デジタルATCやATS-P、ATACSの「車上演算方式」の共通原理は、
開通距離(許容進入距離)に函するデータを車上に与えて、走行距離分を減じ、
車上では個々の列車の想定減速度特性から限界速度を求めて速度照査すること。(勾配補正あり)。
ATS-Pなら直に距離データだが、DS-ATCで送信される「開通閉塞数」はデータベースに照らして、
速度演算に必要な許容進入距離データに転換される。
そのコマンド情報の伝え方の相違の問題。

点伝送であるATS-Pでも常に進入限界距離を与えていて、オープンにはならない訳で、
伝送のステータスをシステムが常に把握しているATACSやCBTCの方が、
正常動作かどうかシステム自身には分からない軌道回路方式より、理屈の上では信頼性が高い
という判断でATACS等が採用箇所を広げている。

その稼働実績が良ければ、旧来の実績・経験を乗り越えて転換速度が早まるってことだ。
ただ、実績を見るのに、理論的・原理的優位を押さえたうえでないと、判断が大幅に遅れる。
ここが消化不良を起こして「俺の目の黒いうちは軌道回路方式」と頑張られてるとこもあるとか。

相互乗り入れや、メンテ、要員・教育等を考えて、「最先端」に拘らず、適応しやすいものを選ぶのはアリだ。
ATS-SPでの車上データベース方式は、何処も採用しなかったが、制御振り子での実用化を経て、
ATS-Pの車上演算方式と併せて、D-ATC、DS-ATC開発、さらに無線によるATACSと段階を経て広がっているのだから。