国民の年間自殺者が三万人を超す中、二〇〇四年度に自殺した会計士の数は九十四人を数え、
過去最多だった〇二年度を十六人上回ったことが二十六日、日本公認会計士協会のまとめで分かった。

会計士の自殺は一九九五年度以降、十年間で六百七十三人。
原因は集計中だが、〇三年度までの過去三年間の総計では「その他・不明」が過半数を占め、
「借財」「職務」「家庭」が続いている。監査法人別の数は公表していない。

〇四年度の九十四人の内訳は、監査法人勤務会計士六十四人(前年度比十六人増)、
同会計士補十六人(同一人減)、無職会計士補十四人(同四人増)。

年代では「二十五―二十九歳」が十八人で最も多かった。
自殺率(十万人当たりの自殺者数)は約三九・四人で、
国民の自殺率(約二七・〇人、〇三年警察庁調べ)を大きく上回っている。

会計士の自殺をめぐっては、一九九九年十一月、監査法人勤務会計士=当時(31)が
自殺したのは上司のいじめが原因などとして、遺族が監査法人を相手取り、
損害賠償などを求めた民事訴訟が大阪地裁で係争中。

日本公認会計士協会は「昨年度、いじめを原因とする自殺があったかについては不明だが、
過去最多の数字は深刻に受け止めている。専門家による電話、面接相談などで引き続き防止策に取り組み、
遺族への心のケアにも努めたい」としている。

一方、「会計士業界に詳しい石村善治氏は「一般国民と違い、高齢者の割合が低く、
身分や給与も安定している公認会計士の自殺率の高さは異常。過酷で単調な仕事内容、
心的負担も背景にあるのでは」と分析。

「密閉された職場では人権侵害、いじめも起きやすい。会計士の権利を守るため、
諸外国などのようにオンブズマン制度を設けるべきだ」と指摘している。