座間9遺体 賃貸の犯罪利用、対応苦慮「全て防止難しい」
毎日新聞2017年11月11日 10時24分(最終更新 11月11日 13時49分)
.https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00e/040/244000c?inb=ys
神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件は、警視庁に死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、当初から被害者と接触することを目的に部屋を借りた疑いがある。賃貸物件の犯罪利用を防ぐ対策の強化が求められるが、業界関係者は「誰も入居者が事件を起こすなんて思わない。全て防止するのは難しい」と対応に苦慮している。

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 「とにかく早く入りたい」。部屋を管理する不動産会社役員によると、白石容疑者は8月18日に部屋を内見し、22日に契約した。契約月の家賃が無料になるサービス中で、「9月になれば1カ月分がただになる」と説明したが、契約を急いだ。


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 担当者は当時の姿を「良い印象だった。就職先もおおよそ決まっていると言っていたので、連絡してほしいと伝えた」と振り返るが、報告はなかったという。白石容疑者は、契約してそのまま入居した同22日以降、9人を殺害し、遺体を切断していた疑いが持たれている。

 関東地方の不動産賃貸業者によると、業界では入居を希望する人の審査について、保証会社に任せるケースがほとんどという。白石容疑者に部屋を貸した会社もそうだった。保証会社は経歴や金融資産の状況などを厳しくみるとされるが、業者は「誰でも審査を通す抜け道のような会社もある」と指摘している。

 暴力団関係者と分かれば入居を断るが、それ以外は審査を通れば入居を認めるのが一般的対応。振り込め詐欺の拠点など、あらかじめ事件に使う計画があったとしても、それを事前に把握することは相当ハードルが高い。

 他人名義が使われることもあり、この業者は「犯罪利用を100%防ぐのは難しい。事件などで『事故物件』になると、価値が下がって貸す側への打撃も大きいのだが……」と困惑した様子で話した。(共同)

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