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民法548条の2において、「定型取引」とは、@ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、Aその内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの、と定義され、
また、「定型約款」とは、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体、と定義されています。
以上の定義に照らせば、旅客と鉄道会社と間の「旅客運送契約」は、「定型取引」に該当し、「旅客営業規則」は、「定型約款」に該当するものと考えられます。
しかしながら、さらに民法548条の2第1項2号をよく読むと、
「定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に『表示』していたとき。」とされており(典型的には保険約款等が想定されての規定です)、旅客運送契約の場合は、
そもそもホームページ等で「公表」されているだけで、「表示」はされていないのではないか、という疑問が残ります。
そこでこの点については、鉄道営業法で対応がされることとなり、今回の債権法改正と同時に、鉄道営業法も改正がされ、以下の条文が加えられることとなりました。
鉄道営業法18条ノ2
鉄道ニ依ル旅客ノ運送ニ係ル取引ニ関スル民法(明治29年法律第89号)第548条の2第1項ノ規定ノ適用ニ付テハ同項第2号中「表示していた」トアルハ「表示し、又は公表していた」トス。
文語調の中に口語調が入った変わった条文ですが、鉄道による旅客運送取引については、約款は「公表」で足りる、とする改正がなされたものです
(同様の改正は、道路運送法や航空法、海上運送法等にもなされました)。
このような改正によって、法的に裏付けがあり、かつ取引実態に合わせた法改正がなされたものということができます。
https://www.sakuralaw.gr.jp/sakura_news/sakura_20181016.htm
旅客営業規則は法的に有効