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困っているのは家庭での自分ではなく職場での自分だ。自分の仕事のできなさを話すと、「それだったら受診してみたら?」と、妻に言われて受診を決意した。

「最初に受診した病院の医師は発達障害にあまり詳しくないようで、『性格なのではないか』『仕事が忙しいだけなのではないか』と言われてしまいました。
でも、発達障害に詳しい精神科を受診したら、ADHDとその二次障害のうつだと診断されました。
まずはうつの治療をして、それからADHDの薬を処方してもらうことにしました」

うつがある程度良くなってからはADHDの薬であるストラテラを処方された。
最初は食欲不振や眠気などの副作用に悩まされたが、2〜3週間飲み続けたところ、今まではできなかった書類仕事が、うそのようにこなせるようになった。
つねに頭の中にあった雑音や考え事がなくなり、「無」が増えてクリアになった。今まで悩んでいたのは発達障害が原因だったことがわかり、割り切れるようになったため生きづらさも軽減した。
ところが、職場では発達障害が完全に理解を得ているとは言えない。

「以前、上司に『発達障害かもしれない』と相談したときは『ほかにも仕事ができない人はいるし、障害のせいにするのもなぁ……』と言われました。
職場に産業医のカウンセラーの方も来ているのですが、ある日偶然上司とカウンセラーが発達障害の話をしていて、そのときも『仕事ができないのを発達障害のせいにする人も多い』と言っていました。
ただ、きちんと診断が下りてからは仕事の量や負担は軽くしてくれました」