「日プラ」を見て。
「オンリーワン企業はアメリカの存在なくしてはあり得ない」という生きた証だと思った。
日プラの歴史の要所要所にアメリカが出てくる。
日プラが世界初の巨大水槽に挑戦しようとしたとき、事故のリスクを負う
その実質的な責任者を引き受けて、その技術の存在を実証してくれたのはアメリカの保険会社だった。
日プラが大手の模倣横並びに潰されそうになったとき、
日プラを拾い上げて宣伝してくれたのは、アメリカ、カリフォルニア州のモントレーベイ水族館だった。
アメリカがいなかったたら、今頃、アクリル製巨大水槽技術は、
敷山社長の言う通り、せいぜい、低品質の大手メーカーが乱立して大事故が起き、
おもしろいが危険な一世を風靡した過去の技術になっていただろう。
そのようにして、敷山社長は橋の下で暮していただろう。
生活にまったく必要がない、いつ消えても困らない隙間産業だからこそ、
大手既得権者にも目の敵にもされず、規制の槍玉にもならなかった。
だからこそ、日プラはなんとか細々とでも続けられたのだろう。
巨大な政治の駆け引きに踏み潰されなかった、エアーポケットのような幸運な業界だと思った。