◆防災頭巾「座布団にしないで」

 日本で初めて、子ども用の防災ヘルメットを開発した危機管理教育研究所(東京)の国崎信江さんは「子どもの頭を落下物から守るには、ヘルメット着用が必要不可欠」と言い切る。

 阪神大震災後、自身の子ども用にヘルメットを探したが、入手できず危機感が募ったという。産業用ヘルメットの老舗メーカー「谷沢製作所」(東京)に子ども用の製作を呼び掛け、頭の発育に合わせて装着バンドの大きさを変えられる「防災キッズメット」を開発。2006年に発売した。

 国崎さんは、戦時中の防空頭巾の名残と言われる防災頭巾について、「先進国で子どもたちに防災頭巾をかぶせているのは日本以外にないのでは」と首をかしげる。防火加工でない布頭巾は「火の粉が降りかかっても燃えているのが気付かないケースもある」と指摘し、「座布団にするとつぶれてしまうので、しっかり頭を守れない。
なぜヘルメットが必要なのかを先生や保護者が理解することが一番大切です」と訴える。

 一方で、東日本大震災を機に、高性能の防災頭巾を開発した企業もある。制服のネクタイなどの企画製造・販売を行う「たまき」(横浜市中区)は震災直後、消防服にも使われる素材を用いた防災頭巾を開発。11年9月から販売し、同市内の私立中学・高校などで採用された。

 玉置晴美社長(56)が震災当時、防災頭巾をかぶった子どもたちを目にしたことがきっかけで、「震災では落下物だけでなく火災も怖かったので、耐熱性に優れたものを開発した」と経緯を話す。特殊素材のため生産数に限りがあるが、「学校からは『女子生徒の長い髪も火から守れる』という声もいただいている」とニーズを感じている。


神奈川新聞社



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最終更新:9/1(水) 19:57
カナロコ by 神奈川新聞