民放でドラマ枠が増加している理由 「バラエティー量産時代」が終えん?

夏本番を前にして、すでに民放各局は秋ドラマの準備に余念がない。何でも今年は“豊作”を期待して、各局が「テレビの原点」に立ち返った大胆な編成を進めているというのである。

10月から始まる民放各局の秋ドラマ。最多となる週8枠を設ける予定なのがフジテレビだ。次いでテレビ朝日も日曜夜9時台にドラマ枠を新設し、日本テレビと並び週7枠。TBSも週6枠と、秋の番組改編はドラマ花盛りとなりそうだ。

芸能デスクが解説する。

「フジの看板である月曜夜9時のドラマ枠、通称“月9”では『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』が放送され、中谷美紀と大沢たかお、二宮和也のトリプル主演、全員が月9初主演という触れ込みです。実は広末涼子も出演予定でしたが、不倫騒動で降板。今月には彼女の出世作『ビーチボーイズ』のブルーレイが発売され、大々的にPRしたかったところですが、完全に出鼻をくじかれましたね」

だが、フジはピンチをものともせず、次の一手を講じているという。

さるフジテレビ関係者が明かすには、「月曜夜10時枠で関西テレビが制作する連ドラの主演に、橋本環奈を起用する予定です。昨年、菊田一夫演劇大賞を受賞した彼女は、TBS系の春ドラマ『王様に捧ぐ薬指』で地上波連ドラ初主演を果たした。今、勢いに乗る実力派の若手女優です」

とはいえ、同作は最終回の視聴率が7.8%と少々物足りない結果に終わった。はたして今回は大丈夫なのだろうか。

原点回帰

1970年代のテレビは、午後7時から11時台の3分の1強がドラマだったが、90年代以降は制作費がかかる割には視聴率が取れないとされ、バラエティー番組に取って代わられた。

「テレビ放送開始から70年の節目を迎えた今年、ドラマは息の長いコンテンツとして再び重視され、枠が増加傾向にあるのです。スマホやタブレット端末があれば自由に視聴でき、ネットフリックスなどと提携して海外市場への展開も可能。付随してグッズ販売やイベントでの収入も期待できるので、民放各局はドラマの量産へ舵を切っています」(同)

不朽の名作が生まれた黄金時代への原点回帰は結構だが、数打ちゃ当たると見込んで駄作ばかりとなれば、今度こそ世間からお払い箱となりやしまいか。

「週刊新潮」2023年7月13日号 掲載