大津市教委 いじめ調査報告、公表せず 家族要望に反し


津市で二〇一五年、市立小四年だった男児(11)がいじめ被害を訴えて不登校になり、
市教育委員会が設置した第三者委員会の調査報告書について、公表を求める男児の家族の意向に反し、
市教委が非公表にしていたことが分かった。
報告書は学校の対応を厳しく批判しており、家族は市に、近く正式に開示を申し入れる。
 報告書によると、一四年十一月〜一五年七月ごろ、複数の児童から「ストーカー」「加齢臭」と言われたり、
傘でランドセルをたたかれたりするいじめが十四件確認された。男児は一五年九月から不登校が続いている。
 第三者委(委員長・新井肇兵庫教育大大学院教授)は一六年五月、
「学校の組織的対応は不十分で責任は大きい」と指摘し、再発防止への提言を盛り込んだ報告書を越直美市長に提出。
市教委は報告書の内容を男児と家族にも伝えたが、調査を実施したことや結果を公表しなかった。
 市教委児童生徒支援課は「被害者の尊厳を守るための判断」と説明。
一方、男児の母親(50)は「終わったことにしようとしていると感じた。同じ思いをする子が出ないよう、
考えるきっかけになればと思い、申し立てを決めた」と話している。
 学校は担任を交代させるなどしたが、報告書は、男児や家族は何度もいじめを訴えていたとし
「男児がつらい思いを抱いていた背景を誰も指摘しておらず、
教員一人一人のいじめへの認識の甘さと感性の弱さがうかがえる」と批判している。
 大津市では一一年に中学二年の男子生徒がいじめを苦に自殺し、事実究明を放棄した学校や市教委が批判された。
これを契機に、重大ないじめは調査で事実関係を明らかにし、
被害者側に適切に情報提供することを定めた「いじめ防止対策推進法」が制定された。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2017022102000229.html