かなり前の話だが、やせ細った恐らく若い野良犬が人の目を恐れるように街中を放浪していたのを思い出した。
野良犬がいるような地域でないから、飼い犬で捨てられたか脱走したんだろう。ゴミ捨て場を漁りながらチラチラ周りを気にするようにしていた。
見つかれば保健所に連れていかれるだろうことも察していたかもしれない。
そのガリガリでボロボロの毛並みで哀愁を漂わせながらもゴミを漁る後ろ姿に、その生への執着に俺はある種の美しさを感じていた。