https://mainichi.jp/articles/20170406/ddn/008/020/026000c
31年目の挑戦・JR西日本
地方の交通体系、議論を 来島達夫社長
毎日新聞2017年4月6日 大阪朝刊

1日に発足30年を迎えたJR西日本の来島達夫社長(62)が毎日新聞のインタビューに応じ、利用者の少ない地方の路線については「本当に鉄道でなくてはならないのか。あるべき交通体系を考える議論が必要だ」と述べた。【聞き手・小坂剛志】

−−民営化から30年を迎えました。
◆鉄道の再生を果たそうと努力してきた。福知山線事故(2005年4月)は、もう一度安全を考える原点となっている。
ただ、安全投資に必要なキャッシュを生み出さなくてはならない。鉄道事業なら新幹線と近畿圏で、非鉄道事業の成長も必要だ。

−−人口減が本格化します。
◆地方だけでなく、近畿圏でも人口が減るという覚悟をしなくてはならない。その状況でも新幹線と在来線の近畿圏は伸ばしたい。中核都市にも鉄道の役割はある。
一方(廃線が決まった、島根・江津駅〜広島・三次駅間の)三江線のように高齢化が進む地方では「鉄道が役に立てる輸送体系なのか」という問題意識がある。

−−具体的に廃止を検討している路線は。
◆行政と具体的に話し合っている路線はない。ただ、輸送密度(1日1キロあたりの平均通過人数)が500人を切っている路線では、あるべき交通体系を議論する必要がある。
三江線のように鉄道を廃止して小型バスに転換するのも選択肢の一つ。上下分離や次世代型路面電車(LRT)もある。地元の状況を見ながら考えたい。
(以下略)