話は替わるが…

そもそも「寛解」とは医学用語である。
そしてこの寛解という言葉は、べつに精神医療だけで使われているのではなく、他科の医療現場でも使われている。
順序的にいえば、もともと他科で使われている寛解という用語を精神医療が真似して使い始めた。
なぜこうしたズレが生じているかというと、そもそも精神医療は医学ではなかったからである。
それは実は今でもかわらない。

現在、精神医学や精神医療と呼ばれている分野は、もともと黒魔術的な心理学や野蛮な人体実験を発端にしている。
それゆえ、王道の医学界からはまったく相手にされず、今現在精神医学と呼ばれている分野は、なんとか「医学」というカテゴリーに入り込もうと試行錯誤してきた。
本来は“悪あがき”といった方が適切な試行錯誤の結果、黒魔術的な心理学や野蛮な人体実験の分野は、どうにか医学のカテゴリーに食い込むことができ、現在に至る。
こうした歴史的な背景から、「寛解」という概念の導入に他科と精神医療とにタイムラグが発生したのである。