>>512

以下の理由により,キャロル夫人の旅券を差し押さえたこと自体が,刑事訴訟法の原則からは,誤っている。

まずは,基本的な知識の説明から行う。

捜索・差押えには2種類ある。
第1に,「捜索差押許可状」の発付を受けて行う方法(いわゆる「ガサ入れ」)。
第2に,被疑者の逮捕に伴い,逮捕現場で行う方法。

今般の捜索・差押えは,おそらく後者だろう。
すなわち,カルロス・ゴーン氏の逮捕に伴い,逮捕現場である彼の制限住居で,捜索・差押えを行った。
なお,逮捕に伴い逮捕現場で捜索・差押えを行う場合は,逮捕状のみで,併せて捜索・差押えができる。
理由は,逮捕現場には,逮捕事実に関連する証拠が存在する蓋然性(がいぜんぜい)が高いから,とされている。
したがって,当然,差押えができる物は,逮捕事実に関連する証拠のみである。