そこで「イメージの中には花が咲いた」。決断を後押ししてくれる。
でも、それは簡単なことではない、と思わせるのが。
「どうして人は生きていくの」
と問いかけずにはいられない。
あなたへの想いは、生きていく理由、人生そのもの、と匹敵するくらいに大きかった。
だから直視することは、涙なしでは出来ない。切なさ全開です。
この苦しみつつ、離れていく、足音が、失意と希望と葛藤がないまぜな、乱れつつ前へ進む歩みが、私の心を揺さぶるのでした。
最後の。
「かんしょの海が手をふってた」
空気を動かす風を感じて、心をざわっと震わせます。
ここでの手をふるは、「バイバイ」かな。
これはかんしょから私へのさよならとも取れるし、かんしょからその先に沈む夕日へのさよならとも取れるし、
わたしと夕日の両方を結んで別れさせるのが、かんしょとも取れる。
さよなら、です。 この歌で、感慨深いのは。
「あなたのことを感じる全てで からだをとりまいている空気まで」
なのに、ここまで分かっていながら、別れてしまうことなのですが。
これはわかったからこそ、別れたと思えます。
つまり、想い人はこの人のことを好きじゃない、別に好きな人がいる、別の夢を見ている、別の世界を見ている。
そうした空気を知ってしまったからこそ、別れは必然的にやって来る。
わたしの想いとあなたの想いは違っていた。
そういう間接的な関係、直にふられたわけではないからこそ、その気持ちを断ち切るのに惑い苦しんだ。とも取れます。
えーと、この強引な解釈は、この映像に使われているまさに「秒速5センチメートル」の「COSMO OUT」から、連想したものでした。
それを知ってか知らずか、MADの作者はこの歌と映像を組み合わせている。
凄いです。うわー、と。
「秒速」はあの主題歌の「One more time,One more chance 」のインパクトが強いんですが、
「COSMO OUT」に関しては、とてもヒロインの視点に寄り添っていて、とんでもない切なさでした。
ヤヴァイ選曲センスです。 だれかのまなざし
ttp://www.youtube.com/watch?v=dSKPjZyiCs8
・死別の先にある、家族への想い、満たされる幸せ
別れ、特に死は悲しく、重く、辛いものです。
だから、悲しくて「泣ける」。
同時にそこを強調しすぎると、あざとさを感じます。
不用意に、泣けるから、大衆受けするから、この入魂の作画と熱いメッセージと叙事的な音楽で、「泣け」っていうのがあって。
そういうのには、私、距離を置いてしまいます。いや、さ、なんというか。
でも、この作品は死そのものは、描いてないんです。
猫のみーさんは、老齢で弱っている。それからナレーションでふと語り手への予感が走り、死んだとの連絡が鳴る。
この死までの詳しい過程は、省かれています。ぞぬ号のように子供を庇って死んだとか、キミボのように院内感染の病気にかかってとか。
ただそこに佇んでいて、何時の間にか消えていく。死体も死に際もナッシング。
かと言って、ねこさんを、おざなりにはしていません。
>「他の人間の誰が死んだって、こんなに悲しくはならないと思う」
>「家族だったもん」
飾ったりドラマチックなセリフじゃない分、実感があって、心に響きます。
またその中で猫が出てくる夢を見た。と語られますが。
あの、製作者側への、物凄い誘惑として、どんな夢か描きたくなる、セリフ内で明確に示唆、或いは夢そのものを描写したくなる。
実際、ドラマチックな離別の話なら、ここでもうファンタジーなんだからナレーションのように直接家族へと最後の言葉を話しかけたりとか。したくありません?
(例えば「め組の大吾」というサンデーの長編漫画があるのですが、この作品だと死んだ愛犬が夢の中で日本語で主人公に語りかけるんです。
それが物語のテーマな才能の開花、成長を象徴していて、「ああ、ここまで来たんだな」とこれはこれで心動かされたんですが)
本作の描かない、と言う選択は怠惰でも逃げでもなく、生産的な決断に思えます。 ここで話を戻して、「家族だったもん」という言葉。つまり本作は「死」を通した「家族」がテーマにあるように思います。
距離の離れてしまった父と娘。
皮肉にも二人をもう一度向き合わさせ、距離を縮めたのが「二度と帰ってこない家族の死、そこから思い知る大切さ」だった。
ここらへんをさり気なく補佐しているのが、猫の写真が映し出されるアルバムの場面。
そこには猫だけじゃなく、次いでそれを囲む父と母と娘の姿が映されていきます。家族写真なんです。
物語としても泣き所は、死んでしまった喪失感ではなく、それが埋められていく再生への過程でした。
泣けそうな歌がかかってきて、「あなた」とナレーションが呼びかけ始めます。
「あなたたちが忘れてしまったことは沢山ある」
からの、語りと音楽の心地よさ、二人が不器用に想い合っているのを知り、それでも一人立ちし始め、その先で幸せを分かち合う過程へと至る路。
そして「いろいろ思い出しちゃったなー」の呼応。
ここでもう、わー。です。私は。
泣きのクライマックスの死んだ猫と家族の写真で締めていたなら、もう号泣したんじゃないかと。
でも、新しくペットを飼う、死を乗り越えて受け止めて、娘のために飼った猫を今度は自分のために。っていうとこまで飛んで。幸せで終える。
だから、これは「死」というより「修復と克服」の感じで、このあたたかい余韻は心から祝福したいです。泣かすのが絶対正義じゃないって感じで。 ・ディティールが宿る世界観
あとは、小物が細かいです。
女の子の部屋のごちゃっとしつつも、整理された感じ。憧れの生活をしています。
スポンサーもにんまりでしょう。
新海さんの作品には余りくわしくないのですが、そうしたディティールや光の射し方にコダワリを感じていましたが。
ところどころ絵本調というか淡いパステルで囲んだ一枚の画だけで、綴る場面も見受けられました。
あーちゃんの幼年時代とか。
妥協せず精緻な風景で全体を統一したのが味というか作風だと思っていたのですが、でも、こういうのはむしろアリだと思います。
メリハリになって、疲れないというか。常に全開よりこっちの方が好み。
あと、猫を追い回して時と心を経過させる演出は、さり気なく、わかりやすくて、好きなシーンです。
個人的に「んー」だったのが、SFな近未来な要素って必要なのかな? でした。
調理道具がガスコンロから電気になってたり、時の経過も感じるんですが。
が、父さんよりに共感していた私は、どちらかというと過去⇒現代で見たかった。
でも、これは娘の話として、少年少女の方を向いて現代⇒近未来って視点の方にウェイトを置いたのかな。
・だれかのまなざし
あとはナレーションの視点です。
種明かしにびっくりしたのですが、ミスリードとなってるのが語り手が「猫のみーさん」って猫を呼んでるんですね。
だから違うのかな、って思いこんで、でもこうなって。
あと、「あーちゃん」から「あなた」に呼び方が変わってるんです。第三者的に距離を置いていたのが、あなたと呼びかけ始める。
視点がぶれてます。小説だったら、違和感が大きい初歩的なミスにもなりかねません。
でも、先の驚きは心地よいものでしたし。私のうおーポイントは。その、あなた、と話しかけていく。その距離が縮んだところだったのも確かで。
そこで何とも……タイトルが迫ってくる。
これはアニメだから出来る凄い表現なのでは、と思いました。
死生観とか世界の捉え方、みたいなそんなのまで感じるショート作品。打たれました。うん。 或る旅人の日記 6 花と女
少しだけ色調は明るめに、朝日で物語を閉じる。
終わりの寂しさと共に、どことなく希望を感じました。
「夜が明けた」からのナレーションは、このシリーズ全体を日記の一部っぽさへと閉じ込めていて。
これまでもこれからも続くだろう描かれなかった日を感じさせ、短編アニメとは思えない世界の広がりのような豊かな余韻を残します。
ナレーション部分は終いだけにして、最後の挿話、女とのやり取りには文字による補足はつきません。
なので、ちょっと曖昧気味な感じもするのですが、それは霧の中のような幻想的な雰囲気を引き立てていて。
花がわっと咲く場面、演出次第ではとても華やかなシーンになると思います。
色鮮やかな花畑や涅槃の蓮のような情景を描くのも可能だったでしょう。
けど、そこはそこ、緑の色調を徹底していて。
だからこそ際立つ幻想の中の一輪の花の桜色。
シーンの展開に、工夫を感じます。
眠っているロドルくん。光射す教会のような建物。女がふっと息を吐く。一面の花畑。と展開していきます
このシリーズの傾向として幻想から現実へと戻るだろうな、との予測があったんですが、
カメラワークで回り込みながら背景を変えて、旅の丘へと連れ戻す。
ここで面白いのが、戻し方でした。
「夢オチ」的な繋ぎ方にするとしたら、待合室で眠っていたロドルくんに戻すのがオーソドックス。
でも、敢えて旅で野宿していただろう平野へとワープさせる。
夢なのかな、回想だったのかな、異世界だったのかな、などと解釈を楽しめる描写でした。
そのカメラワークのシーンで、緑の花だらけの世界に咲いた鮮やかな一輪の花、が散っていき、次には沢山の緑の花の一つになってます。
現実へのシビアな目線も感じるのですが、ロドルくんはそれでも大切な記録の一部として日記に挟む。
こうしたカメラワークシーンのように、一つの場面で複数の筋を凝縮しているのは、ワンダフル。
噛み締めるほどに、観返すほどに楽しみや発見があって素敵です。
あと音楽というか、一つ一つの音と映像がシンクロし、一体となっていて、その滑らかさは筆舌に尽くしがたい。です。
強固に団結したチームで作品を作っているように感じました。 CATMAN RUNS
CATMANのエピソードの中でも、とびきりに私のツボをついたのが、これです。
笑い→ホラー→カッコイイ
と感情が大きく揺れながら、ぶれながら、何処か爽やかな余韻の風が吹いて来る、凄い逸品だと思います。
「払うって言ってんだろ」と言いながら、全力で逃げ続けるCATMANは、何処か愉快さがあるし、
決して立ち止まらずに投げ捨てる形でリンゴを返したり、代金を払ったりするシーンもまた味があります。
それで果物屋がリンゴを持っていて(CATMANから受け取った?)その大事な商品のリンゴをCATMAN目掛けて投げて潰してしまうシーンなんて
人の矛盾した感情の機微を話にする巧みなストーリーラインです。
そんな笑える一場面ですが、妙な不安も付き纏うのもまた事実。
前半部、何というかカメラはCATMANばかり映してるんです。追ってくる果物屋は最後の最後まで出さない。
だから本当に逃げてるのか? っていう不安がじわじわと染みてくるんです。
そして遂に登場する恐怖の本体。水に打たれたみたいにどっきんどっきんする場面です。 絵本のような小説で。読みの例。
「さきちゃんとお母さんの日々を綴った」北村薫『月の砂漠をさばさばと』。
母娘の食卓で交わされる、通学路の帰り道で出会った犬たちに名前を付ける話
白くてふわふわ⇒マロ マシュマロみたいだから
黒くてウォーウォーと鳴く⇒オペラ 鳴き方がテレビで見たのと似てたから。
???⇒アオリン
?は何でしょ。
答え:青い犬ではありませんよ、ダンボールに居たからです。ダンボールがアオリンゴのそれだったから。
ここで話は飛ぶ。団欒終了。
1の見方。
このような謎かけに、北村薫のミステリ作家としての観察力が……
殺人事件に使われるミステリの手法を……北村薫は日常のふとした会話の中で……
2の見方。
あー、なんか楽しそうだ。ほわほわ。なんか楽しそうで口が食べ物にも会話にも軽快に動くシーンだよ。こうやって体も心も成長してくんだな。素敵。
3な見方
いや、もやもやするぞ。
楽しそうな食卓のやりとりだよ。これって。子供っぽい、純情な感じがするよ。
でもさ、ダンボールに入った犬って。捨てられたってことじゃん。
これって悲しくない? それを美味しい食卓に入れるなんて。こいつを飼い犬の、恐らく血統書つきだろう、白犬と黒犬と並べて話す、残酷な子供らしさよ。
更にはこの短編集には、さきちゃんと野良猫との、楽しそうな、それでいて切なげな交流も描かれるんすよ。
自転車の荷台に野良猫を乗せて、飼えないのはわかってるけれど、連れてってウチの近所の野良猫になってもらおう的な。
母は目頭を熱くしつつダメだよと諭す的な。
ここ、滅茶苦茶、泣ける場面です。
でもね、おんなじさきちゃんが、捨て犬に名前つけて(更には一方的に名前をつけられることへの悲しい話もあり)、そのまま素通りして、食卓の話種にする。
うわー。さきちゃん、えげつな。そこまで猫派かよ。なんて純粋子供話。 ☆終わらない鎮魂歌を歌おう
https://www.youtube.com/watch?v=PUHlFJme8uY
一話一話に起伏のあるストーリー。
回想シーン、特に受験場面は切羽積もったものがあった。
それらが解けて行って、タイトルへと帰っていく構成になっている。
見方1
何もできない無力感。
主人公は自殺を止めようにも出来なかった。寧ろ死神に騙されていた。
その通底する敗北感、虚無。
だからこそ生まれる、そこから始まる出発を静かに印象付ける。
志はあれど、実態は伴わない、しかし何者かには成りたい。
という青年特有のある種の願望に沿った、読者層に合った物語と言える。
見方2
足りないのはパッションだと思う。
ここまで飛び降り自殺に対して辛い過去を抱えている主人公。
ならばそれを試す、試験として利用する死神に対して怒りのような感情が出ない方が可笑しい。
それが無くとも、前半で死神が主人公に対して見せる死への反応は冷めた、死に慣れ切ったタスク的なものだ。
なのに、後半の死神のもっともらしいセリフに打ちひしがれありのまま受け入れる。その弱さ。
試験後、死を見世物にした死神への怒り、死の危険に対して何もできなかった己の無力への怒り、そうしたパッションの爆発があってしかるべきだった。
妹が止めてくれたで、良かった良かったと脱力、いじいじとまた俺は今回も失格なのか〜、などと歪なものではなく。
パッションこそが死神の試験に真の意味で合格する、求められたものではないだろうか。
ルールを破った、死神になることよりも大切なものを知っていた、だけでは死神(と言うか応援できる主人公)の適正としてはいささか説得力に欠ける。
鎮魂歌を歌えるようで良かったね。
状況に流されるがままの主人公に魅力を感じない。 或いは、主人公は姉妹の結末に、よかったよかったと心から安堵し喜び、試験のことを忘れてしまっている。など。
パッションだ。
少なくとも
「なぁ、これ、どういう事なんだよ?」「初めからこうなるって知ってたのか?」「おい! 試験はどうなるんだよ!」
は、何というか熱さに欠ける。 ☆WONDER GARDEN
https://www.youtube.com/watch?v=iwZWK2WoogY
現実からファンタジーへの転換がテンポ良いので、すいすいと世界に引き込まれる。
妙に現代的なものを残しつつ、非現実感もあるファンタジー世界は不思議の一言。
後半のメインとなるロボクマへの結果を明示しなかったせいか、読後感が定まらず、妙にふわふわとした楽しい後味。
それも味か。 ☆On Your Mark
https://vimeo.com/75179415
昭和から見た近未来、と言うか。
お馴染みの未来像に何処となく漂う80年代臭がアクセントになり、今から見ると却って面白い。
平たいメルヘンに偏りがちな物語を、死体が横たわる映像でピリリとしめている。
二人の警察官の説明、何処にでもいそうだけれどアウトローな二人の人物への焦点の当て方。
一見、無駄とも思える居酒屋での駄弁りシーンの使い方が上手い。
長編向けのスケールの物語だが、破たんなく短くまとまっている。
使い古されたストーリーは、反面わかりやすさも提供しているようだ。 ☆Out of Sight
https://www.youtube.com/watch?v=ys2OQXLVx6M
ファンタジーな世界観。
のように見えて、子供が主役ということもあって、自分の幼年期、初めて隣の町にやって来た時のような、ドキドキ感があった。
世界を手さぐりに探検し、それが徐々に広がっていく喜び。
異世界を探検する、そこには何ら介入することはなく。
活劇は起きない。
というのはファンタジーの中でも現実的な動き。
この位の子供は大人の世界では無力なのだ。 ☆世界一不幸な男の世界一の幸福
https://www.youtube.com/watch?v=vt12zSmgcmg
街を滑車で走る場面、対向車や人間のリアクションが欲しくなる。
もっと描き込めば、より見ごたえのある映像になるだろう。
だが、主軸である怪我をする痛さの表現。
びっこ足で進む一場面でそれは叶っている。
痛みを共感させた時点であちらの勝ち。
より深い衝撃にあっ、となった。
先が読めそうで読めないのにハラハラし、ベタに落ちて安堵感がある。 ☆あした世界が終わるまえに
https://www.youtube.com/watch?v=JYOkelZTG2Q
世界が終わる際の描写、例えばメディアの動きや社会の動きと言ったマクロの視点からの描写が足りない。
が、それは「言いたいこと」ではないのだろう。
世界が終わる、を、個人の歴史が終わると対置させたストーリーの手腕。
広義の社会が描かれなくても、魚屋や男爵が出てくるだけで、人生の価値の大きさと喪失感が出ている。
荒っぽい声と筋立てなのに、何故かほろりとしてしまった。 世界消滅系では、名作Flash「あと一週間で消えるとしたら」が忘れられない。
日本が消滅するという事象を広く、社会風景を、マスメディアや軍隊込みで淡々と映しこむ。
自分が身の回りの世界ごと消滅する。
それに対して主人公は何もできない、どうしようもない無力感、無情さが染み出ていた。
あと一週間で消えるとしたら
現在では観覧不可。
映画的な構造やクラシックの曲、締めに写真を用いても、しっくりと来る強さ。
生半可な覚悟や労力でこんなのをやろうとしも、この重厚感は出せないだろうなー。
電車の乗客数を減らしたり、ラーメン屋とかの街の景色や天気の移り変わりで伝える
文字に出てこない情報量も圧倒的で、凝った視点の使い方と共に、凄く見応えがあった。
兄の死体や自衛隊員とか、迫真の見せる画が要所要所に配置されてるのもいいね。
街を歩く所とかに、力の抜き加減が大き過ぎる感もするけど。
アパートの外観とか少年の部屋の雑貨とか、架空の世界の生活感や日常感が良く出ている。
なんと言うか「存在している」って感覚が土台にあるから
それが変わっていって、「消えていく」って設定の怖さや儚さが増しているのだと思う。
建物などに自サイト名とかを使っていて、極自然に溶け込ませてはいるけれど
いっそのこと、そうした日本のどこかに実在している様な雰囲気を出すものに代替してもと。
語り口のスタイルにも魅かれた。
色んな人やメディアから危機のシグナルを知らされ、主人公も動揺して独白してるんだけど
あるべき筈の先生やクラスメートや家族内の会話のやり取りとかが、省かれてるんだよね。
日本の消滅の仕方から始まって、何もかも主人公に一方通行に圧し掛かってくる変な圧力があって
最初の方で、むなしーと思えたチャットの交流に、最後にはなんだかグッとキタ。 ☆AA「布団祭り」人生は楽しい
http://atablo.jp/twoyah/huton/047.jpg
人の死を描いた場面で、心を動かされたAAがこれだ。
誰かの死に対して立ち直れない二人、仲をこじらせる子供。と病床で死と向き合うことで生を知る大人が対比的に描かれる。
ギャグを入れつつも、その死生観は成熟している。
季節の変わり目、春に暖かい予感を抱かせるが。このシリーズは一筋縄ではいかず。泣ける。 ☆TVで放送されていないACのCMが可愛くて面白い件(猫と女子高生)
https://www.youtube.com/watch?v=KIKyDdsfMrM
テンポよく、適度にデフォルメして、わかりやすく展開していくCM。
ほのかに好感を残す作り。 ☆公共広告機構 CM 『黒い絵』
https://www.youtube.com/watch?v=SNv4hBbu8K4
子供の極めて柔軟な発想を大人の手によって潰すな、という警句が胸を打つそうだが。
感じるのは狂気のほうが大きいかな。
何かを表現したいとき、それが一般の器を超えるものの場合、そこに映るのは理解不能ともいえる天才と狂気の領域。
この作品の場合、クジラの絵ということでほっとするけれど、表現があと一歩、一般化されなければ、わけのわからない病んだものとして見做されるわけで。
このCMが奇しくも訴えかけるように、一握りの環境に恵まれた才能以外の多くのそれは最後のオチに至る前に潰れてしまう。
そういう社会が悪いとかじゃなくて、表現する際の微妙なニュアンスの厳しさ、修羅の門を感じた。
個性や才能が、大人の社会によって普通化、一般化することへの抵抗、というCM本来の意図を超えて、先のよう歪な考えさせるものが残る。
それが深みになっているというか。 めちゃイケ 箱根で温泉造り 6月11日
https://www.youtube.com/watch?v=v5J5V1YFYFY
糞動画ボンジュール。
開始7分弱で閉じた。
これは酷すぎてレビューに残したくなった。
めちゃイケってここまで堕ちたのか。
このネタは、よいこの濱口とオアシスの大久保という、前ふりに使われているように、他番組では主戦力にも使える芸人を配す。
のに、それを差し置いてメインを張る岡村がダメ。
岡村は一時と比べて劣化が激しく、往時のような動きの切れもない。
演技力も落ちている。
素のキャラも面白みがなく、長期休養で焼きが回った。
リアクション芸の弱さは、温泉の源泉をかけられても、何ら笑いにつながる反応もセリフも持ってこれないことからも明らかだ。
更に岡村が演じているE村P自体、意味不明臭が濃い。
これはめちゃイケのプロジューサー飯村氏をモチーフにした。って一視聴者が知るかっ、んなもん。
パロディーの良さは、知識の差異を利用することにある。
つまり誰しも知る有名人の物真似や、特徴的な個性を持っている人物のその個性の過度の強調。
言わば、読者がそのオリジナルを知っているからこそ、アレンジが生きるのだ。
のにこの一般人とは。
企画を通すスタッフ以外はわからない極度の内輪受けだ。
また、パロディーは既存権力の皮肉、揶揄に使われることもある。
が、テレビ業界そのものを皮肉るわけでもなく、一サラリーマンの飯村氏の権威を落とすという方向に使われている。
それにテレビ的な加工。
観客のお笑い声(これが所かまわず使われる)やテロップ(これも明らかに過剰)などが、元ネタのチープさもあって、発信者と受け手の温度差を際立たせる。 ☆風の城の8ピュタ
ニコニコより
既存権力をパロったのがこれ。パロディーを主とする作者の例に漏れず黒いので、ニコニコ以外では音が削除されたが、これも著作権制度への強い皮肉、光の当たらないアングラ臭に一役買っている。
導入が宮崎アニメでも最も有名な場面の一つに数えられるシーン。
他の箇所も、浮かびやすい、前後を連想しやすい名場面を押さえている。
故に宮崎ファン以外のアニメファンでも、置いてけぼりにしないのではないか。
美麗で愛らしいジブリに対して、キモい8頭身の対比。
痛烈なアンチテーゼだ。
しかし愛ゆえにキモイ。
作者の原作へのリスペクトと丁寧な作画が、楽しさの土台にある好感を支えている。 ☆わたしとウサノオ 脳トレ
http://www.geocities.jp/fookky104/fla/iandusanoo02.html
脳年齢はー? とか一時期流行った脳トレを強く皮肉る、脳トレパロディー。
そう、クイズっぽいのに、知識の証拠とか数値化してしまう、うさん臭さが一時期のバラエティーやゲームソフトや知育教材に確かにあった。
中身は脳のグロさと下ネタを使う。
後者は女子高生と可愛いマスコットがはしたない、と個性付けにはなっているが、前者は無駄にグロくないか。
もうちょっとマイルドな絵にぼかしてもと。
しかし縫いぐるみにカモフラージュされたオチは見事だ。
ネタのテンポが、セリフの掛け合いがとても軽快で、クイズ場面で程よくためを作る。
クイズに正解しようと赤ん坊の写真を凝視してしまった時点で、作者の術中か。 ☆陣内智則 脳トレ
https://www.youtube.com/watch?v=4VemssGMF_0
脳トレパロディーではこれが連想された。
クイズ番組によくあるフリップネタを超えた動く映像と、切れの良い突っ込みの話芸の融合。
4chなのにサザエさんネタを入れるあたりチャレンジャー。
ギラギラとしている。
一時期の機械音声や映像と実演の芸人の融合という、デジタルでも大きく先端を行っていた陣内智則の一連の芸風は、今でも追随を許すものがいない。
強い独創性があった。 ☆イシツミ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~card-card-book/isitumi.html
力の抜けた女の子テキストだが、凛とした張りのある文章だ。
それが多彩にモーションし、補佐的に美しい挿絵が添えられる。
物語のキーとなるイシツミの塔のキービジュアルの存在感、それに反してまるで趣味で積まれたかのような実用とは離れた無意味さを煽るテキスト。
その不安定感と、誰にでもある、例えば一銭にもならないFlashやレビューを生み出させる行為のような、寓意性が面白い。
のだが、話の山場は正体不明なものに追い回され、石の塔が崩壊する場面でピークとなってしまう。
オチは現実バージョンの流されて生きていた主人公。
夢のなかでさえ流されていて、石を自らの意思で壊したわけではない。
これでは夢をきっかけに、足場をしっかりと堅実に一歩一歩歩いていく成長に説得力がない。
ましてや夢バージョンで笑いながら石を何時までも積み続けるというのは、某所で触れられたようにそれまでのキャラと行為の相違が激しい。
しかし石を積む、そこに露になる狂気。
これは地獄のさいの河原を連想させる。
現実とはかけ離れた夢。
しかし、生と死のように、二つは危うい関係にある。
一つ踏み外せば抜け出せない死の深みにはまるような。
ファンタジーと現実の危うい関係。
と深く考えてしまうのだが、作品内ではやはりオチのとってつけた感は否めない。
最後の最後で、急ぎ足になりすぎて、説明不足に陥ったか。
この手のものに、説明が野暮ったいのはわかるが。適切な描写の追加でねじ伏せてほしかった。 ☆大日本昔話
http://www.geocities.jp/nnmtondayanemadetonda/mukasi.htm
シンプルな絵と音楽に、侘び寂びまで感じてしまうが、笑わせるところはしっかり笑わせる。
この作品は豪華アニメーションでリメイクされた覚えがあるが、それだとこの鋭さが失われていた。
笑いのメインとなる刑事の登場。
昔話に昭和風刑事と、取り合わせの妙、発想の奇抜さが笑いを誘う。
だけではない。
ストーリー上、一寸法師のギャグを伏線に使うという、こう来るかという驚き。
古臭さという(この場合昔話や刑事をギャグものに使うという作品そのものの使い古されたお馴染み感も含め)二つの共通点。
刑事と昔話の発想の突飛さ、だけならまだしも、その飛躍が結びつき二つの離れた点が線になる快楽、まで提供するネタ選択のチョイスが光る。 ☆セトウチ夏便り
https://www.youtube.com/watch?v=RXc_HOZgSgY
情景を中心につづられる。
何気ない日常がきらきらと眩しい。
嘘のような理想郷。
電車の座席に足を横たえる。
田舎らしい大らかな雰囲気を伝える場面だ。
最後に眼鏡をかけるところに、女から少女に戻ったような安心感。
この世界が変化しそうで変化しないことへの。 ☆木の葉化石の夏
https://www.youtube.com/watch?v=y2CdzAdOMp4
生きている風景と、子供らしいデフォルメの絵日記の取り合わせが面白い。
話は少年が一番掘り出したかったものとは。というのがしみじみと伝わってくる。
オチはわかりきっていた。
が、それを承知の上で、含みを持たせたストレートな終わらせ方が上品。 ☆SLIDE
http://www009.upp.so-net.ne.jp/counterq/rw03fl/cq.html
マウスクリックで遊べる映像。
動くおもちゃ箱のような趣向。
随所のAAは懐かしさもあるが、それ以上にアスキーアートの組み立て方、線画そのものを出したり、縦にキャラをズラしたりと、AAは記号の集積だと再認識させられる出来栄えだ。
映像としても細かい動きを散りばめながら、要所では背景も含めた大きな動きを与えていて、飽きが来ない。
これまでにも無いし、これからはもっと出ない、そういう作品だろう。 ☆アイマリンプロジェクト(後編)
https://www.youtube.com/watch?v=T6ZHKtRZv5g
>>41 前半
後半は失速かな。
前半部分の祭りやその雰囲気が全く後景に退いてしまったのは残念。
また人のクジラ化は、今までの世界観を広げるというより、何でもありのごった煮感を強調することになった。 ☆失恋
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/onb.html
手の所作を繊細に捉えている。
想い出を愛おしそうに抱く、平手打ち、パントマイム、手紙をびりびりと破るなど、何気ない動きの連続が、物語への没入度を劇的に高める。
それは表現だけに留まらない。
最後のシークエンス、携帯電話でのデリート。
思い出を断ち切るために心の中ではあれだけ動き葛藤していた。
しかし、現実では指先一つで関係は断ち切られてしまう。
その心と外の冷徹なギャップ。
だからこそ決心したはずなのに、最終決定に右に左に躊躇い惑う。
その動きに込められた万感の思い。
動作に思いが込められていて、それが伝わってくる出色の出来だ。
しかし、返す返す、このレトロと新しさを併せ持つ色彩はお見事。
難は指摘されている通り、冒頭の二人のシーン。カップルのそれというより親子の関係に見えてしまう。 ☆相棒 ボーダーライン
http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=29192651
http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=29192652
長寿番組、「相棒」の全盛期作品。
胃の内容物と三本の鍵をミステリの覚え書きに、社会の暗部を切り抜く。
ラスト三十分は被害者役者の熱演もあって、見逃せない。
犯人のいない殺人。
刑事ドラマとしては重く横たわる異物感、重い内容もあって影を落とす。
救いとしては、右京が言うように彼は単なる自殺と処理されるのではなく、死を通して誰かに殺人者を訴えてほしかった、と言うのが警察によって明らかにされていく過程。
それも取り立てて社会で報じられることもないだろう闇なのだが、それをこうした鬱屈した気持ちも含め、視聴者が体験し、共に知ることができた。
その、ドラマ内の世間は知らずとも、俺達は知った的な共有感覚。
作り手と読者の間の密やかな救いが、ビターな後味に僅かな明かりを添えている。 ☆レモナと白いイルカ
http://web.archive.org/web/20050310040604/http://www.h7.dion.ne.jp/~guchio/a7.html
糞フラボンジュール。に近いものがある。
背景の手抜き仕様と技術力不足は確かだ。
癒し系にしても、全体に起伏が足りない。
最後の音楽垂れ流しは逆効果だ。
が、数あるFlash作品の中でも抜群のインスピレーションを与えられたのも本作だ。
何だろう。
凄いと、沸いてくるものがあるとは少し違うんだなと。言い訳。
言い訳ついでに。
凄くなる素地はある。
背景の点々が星空だと分かった時の驚き。
イルカと少女に絞り、夜空を中心に持ってくる構成。
レモナがきちんと水着を着て優雅に泳いで、イルカも対比的にすいすいと水を流れ、光と魚の間を揺らぎ探索し、
水面から一気に空に上昇し、星空で種明かし、オーロラが眩しく、水しぶきをあげ、空を跳ねて、レモナが満面の笑みを見せ、イルカの声が響く。
と、ひとつ目を閉じて想像に任せれば、豊かな情景が広がる。
磨けば光る原石なんだろう。きっと ☆土煙高田馬場
https://www.youtube.com/watch?v=zLxqJdUE_ps
滑らかに動くアニメーションが心地いい。
物語はこれから、で終わるのだが、殺陣のシーンを是非とも見たかった。
作者の照れの表現は賑わいにはなれど、時代感を損なうか。 タイムパラドックスについて。
タイムリープものは、どうしても矛盾ができてしまう。
けれど、それに対して、作者がどんな態度を取るかによって、納得の幅が変わる。
タイムワープするという設定上、それは神様に向かう、祈りのようなものに向かわざるを得ないのだろうけど、
それでも描こうとする姿勢が個人的に好きだ。
小説「僕は明日、昨日の君とデートする」
は、中盤の時を使った入り組んだ設定の種明かしで、今までの伏線と時の積み重ねの無情さ愛おしさを際立たせる作りだ。
切なさは、五年に一度、二か月間しか会えないという設定も重なり、倍加する。
のだが、これは設定が、ただ恋の切なさを強調するための道具立てに使われている印象を受けた。
並行世界や設定の、読者や主人王への合理的な説明、説得を全く放棄しているのだ。
語らないストーリーテリングによって瞬間には騙される、この二人は切ないと。
だが冷静な思考が邪魔をする。これ雰囲気だけだろうと。何の裏付けもない薄っぺらさ。
或いは騙されたふりをして楽しむという楽しみ方もあるのかもしれないが、そこに至るまで諦観できない自分がいる。
題材は「君の名は」だが、このレビューに個人的に共感。
【熊猫映画不評#1】「君の名は。」の巻【感想語っちゃうよ】
https://www.youtube.com/watch?v=A6_gC_PPehI クロノトリガーにおけるタイムリープの説明
で上手いところは語らない姿勢は確かなのだけど。
クリアには必要ないサブイベントの会話シーンで、そこに迫っている点。
「カクシンは持てませんが、誰かが何かを私達に見せたかったんじゃないかと……
ゲートを通して色んな時代の何かを。
もしくは、その誰か自身が見たかったのかもしれません。
自分の生きて来た姿を思い返すように……」
「エイラ、それわかる。
人 死ぬとき 今までの思い出 全部 見る 言い伝え」
「きっと『あの時に戻りたい』『あの時ああしていれば』……
という強い思いが記憶を呼び起こすのでしょう」
と語られるが、更に上手いのは、ここで終わらせて読者に必要以上に哲学させるのではなく、
それに関連した仲間のショッキングな事件を続けて描くことで、適度に中和されている点。
そして最終タイトルの「星の夢の終わりに」
クロノトリガーはゲームだからできる大胆なデザインで原始時代から超未来までタイムリープする壮大な作品だ。
映画「バックトゥザフューチャー」では、せいぜい近未来、西部開拓時代が限界だったのと比べて壮大なスケールだ。
それは尺的な問題もあるし、ゲーム内でフィールド移動を簡素化したなどのデザイン的な工夫もある。
それだけ大きなタイムリープはやはり同映画や小説「夏への扉」などの、科学では扱いきれないスケールに及ぶ。
タイムマシーンも登場するけど、当作のタイムマシーン開発に支払った科学力や犠牲は、他作品を大きく超えている。
となると、この時代劇を受け止めるには縦の時のスケールや科学力に並ぶ、宇宙への星という空間の圧倒的スケールが説得には必要だったのだろう。
最後まで明示されることなく仄かに推察されるタイムワープの主。
それが物語に壮大さと、奥行きを与えている。 北村薫「ターン」
そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。ターン。いつかは帰れるの? それともこのまま……
同じ一日を繰り返す。ただし他の人間や生命がいない無人島のような街並みの世界で。
と言った設定のターン。
この作品は、主人公が時の繰り返しに対して疑問を持ち、自問自答をするのだけど、これは重大なタイムパラドックスに及ぶ。
(個人的にアウトなのは、タイムリープで当然持つべき疑問を、主人公が持たない。作者が持たせない。キャラが必要以上に幼稚でバカっぽく思える作品)
定時期になると、時は今までの人の営みの余韻を残し、無人の世界が続いている。
じゃあ、今まで火を使っていた家庭があったら、火のつけっぱなしで火事にならないか。
これは読者でも深読みしなければ、たどり着かない疑問だが、設定上どうしても生じる矛盾だろう。
それに対する回答が、本書75ページから76ページ。
神様のような意思だから。
それだけでは納得しないだろう対話者に向けて、テレビ番組での「水は固まると氷より重くなるか?」という疑問から説得する。
要するに。
タイムリープ自体、非科学的でファンタジーに属するために、理論的な説明はもはや不可能だ。
だが、だからこそ、そこにスケールの大きな意思や神様の采配や運命と言ったものが描かれると、胸を打つものになる。
それ以上に、ファンタジーだから、で説明を片付けない、作者なりに設定に重厚さや奥行きを持たせようとするもがき、のようなものが心を打つ。
幼い時からドラえもんでタイムリープに飼い慣らされた世間かもしれないが、この点は譲れない。
これは時を扱った設定に限らない、個人的好みだが。 ☆mile stone
http://web.archive.org/web/20050114120841/http://www.geocities.jp/somelife_akasiro/milestone.html
タイムリープそのものを明確に説明しないで、外堀から説得力を出す手法もある。その例。
何よりも狭間の世界、の演出が上手い。
見慣れた夢落ちと錯覚するベッドから、それがぽつんとある広大な砂漠への飛躍。
更に蜃気楼をイメージさせる走馬燈のような断片。
「シュレーディンガーの猫」を連想させる案内人の猫も、道案内人に相応しい。
また事故場面を直接描かないのも生々しくなりすぎないで、救いに希望を抱かせる。
これらの工夫は、後半のちょっとしたタイムリープに説得力を持たせている。
これらだけで十分だ。
十分なのに、台詞で文章で、説明しようとし過ぎている。
「まだ死んでないってことは、生き返れるのか?」
に対する返答は、ぼかしたり含みを持たせたほうがストーリーは魅力的になるのではないか。
生き返る前提で努力をするよりも、それがわからないで狭間の世界から脱出しようとしてもがく、と言うほうがドラマチックだ。
「あと、十回」「これで生き返れる」も説明過多。
帰れるのが前提にあるような気がして、緊張感を削いでしまうセリフだ。
しかし異世界での特殊条件での奮闘に、テンポよく平凡な二人の回想が添えられる。
これによって大切なものに主人公は気づき。
こちら側も自然と感情移入してしまい、ファンタジーに良かった、と救いを感じる作りは記憶に残したい。 ☆KUROKO
https://www.youtube.com/watch?v=RTkGe69XNgY
現代社会をユーモラスに活写。
身の回りにある当たり前を、それが誰かしらの犠牲や献身によって成り立っていることを、上手に視覚化している。
平凡は本当にたくさんの人によって支えられている。
テレビの画面や駅の改札口は観ていて楽しい。
日常が楽しくなる、貴重なものに思えてくる、そういう見ている側に反射してくる教訓的なものがある。
が、本作ではそういうのを説教としてではなく、娯楽として提示していて、見ていて楽しい、振り返ると考えさせられる、という塩梅に留めたのが出色。
オチも中々に楽しく、と思いきや、思わぬ不意打ちを食らう。 ☆【G2R2014】 Altale 【MV】
https://www.youtube.com/watch?v=ikr59Iplnlo
SFとファンタジーの幸せな結婚。
余韻に満たされたものがあって、でも何処か一抹の寂しさもまた残される。
気品がある。 ☆スターマイン
https://www.youtube.com/watch?v=E2KfnAuXp8w&spfreload=1
SFとファンタジーが結実。
魔法のようなほうきが面白い。
タイトルはミスリードだが、やはり華やかな花火を期待させてしまっては、分が悪いか。
よく動くが前半の寂しさは、街の住人などの描写、住んでいる暮らしの跡が見れなかった点にありそうだ。
また音楽が惜しい。
この手のクラシックは古さがどうしても出てしまうし、壮大さが大袈裟っぽいものになっている。
作品とは決定的に合ってない。 ☆Travel of Art
https://www.youtube.com/watch?v=j5whkXx_emE
徐々に動く絵画的な趣を見せ始める。
フランスでの息とともに切り替わる演出が好きだ。
どうしても尻すぼみ感が拭えないのは、徐々に一つの国に費やす時間が短くなっている為だろう。
テンポアップ以上に、物足りなさが出てしまう切り詰め方をしている。
長尺で観たかった。
しめの、旅は程々に、的なオチには好感。作者の作品を作っている過程のもやもやが出たのだろうか。 >>203
どもども。
嬉しい。やはり嬉しいものだー。
こちらこそ、何か、参考になりそうな映像やレビューを募集中。
或いは今までのレビューの中でも、「ここは違う」「ここは漏れはこう思う」的な異物感があったら、コメントがあると、すっきりしそう。
わりかし「自由きままに使ってね」、ってスタンスです。 ☆モノラル
https://www.youtube.com/watch?v=LRMVQaR_0NM
良くある題材、良くあるオチと思いきや、鑑賞後の余韻の豊かな広がりは、語りすぎないしかし迫力あるラスト一分にありそうだ。
この作品の解釈は二つ(以上)に別れると思う。
1 楽しく演奏していた二人は、やがて別々の道を行き、望まない結末を迎える。
最後のシーンは病床の死ぬ間際の、走馬灯のようなもの。
そこに老人の最後の意思で、ありえない未来を描く。
数えきれない後悔と、あの頃への帰ってこない愛着が滲む。
老人はそのまま息を引き取る。
現実は無情だ。
2 或いはそうした気づきが、二人の若者に奇跡を起こさせた。
或いは典型的な勧誘に、成功者を夢見た主人公、しかし想像力が働きすぎて悲惨な結末まで夢見てしまったという夢オチ。
二人の若者の未来はまだ定かではないが、始まったばかりだ。
個人的には2であって欲しい。
音楽を、お互いがお互いを、好きであり続けてほしい。
そう強く願うのは作品の切り方が絶妙な点。
また老後の描写がリアル、という点だ。
そして、現実にはこんなヒッピーな生活にハッピーエンドはあり得ないというちょっと冷めた考え方もある。
だがそれがあるからこそ、二人の幸せが眩しく、続いていってほしいという日向への願望も大きくなるのだった。 ☆積み木の家
https://www.youtube.com/watch?v=i8qWn3cZ41E
動作の一つ一つが細かく、生きているよう。
ベッドから起きての一連の所作は無駄に見えて、流れるような動きが染み込んでいく。
水に沈んでいく街を、読者に一目で説得する。
映像のマジック。
水がなぜ侵略するのかという原因ではなく、煉瓦が積み重なって街が高く伸びていくという過程を描くことで、街の現状を活写する。
そこに温かな、それでいて生きていくことへの強い意志のような作者の視点を感じる。
煉瓦を積み重ねることは生活の、侵略する水はあらがえぬ時の、水没した街は帰ってこない在りし日のメタファーだろうか。
水浸しにならないように、窒息しないように生きていかねばならない。
しかし、ふとそこへと深く潜る意味を問いかける。
昔のアルバムを見返したくなった。 ☆或る旅人の日記 光の都
https://www.youtube.com/watch?v=n1B9h3rU2Oc
遠方の背景に見える街。
引いた画面で旅人と街を映して、到着して何が待っているのだろうと期待させる。
ところが、豚の様子がおかしく、とおややと来て、街そのものが水辺に逃げるという発想の一つ上を行かれた驚き。
インパクトが大きすぎて、忘れられない。
初見の印象をまた味わえないのが残念にも思える。
最後の文はまた味わい深い。
「その夜の光景は、宿に逃げられた私に眠ることさえ忘れさせてくれた」
焚き火で一人寂しく暖を取る旅人。
しかしその心はマッチの芯のように仄かに燃えている。
一見強がりともとれるが、シリーズを通して観ると旅先のファンタジーに対して愚直なほどに素直に反応するその人柄に嘘はないことがわかる。
世間的な評価はアカデミーに輝いた「積み木の家」に軍配が上がるのだろうけど、個人的には旅人の日記のファンタジー感が好きだ。
作風は違うし個人の好みなのだが、「或る旅人の日記」はshockwaveでは、ジグゾーパズル、サイトのTOPページも含め、一つの広い世界を描いていた。
インターネットならではの作品としての、強い輝きを放っていた。
webの賞味期限が悲しい。 ゲームグラフィックの進化について
この一年はゲームグラフィックの進化を象徴する二作が出た年だった。
FF15とゼルダbotwだ。
http://jp.ign.com/final-fantasy-xv/11898/news/pcxv
FF15の目指すグラフィックは極めてシンプル。
髪の毛一本、岩肌一つ、おにぎり一個に至るまで、細密に描いたフォトリアル路線だ。
FF7で度肝を抜き、以後続いたムービー路線、実在感のあるグラフィックを進化させたと言ってもいい。
しかしゲーム内容が伴わず高い評価には至らなかった。
が、この種のグラフィック向上はもう限界に来ているような気がする。
目新しい見た目の刺激は、必ずしも心地いい時間を提供するものではない。
それをユーザーも感じ取り始めた。
最早、はったり、は通じなくなったのだろう。 反対に、今までのゲームでネットが普及して以来、国内外、2ch内外で空前絶後の評価を受けているのがゼルダbotw。
高く評価されているのは崖を登れる何処へでも行けると言った自由度が中心だ。
一方グラフィックに対する評価はジブリみたいと評価は一定数あるものの踏み込んだものはなかった。
が、やはり面白い作品には、面白いグラフィックの工夫があることが、発売からおよそ半年、任天堂側からベールを脱ぐことになった。
このゲーム奥が深い。
http://www.4gamer.net/games/341/G034168/20170901120/
ゲームデザイン、表面的なざらざらつるつるつやつやを超えた、3D空間をより生かす、効果的に見せるためのグラフィックデザイン。
というのが、ここには示されている。
それも偶然技ではなく、作業メソッドとして体系づけられている。
これからグラフィックは綺麗、繊細から、よりダイナミックな動的なゲームそのものに位置づけられるものに変わっていく。
そんな未来を予感させる。
これを個人アニメ、ゲームにも当てはめるとするならば。
綺麗な絵、筆力の高い絵とは別次元で、動的に効果的な絵、構成に生かされる絵と言った、そういう方面が求められる時代に片足を突っ込んでいるんじゃないか。
と無理やりこじつけて了とする。
ゼルダ、遊びたい!
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」レビュー
https://www.youtube.com/watch?v=dkLj2Eh9kCE ☆ハナミズキ
https://www.youtube.com/watch?v=x0NEu1ECjpc
発想が面白い。
ファンタジーなのに、和の情緒、夏に涼しいものが吹いた。
楽しそうなのがこちらまで漂ってくる。
音との動機も展開と一体となり、心地いい。 ☆オバケのウィリー
https://www.youtube.com/watch?v=p9WlKT0ADeg
導入部分、タイトルまでの不安定なカメラワーク、ドキドキ感がたまらない。
のだが、本編はそれとは離れてどちらかと言えばコミカルでハートフルものになっている。
個人的には、おいおい違うだろ、的な思いが濃かった。
冒頭部分が素晴らしいとは、罪作りでもある。 ☆だっぴするためにひつようなこと
https://www.youtube.com/watch?v=gnmr0guZARg
幻想的な内面と鬱屈的な外面との対比。
光の演出、ところどころの魅せるカットもあり、吸引力のある映像が展開される。
内面では爆発しそうな感情、しかし何も壊せない、出来ない、そのいじらしさと言うかフラストレーション故の緊張感が話を進める。
そこから半歩踏み出す、停滞でもなく一歩でもなく、劇終の鮮やかさよ。 ☆黄色い気球とばんの先生
https://www.youtube.com/watch?v=nM_OWvKoJSw
子供心を映像にしたらこうなるかと言う面白さ。
冒頭の声で、楽しさが溢れてくる。
どこにでもある出来事を、個性的な映像が引っ張るのだが。
気球が出てくるあたりで、ニュアンスが変わってくる。
大人になった時の小学生時代の回想のあやふやさ、不安定さ。と一言では言えない狂気にも似た感じ。
今までの話そのものが危うさと隣り合わせにあることを感じさせる。
子供の純真さとその純真ゆえの歪みというか。 ☆結婚してよかったな
https://www.youtube.com/watch?v=xUpM590VCgE
ハートウォーミング。
恋人よりも密な、夫妻というよりはフレッシュな、エピソードが綴られる。 ☆百足商店街
https://www.youtube.com/watch?v=nEshZ-HiGME
細部まで描きこまれた商店街、そこに行き交う雑多な住人に、にやり。
危うさとほのぼのが同居して進んでいく歩みに引き付けられるが、そのバランスが一気に崩れる最後にドキッとする。
ただ、ぎりぎりの生活感と冒険感は失われてほしくなかった。 ☆だいじょうぶ。
https://www.youtube.com/watch?v=Vp04cAXf37w
丁寧なアニメーションと大切に運ばれるストーリーライン。
「おはよう」を返せない内気な感じ。
それが「お前も入る」「うん」と言えるところで好転すると思いきや。
身につまされるリアリティ溢れるシーンだ。
小学生らしいコミュニティを描きながら、ふと現代社会の縮図を持ち出してくるよう。
長尺もあってメリハリはやや足りないが、品よく纏まっている。
個人的に、夢想のシーンはもっとイマジネーションをほとばらせても良かったかな。 ☆装脚戦車の憂鬱
http://iyasakado.com/steel/2leggedtank.htm
田舎の地蔵のシーンから戦場へと切り替わる。
二足歩行ロボという異色の素材を上手く作品現実に織り交ぜている。
戦闘シーンは多彩なカメラもあり迫力十分。
その分、終盤は密度が物足りなくなる。
表情や仕草など、何かしらの刺激を加えても。
メカや世界に比べて人物の描写が今一つなのか。 ☆Madame Tutli-Putli
https://www.youtube.com/watch?v=GGyLP6R4HTE
丁寧でありながら汚れまで描く3DCG。
後半の展開は個人的好みからは外れるが、それでも吸引力ある迫真性をもって進んでいく物語。
と物語と言っていいのか。
これは現実とそれ以外がどこからどこまでなのかと、考えをめぐらされた。
前提としての作品自体がフィクションということも忘れて。
一人旅の妙な現実感がある。 ☆カルタンの星人バッシング
https://web.archive.org/web/20060616104600/http://zeph.jp/swf/seijin/index.html
インタラクティブコンテンツ。
ゲームと呼ぶにはライフもリミットもゲームオーバーもない。
報酬も成否もスコアもない。
とないない尽くしだが、それがストレスを感じさせない遊具のようなほんわか感を作っている。
きれいな世界をスムーズに移動し、プチプチを潰すように敵を踏み壊す。
それ自体の快楽。
なのだが、タイムアタックモードは音楽がやや攻撃的で、フリーランモードで見せた牧歌的な雰囲気を損なっているのが勿体ない。 ☆深海のリトルクライ
https://www.youtube.com/watch?v=bldyRH_XrOM
繊細ながらも不安定な前半と、核たる人物が出てからの安定感が、余韻を心地よくする。
多彩なモーションタイポグラフィー(動く文字)と映像の凛とした緊張感は、確かに作品を支えているが、時に映像が勝ち過ぎている場面が幾つかあった。
その危うさも魅力といえば魅力だが、安定して歌(歌詞)を楽しむことからは逸れているように思える。
複数回見て味が出る映像なのは確かだ。
だが、それは一見目で不十分な余韻を与えるのとは同義ではない。ような気がするなぁ。 ☆サナナクション アルクアラウンド
https://www.youtube.com/watch?v=vS6wzjpCvec
おしゃれ心と、陽の方向の遊び心に、富んだPV。
歌詞を実写化する意義は、紙芝居の後の映像の文字だし、そこから溢れ出す文字の実体で際立つ。
ここ実写と紙媒体や映像とのミックスという意味でも面白い。 ☆サカナクション 目が明く藍色
https://www.youtube.com/watch?v=xOqvFHwh3rk
ストップモーション? コマドリ? な表現にしては珍しい素材を用いる。
花や服や人間の女性など、湿度のある艶のある感じ。
それらが多彩な変化をして、画面を埋めて、飽きさせない。
楽曲が「ライターの光」に入ってからは、映像も大きく趣向を変えて攻撃的になり破壊的になり、歌の転調をよりインパクトづける。
単純に映像としてもカッコいい。
提示、攻撃、破壊、再生と、起承転結が流れ、一見ばらばらの映像に一本のストーリーを見た満足感を与えている。 ☆BUMP OF CHICKEN Merry Christmas
https://www.youtube.com/watch?v=QJaareN2z00
クリスマスの街と人を映し出す歌と映像がマッチ。
オチに至る転調が鮮やかで温かい。 ☆Gorillaz - Feel Good Inc
https://www.youtube.com/watch?v=HyHNuVaZJ-k
アニメに実写がぶつかるパートが印象的。
両者が調和しながら、実写の男がアニメのキャラを圧迫する。
退廃的ながらも何処かスタイリッシュ。 ☆ホテル犬小屋
https://www.youtube.com/watch?v=rQUzupjaJDc
なんとも不思議。
コミカルなのか、不気味なのか、ドラッグなのか、色っぽいのか。
印象は一ところに収まらず、霧散する。
しかし、確かに異世界は描かれている。 ☆The Hunt for Pikachu
https://www.youtube.com/watch?v=u82ptblJvog
オーバーアクションが、大げさなのが、笑いを誘う。
悪ふざけに、愛情を感じる。 ☆小田急ロマンスカーCMソング
https://www.youtube.com/watch?v=RmSKeVOr4jo
小田急ロマンスカーのCM集。穏やかな情景に、キャッチーなコピーが色を添える。
「春は、ちょっとだけ大人に近づける季節だった」
入学式に卒業式。出会いと別れの春。
「だった」の過去形に、ほろ苦さが漂う。
「この旅行が終わると、みんな違う場所に行ってしまう」
卒業旅行の楽しさと切なさが出ている。切実な感じ。旧友に心を向かわせる。
「おじいちゃんを乗せてあげたい」
「会議は、箱根でやろうぜ」 Decorations
https://www.youtube.com/watch?v=NvWZjvy96z4
物が加飾されていく。
形作られていく楽しみがある。
途中、ちょっと汚いスポンジ絵を入れることで、出来上がったデコレーションの完成度を印象付けている。 ☆WARRIORS
https://www.youtube.com/watch?v=Ot9eMKoZpgY
アップの絵が迫力を与えている。
重さと熱を与える映像が続く。
のだが、アップの連続がくどいというか倦怠感というか失速感が出てしまっている。
引きの絵の大切さを思う。 ☆花芽
https://www.youtube.com/watch?v=Z0FLj2ZWNoY
イメージを映像にしたような手法。
妖艶で妖しく、しかし気品もあって、不安定で危うく、しかし見通すと妙な充足感がある。
春というのはそういうものかもしれない。
この作のイメージは、何処か自分の奥にも響くところがあった。 ☆コップの中の子牛
https://www.youtube.com/watch?v=zMTzb-Cz3gs
視点、その人ならこう見える、というのがアニメーションに生かされている。
ユーモアがあって飽きさせない。
自転車のシーンは、ドキドキとした感じが伝わってくる。
中身は。とても生活臭のする、他愛のない嘘の連続。
人の弱さや醜さが映し出されるのだが、不思議と憎めない。
時というもの。
時間の残酷さと同時に、積もってできるノスタルジーのような澱のようなものが、どこか温かい余韻を残す。
父と娘の間の信頼関係のようなものもスパイスになっているのか。 ☆and, end
https://www.youtube.com/watch?v=8ZGl3G8k8QQ
幼い時に持つ存在への不安と、言葉遊びが不思議な相性で、面白い。
粗削りなのも味があって、これは好きだ。 ☆Airy Me
https://www.youtube.com/watch?v=7DkPNgpdhZA
冒頭で感じた走る、果実の、瑞々しい解放感は、その後の病院の閉そく感で砕かれる。
注射針のほのかな痛さ、を思わず画面から感じる。
イメージ映像に近いが、一人よがり的な展開でも、圧倒的な技術と手間暇をかければ、それは独自の世界を作るのではないだろうか。 ☆やさしいマーチ
https://www.youtube.com/watch?v=-vQ5SwncXrY
危なっかしくも、POPに小気味よく展開する。
ごちゃっとせずに賑わいを見せる横にスライドする歩む場面、躍動的にカエルが飛び跳ねる場面など、見どころは多彩。
若さを感じる色使い、作品世界と、職人気質の丁寧なアニメーションが味。 ☆逢魔ヶパレヱド
https://www.youtube.com/watch?v=WX3VdkW5Dd8&feature=youtu.be
空気すらも感じる光彩と、描きこまれた街の情景が魅力的。
なのだけど、見終わった後に残るものは少なかった。僅かな違和感。
というのも、妖怪キャラが、ハイカラ過ぎないか。
月が人の顔に、というのはハロウィンを連想させる。
日本人がイメージする月に魔物は、もう少し情緒があるだろう。
骸骨のキャラも如何にも西洋風だし、携帯電話はいいのか、それで。
と、ノスタルジーを呼び起こす街の生活感と、洋風なノリの妖怪がアンバランス。
どちらを立たせるかというと、魅力的なのが街の情景なのだから、妖怪キャラに難ありか。
あと音楽も軽さに傾き過ぎているような。
なんだろう。
パレヱドではなく、パレードになってる。 ☆砲弾少女ザゼル
https://www.youtube.com/watch?v=VMM9P04DcbA
人間大砲というアイディアの面白さと、それで真剣にレースを組み立てる情熱。
ストーリーはわかりやすく、見た目で多少ごちゃついても、強引に引っ張っていく。
動の心地よさが詰まっている。
オチはもう少し華やいでもと思ったが、綺麗に纏まったか。 ☆さかなのうた
https://www.youtube.com/watch?v=Lx8ENuG3zNQ
骨っぽい無機質な魚と、鮮やかな風景の対比が決まっている。
空中のような水中の表現は面白いが、もう少し水中感を出しても、と ☆rain town
https://www.youtube.com/watch?v=cf7XOkNkB-8
最初に生活品や小道具を映す場面で、しけった積もっていく、腐敗のような雨を印象付ける。
しかし無人の街を大きくとって小さな少女を映すことで、徐々にそれは切実で物寂しくなっていく。
雨は鎮魂のように、或いは容赦なく降り続ける。
そこに作者は意味を込めていて、それは明確に主張こそはしないが、画面に緊張感と味わいをもたらした。
世界観を持っている作品は強い。
嘗ての明るい街を届かないと知りつつ描く場面で物語を閉じてもと思う。
しかし、何かしら救いを与えたい気持ちはわかる。 ☆クジラの跳躍
http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=noisypig&prgid=45904627
ファンタジーの金字塔。
独創的。
ユニークでありながら、挨拶してきそうな親しみのある世界観。
水晶の海、トビウオ、クジラ。
ロマンある世界を、抑えた色調ながら大胆に表現している。
水中に沈んだ時計にネジを巻く仕事は、何処か退廃的で、無駄に思えて、でもなにかいいなぁ。 ☆老人と海
https://www.youtube.com/watch?v=TvK-Bjzm3AQ
https://www.youtube.com/watch?v=66rB6k5Vab0
見応えたっぷりの有名短編の映像化。
魚と面した際の、静と動、緩と急が絶妙で、あれよあれよと映像を追っていく感覚。
ヘミングウェイの持つハードボイルドさ、簡潔な中でも虚しさと少しの希望を与える優しさに浸る。 ☆電車かもしれない
https://www.youtube.com/watch?v=BdVCW40EFfo
具体と抽象が混ざり合い、存在の不確かさとそれでも確固として進むアニメを強調する。
じわじわとしてみてくる不気味さだが、左右にリズムを取るなど何処か可愛らしくもある。それは音楽にも符合する。 ☆てんとう虫のおとむらい
https://www.youtube.com/watch?v=lECifE2zy0M
主人公の年齢から察せられる、カワイイとエロティックの中間を駆け巡る。
のだが、やはりテントウムシが、わさわする場面が印象的。
アニメ的な表現に、写実を加えることによる、違和感、嫌悪感にも近い不気味さが伝わってくる。
それが少女っぽい無邪気さを引き立てる。 ☆キャットウォーク
https://www.youtube.com/watch?v=JoAXPatP7JY
壁をよじ登る際の猫との攻防がコミカル。
オチはどうなるのだろう、と長靴の水しぶきである程度予想させておいて。
その上を行き、且つハートウォーミングな結びが心憎い。 ☆恋するユニバース
https://www.youtube.com/watch?v=HanKmpyFl7s
商品であるお菓子をシンボルにしたモーションデザイン。
企業CMという枷と作者のセンスのせめぎあい。
画面を覆うシンボルはスピード感を生みこそすれ、五月蠅くなることはない。
色彩、デザイン、攻めの姿勢と、一歩抜けた感。 ☆診療室
https://www.youtube.com/watch?v=OAtLEntTdkw
痛さに顔をしかめたくなる場面があるかと思えば、こちらまで笑ってしまうところもあり。
しかし総じて、むき出しの敵意を感じた。それも遠くから。
と、上手く言葉にならないが、言葉にすると消えてしまうものを取り扱っているのかな。
音が見事に雰囲気を作っている。 ☆around
https://www.youtube.com/watch?v=Ei8akL41Qnk
場面転換が、意外性に富んでいて、しかもスムーズで、何か別の次元へワープさせられたかのような錯覚に陥る。
映像テクニック集にも思えるが、ここまでテクニックで魅せるとは。 ☆Calm
https://www.youtube.com/watch?v=tzuNxR5U1ok
鮮やかな色彩の風景と、メタモルフォーゼの連続による存在への不安感。
その二つの間の凛とした緊張感は、転部で激化する。
明確なストーリーは語られないが、青春とはまた違う若さを表現すると、こうなるのかと思わせた。 ☆People In The Box「ニムロッド」
https://www.youtube.com/watch?v=LME2bCe3_J8
本をキャンパスにする発想は面白いし、そこに留まらず本から溢れ出す花々などが広がりがあって素敵。
女性が鮮やかで美しい。
飾りのない活字の本に、色気が覆う。 ☆People In The Box 旧市街
https://www.youtube.com/watch?v=S0TOzCdI2OQ
何故か切なさが残った。
塔の頂点、王というものの虚しさだけではなく、何か。
妊婦のマネキン、人の顔のドア、所々に普通とは離れた異化されたスパイスが散りばめられていて飽きさせない。
塔に向かうシーンで、奥に進む人物とは対照的に手前に引くカメラが好き。 ☆うごくえこよみ
https://www.youtube.com/watch?v=il0YbNOAU9A
わびさび、なのだろうか。
静かで穏やかに展開していく中での、さっと入る色彩や効果音にハッとさせられる。
今の生活とは離れてしまった和の風情。
なんか、もうちょっと丁寧に時を重ねられたら、とか思うのだけど。思うだけだけど。 ☆アカツキの詩
https://www.youtube.com/watch?v=L1ufHZR0Vh8
砂漠にロボ一人。
帰ってこない過去は、もろくも崩れ去る砂の城のようで。
最後にほろりと哀愁が漂い、このままで。
と思いきや、うーん、このオチは温かすぎる。 ☆こねこのぜんしん
http://www.geocities.jp/tanu_fla/fla/f02.html
脱力系。非常に緩い歌声に、緩いアニメがあっている。
背中がくっつくにゃーの無防備さ(それは制作姿勢にも)に、好感。 ☆ウシニチ
https://www.youtube.com/watch?v=vvzJJi6y7M0
小ネタ集かと思わされつつ。全てがつながり一つの結末へと導かれるさまは、軽い感動を覚える。
キリンの話が好きだ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています