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「理事」ではなく,「取締役」だろう。

報酬額の多寡については価値観の問題があるので何とも言えないが,
株式会社産業革新投資機構(JIC)の取締役に対する報酬額が,
会社と取締役の双方を拘束する程度に確定していたかについては,以下の疑問がある。

まず,「取締役会設置会社」である同社については,取締役の報酬額については,
定款での定めがなければ,株主総会の決議事項になる(会社法361条1項)。
JICの場合は国が大株主であるため,
「どの時点で株主総会決議またはそれと同視しうるもの」があったと言えるかが問題になる。

現時点で,これについての正確なことはわからない。
しかし,財務省の所掌事務の根拠規定である財務省設置法4条において,31号が,
「国庫金の出納、管理及び運用並びに国の保管金及び国が保管する有価証券の管理に関すること」
と定めている。
国の保有株式に係る議決権行使は,「国が保管する有価証券の管理に関すること」であるから,
JICの議決権行使も,財務省(所管はおそらく理財局)の所掌事務ではないか。

すると,経産省がJICの取締役に対し報酬額の提示を行ったとしても,それ以前に,
報酬額を定める議案についての議決権行使に関し,財務大臣の告示等の行政行為がなければ,
報酬額について,「株主総会決議またはそれと同視しうるもの」があったとは言えないように思う。

JICの前CEOである田中氏は,会見において,あたかも報酬額が確定していたかのように発言していたが,
上述の視点からの言及はなかったので,そこは「割り引いて」考える必要があるように思える。

なお,JICの発足過程と株主会社INCJ(旧:産業革新機構)の関係についても問題があるのだが,
スペースの関係で触れない。