原田知世「あなたの番です」は苦戦中、それでも日テレを喜ばせる意外な数字
2019年05月14日 06時31分 デイリー新潮
広告主の中には、単に世帯視聴率の高さを重視しなくなっている社が出てきている。
世帯視聴率は広告取引の通貨になっているが、中高年がたくさん含まれていても、
広告主にとっては商品の売上につながりにくいからだ。それより、商品の購買層と
なっている若年層が多く含まれ、かつ非ターゲットの中高年が少ないのであれば、
世帯視聴率は低くても構わないという考え方だ。

この考え方に従えば、世帯視聴率は高くないが、49歳以下の個人視聴率が高い
日テレは、ある種の広告主から見ると優れたドラマを放送する局となる。特に
F1やF2で他のドラマに水をあけるドラマは、理想的な番組となる。

実はこの20年、学園ドラマはGP帯(夜7〜11時)で放送が減っていた。ところが
日テレは、去年秋クールから3期連続で学園モノを放送している。明らかにT層
(男女13〜19歳)と1層(男女20〜34歳)に見られるドラマを開発し、世帯視聴率
がそれほど高くなくとも広告単価を上げようとしている。

「あなたの番です」は、「今日から俺は!!」「3年A組」と同じ枠で2期連続学園モノ
で来たが、「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる年の差夫婦を描いたミステリードラマ
とした。これを世帯視聴率の低さを見て、選択ミスなどとの批判がネット記事では
見られる。しかしFTとF1のターゲット層含有率を見る限り、今のところ失敗どころ
か最も成功しているドラマの1つとなる。

ドラマの論評は、もはや世帯視聴率に振り回されていては、本質的な部分が見えない。
テレビ局にとっての本質の1つは、広告主のニーズに応える番組を制作し、広告収入を
少しでも上げること。

もちろん中高年の視聴に耐える良質のドラマを制作する姿勢を否定するつもりはない。
しかし過去10年ほどで、テレビの視聴者が人口構成以上に50歳以上の中高年に偏ってしまったのも事実。
若年層をターゲットに舵を切った日テレの戦略は、結果としてテレビ番組の多様性を
担保しそうだ。