YOSHIKI怖ぇーよ
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TOSHIがレコーディングブースに入ると,案の定,理想を追い求めるYOSHIKIはこれまで以上の厳しさでTOSHIを追い詰めることになった.
「その部分,声の掠れ方は,もう少し荒い方がいい」
「愛には無条件の愛と打算が込められた愛があるでしょう.それをタペストリーのように織りあげて欲しいんだ」
「TOSHI,狂気の意味が分かっているのか.狂気を伝える詞を,狂ったように歌っても本当の怖さなんか出ないんだよ.もっと正常でいなくちゃ.残りの少しに真の狂気をこめて」
こうしたYOSHIKIの抽象的な表現にTOSHIは戸惑い沈黙した.押し黙るTOSHIの姿がYOSHIKIを奮い立たせた.
「分かってるのか,TOSHI.そんなふうに歌っても人の心は打てないよ!」
TOSHIはスタジオと自分の部屋との往復に疲れ果てていた.しかし,YOSHIKIの「OK」は簡単には出ない.コンソールルームでYOSHIKIが叫ぶ回数が増え,ふたりの間の緊張は次第に高まっていった.
YOSHIKIはそれでも手を緩めなかった.