>>853に続く)

以上でわかるように、簡略化すると、日銀のバランスシートでは、資産側に国債等が計上され、
負債側に、(民間金融機関が有する)日銀当座預金や、 日銀券発行残高が計上される。

ところで、MMTのような思想(モドキ)は以前から存在する。
要するに、中央銀行が、市中に流通している国債を買い取って(資産)、返済不要な紙幣(負債)を発行すれば良いのだから、
政府は、国債をどんどん発行しても問題ないじゃん!という発想。

以上の発想のどこが誤っているかというと、紙幣については、国が、その価値(信用)を責任を持って保証する必要がある、ということ。
その信用がなければ、紙幣は「ただの紙」に過ぎない。
かつては、「兌換紙幣」のように、国家は、紙幣と引き換えに金などを渡す必要があった。
金などの裏付けが、紙幣の信用を支えていたわけだ。
現代で「不換紙幣」が流通できるのは、国家が、
「紙幣の価値が低下しないように責任を持って対応するので、皆さん安心して交換手段として使用してください」
という、確固たる約束をしているから。

以上を軽くまとめると、国家は、兌換紙幣では「交換(返済)」を保証しなければならないが、
不換紙幣では、その代わりに、人々が安心して使用できるように、「価値(信用)」を保証しなければならない、ということだ。