それと同じように、そなたはこの肉体さえ壊せば、苦しみから解放され、楽になれると思っているのだろう。
 そなたには分からないだろうが、死ねばもっと恐ろしい苦しみの世界へ入っていかねばならないのだよ。
その苦しみは、この世のどんな苦しみよりも、大きくて深い苦しみである。そなたは、その一大事の後生を知らないのだ」

 そして釈尊は、すべての人に、後生の一大事のあることを、諄々と教えられた。

 娘は、自分の愚かな考えを深く後悔し、釈尊の教えを真剣に聞くようになり、幸せな生涯を生き抜いたという。