YOSHIKI、優しくて強い令和の響きを楽曲に

令和の私へ

僕自身、平成元(1989)年の4月にX JAPANとしてデビューしたので、30周年を迎えたのとほぼ同じタイミングで新時代を迎えることに、とても不思議な気持ちでいます。

 今回は生前のご譲位ということで、悲しい雰囲気はないじゃないですか。
前向きな雰囲気をもって時代が変わるのは自分にとって、ある種、与えていただいた機会なのかなと感じています。
時代が変わった瞬間に自分を見直したり、次の時代に向かおうと前向きになったり、行動を起こすことって、とても大切なことだと思うんですね。

 新元号の令和はとてもすてきな響きですね。優しい雰囲気もするのですが、結構強い感じもします。
今後、楽曲を作るときに直接、令和という言葉を使うか分かりませんが、令和の響きのような雰囲気を出した楽曲を作りたいなと思いました。

平成では、上皇さまの天皇陛下ご即位十年の奉祝曲として「Anniversary」を書かせていただきました。
最初の10年はいろいろ喜びもありましたが、悲しみもたくさんあったので、哀愁漂うメロディーをハ短調で表現して最後は力強く未来へ向かっていくという思いを込めて作りました。
喜びと悲しみの両方が表現できる楽曲で、平成の時代を語り継いでいく上でもこの楽曲を大切にしていきたいです。

 デビューして30年間、良いこともあったのですが、メンバーの(HIDE、TAIJIの)死とか悲しいこともありました。
平成の初期にアメリカに住んで30年近くになりますが、紆余曲折を経て少しずつ前に進んでいるとはいえ、世界に通じる扉をちょっと開けたくらい。
いろんなつらい試練を乗り越え、ようやく今まで自分が学んできたものを試すときが来た。
これからが挑戦、世界に向かって羽ばたくときが来たと思っています。

 僕はHIDEとTAIJIという偉大なミュージシャンの存在を世界に伝えることも使命だと思っています。
この1、2年、海外だけで1000本以上の取材を受けてきました。自分が頑張ることでX JAPANのことを知ってもらい、2人がいたことを世に知らしめることができる。彼らにささげられる恩返しというか、やらないといけないと思っています。

 新時代では、今までたくさん作ってきた楽曲を1つずつ発表していくことを含め、構想してきたことを確実に具現化していきたい。平成で学んだ30年分の思いや努力してきたものを全て世の中に出して開花させていきたいと思っています。


上皇さまの天皇陛下ご即位十年をお祝いする国民祭典で、奉祝曲を心を込めて演奏=1999年11月
https://www.sanspo.com/geino/photos/20190501/geo19050110000004-p1.html