ガンスリンガーストラトスのキャラはエロカワイイ5
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ガンスリンガーストラトスのキャラはエロカワイイ3
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/arc/1375064390/
ガンスリンガーストラトスのキャラはエロカワイイ4
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/arc/1388012057/ 一番危険な前線で戦っていた人と比べたら、遠くから援護していた私なんて、本当に大したことはしていない。
それなのにアーロンさんは、労うように私の肩に手を置いて、はっきりと褒めてくれた。
(どげんしよ……嬉しか、ちかっぱ嬉しかと……!)
嬉しすぎて、顔が笑ってしまう。見られないように、そっと下を向く。
私はちゃんと、この人の役に立てていた。それが分かってよかった。
「それにしても、最近は勝ち戦が増えてきたな」
ぽつりと、アーロンさんの零した独り言が聞こえて、私ははっと冷静になる。
仮にもまだ戦場にいるのだから、浮かれている場合じゃない。
「そうでありんすなぁ。勝ちを重ねることで、ちゃんと未来を救えていればいいのでありんすが」
そう言ってみると、アーロンさんはだな、とだけ返して、軽く肩を竦めた。
「この調子でいけば、時空越境作戦が終結する日も案外近いかもしれないな」
「終結……」
明るい口ぶりで呟かれた言葉の中の、一部を耳が拾って、一瞬思考が止まった。
「そうすればようやく君も解放されて、元いたところに帰れるだろう。一日も早くそうなればいいな」
「……えぇ、本当に」
そう言われて、私は返事の形にしただけの言葉を返す。
時空越境作戦。この戦争が終わったとき、私には戦う必要も、理由もなくなる。
そして、――私がここにいる理由もなくなる。
私は未来からの来訪者。今いるこの時代に居続けることは、許されない。
留まる理由がなくなれば、本来いるべき未来に帰らなければならない。
つまり……アーロンさんとも、お別れしなくちゃならない。
未来に戻ったところで、私にはなにが残っているんだろう。
母さんはもういない。父さんは……もういないも同然だ。
この時代へ飛ばされてきたとき、私は何もかも失ってきたのだから。
そんな未来へ戻ったところで、私はどうすればいいんだろう。
私はそこから先、ひとりぼっちで生きていかなければならないんだろうか。 そう考えたら、いずれ受け入れなければならない事実が、急に現実味を増してきて、怖くなった。
「どうした、具合でも悪いのか?」
「なんでもありんせん。ちと風に冷やされただけでありんす」
「……君は優秀な戦闘員だが、その前に一人の娘なんだ。何よりもまず自分を大事にしろ」
「有り難いお言葉を頂戴いたしんした。肝に銘じておきんす」
僅かに体が震えてしまったのを、アーロンさんが察してくれて、心配してくれる。
すぐに平静を装って微笑み返したけど、胸に針が刺さるような痛みが走った。
微笑み返す中で、気付かれないように、目の前の人を見つめる。
初めて出逢ったときから変わらない。強くて優しい人。私の大好きな人。大切な人。
……お別れなんてしたくない。たとえ戦争が終わって、戦う理由がなくなったとしても、
ずっとこの人の傍にいたい。こうして優しい目を、気持ちを、ずっと向けられていたい。
でもそれは、許されないこと。願ってはいけないこと。……分かってる。
分かっているから、胸に刺さった針が、更に深いところで痛みを強くしていく。
「!――本部からの信号だ。ようやく帰還出来るな」
突然そう言って、アーロンさんは持っていた通信機に目をやる。
気が付けば自分が付けている通信機にも、信号がきていた。
先に転送が始まったのは、アーロンさんの方だった。
「じゃあお先に。向こうでまたな」
「えぇ、また。お疲れ様でありんした」
最後に短く言葉を交わして、私はアーロンさんが本部へ転送されるのを見送った。
一人になって、急に思考が巡る。
――ここに残ることが許されないのなら、私が未来に持っていくしかない。
ここで積み重ねてきた記憶を、経験を、想いを、全部。
それがあれば、私は未来に帰っても、ひとりぼっちでも、生きていける。
私の中にひとかけらでも、あの人の存在があれば……きっと大丈夫だ。
そのためには、どうしたらいい?どうすればいい?
そう考えたとき、ふとあの日、母さんから聞いた話を思い出した。 花魁道の継承者として聞き継いだ、華やかで悲しい過去。残酷な事実。
もしかしたら、自分にも降りかかるかもしれない事情。
母さんは、私がそうならないことを、心の底から願ってくれていた。
正直なところ、私は実感が沸かなくて、もしそうなるときが来たとしても、何とかなると思っていた。
それが継承者としての役目だというのなら、務めるべきだと思ってきたし、
そんなことで、大好きな母さんから受け継いだものを、手放したいとも思わなかったから。
でも今になって、その“万が一の可能性”が、とても身近なものに感じる。
――もし、これから先、そういう可能性があるのだとしたら。
そうなる前に私は、自分が慕う人の存在を、先に残しておきたい。
初めてこの身を捧げる相手は、自分が心の底から想う人がいい。
「……あぁ、そういうことでありんしたか。あのときの話は」
そのとき、私は母さんから聞き継いだ歴史の一部を、実感した。
私が今考えたことは、まさにこの道の始まりにいる“花魁”が、かつて密かに願い、焦がれたことだったと。
「わっちに唯一残されたもの。――その道上に、ぬし様はいらしてくれるでありんしょうか?」
空を仰いで、先に行ってしまったあの人の姿を目に浮かべながら、独り言ちる。
また冷たい風が肌を撫でていったとき、次の転送が始まって、私の番が来た。
本部へ戻ってきて、任務を解かれると、私はすぐにあの人の姿を探しに行った。
廊下を渡って、階を降りて、建物の出口までの道のりの途中で、背の高い人影を見つけた。
「アーロン様……っ!」
「ああ、君も戻ってきたか。転送されるまで大分待たされたようだな」
急いで駆け寄ると、アーロンさんは足を止めてこちらに振り返る。
また優しい目で見下ろされて、また胸の中に痛みを覚えて、心がざわつく。
「あの……アーロン様。……聞いてほしいことがありんす」
「聞いてほしい?俺にか?」 意を決して、口火を切る。アーロンさんは意味が分からなそうに、怪訝そうな顔をする。
「相談事に乗ってやれるか分からないが……どうした?次の作戦について何か言われたか?」
「そうじゃありんせん……」
当たり前のように、アーロンさんは軽く膝を屈めて、そう問いかけてくる。
まるで子供の言い分を聞くかのように。でもそれは、私が望んでいることとは違う。
「この戦争が終わる前に、一度だけ……アーロン様の一夜を、わっちにくれんせんか?」
思い切って核心を口にすると、アーロンさんは今まで見たことないような、驚いた顔をした。
口にしてしまったことで、私の胸の中に生まれたざわつきは、更に大きくなっていた。
「それは、どういう……」
息を詰まらせるような声音で、アーロンさんがまた問う。
私は小さく深呼吸をしてから、少し距離が縮まっていた、目の前の顔を見上げる。
「わっちは“花魁道”の継承者。遥か昔に“花魁”が築いた歴史や文化を、後の世に引き継いでいくことを定められた、身の上でありんす」
「その長い道の途中、継承者としての意義とは別に、本来の……“花魁”としての役目を求められることが、万が一の可能性として、存在しているでありんす」
今はもう私しか知らない真実を打ち明けると、アーロンさんはまた驚いた後に、複雑そうに表情を歪める。
真面目なあなたのことだから、聞けば必ずそういう顔をするだろうと思っていた。
「それもまた継承者としての責ゆえに、覚悟はしておりんす。でも……もしこれから先、役目を果たす日が来るとしたら、
わっちはその前に……わっちが心を寄せた人に、この身を捧げておきたいと思いんした」
「アーロン様。わっちにとってその人は、ぬし様でありんす。だから……この戦争が終わって、お別れする日が来る前に、
ぬし様と過ごす一夜を……わっちにくださんし」
目線の先で、戸惑って困り果てて、揺れている二つの目を、じっと見入る。
この想いが、決心が、ちゃんと届いてくれるように。
私の目から、アーロンさんは少しも逃げなかった。でも私を見つめ返す目には、否定する意思が宿っていた。
「……生憎だがその願い、俺には叶えてやれない」 「一度でいいのでありんす。たった一度、一夜だけ戴ければ、他に何も望みんせん。
そうすればわっちはこの先……未来に戻っても、孤独が待つ道を歩んで往けんす」
断られるのも分かっていた。でも、だからって引き下がれない。諦められない。
今ここで我儘を通さなければ、私は……後に待ち構えている日々を、生きていける自信がない。
「わっちの願い、どうか……聞いておくんなんし。――アーロンさま」
嵐のように感情が暴れ回っている心境を訴えたくて、複雑そうに歪んだままの表情を
もう一度じっと見つめて、言葉にして伝える。
この想いが実を結ばないとしても、傍に居続けられないとしても、
せめて、あなたという存在だけは――未来まで、持ち帰らせて。
胸の中で募らせていたものを、全て打ち明けた私は、そのまま言葉をなくして立ち竦む。
後悔はしていない。していないけど、胸の中が今にも痛みで潰れてしまいそうだった。
アーロンさんは何も言わずに、やっぱり立ち竦んでいた。
馬鹿なことを言うなと怒ることもしなければ、呆れてその場を去るようなこともしない。
しばらくの間、そこだけ二人の時間が止まったように思えた。
「――四日後」
長い沈黙が終わったのは、囁くような低い声の呟きが聞こえたときだった。
「四日後なら、仕事も任務も予定がない」
「――え」
唐突な話を理解出来ずに、思わず困惑した声を漏らしてしまった私を、
アーロンさんはとても真剣な表情で、まっすぐ見据えてきた。
「一夜で、いいんだな」
「――!!」
「こういったことは先延ばしにしない方がいい。――四日後の夜、君を訪ねよう」
「あ……アーロン、様……?」
淡々と告げられた言葉が、受け取った返事が、信じられなくて、私の頭は、真っ白になっていた。 「それとも、こちらが場所を用意した方がいいか?」
「!! ――っい、いえ!そんなっ……ぬし様の手を煩わせるなんてこと、しんせん……!」
そう聞かれたことで、混乱から抜け出した私は、慌てて首を振る。
……聞き間違いじゃない。夢じゃない。
アーロンさんが、私の願いを聞いてくれようとしている。私が欲しいものを、くれようとしている。信じたいのに、信じられない。
「四日……四日後の、夜。その日になったら、アーロン様はただ……わっちの元へ、来てくださんし」
「――分かった」
喉が詰まりそうになりながら、なんとかそう言葉にして伝えると、
静かな声色の返事を返されて、約束が交わされた。
アーロンさんは背を向けると、黙々と廊下を歩いていった。
その後ろ姿を、私はいつまでも、いつまでも、見続けていた。
静かに、激しく鼓動を繰り返す心臓を、胸の上から押さえながら。 なんか書けたから投げさせてもらった。
連投規制くらいそうだからまた後で続き投げさせてもらう。 行燈を模した照明が、和を装った室内を、緋色に染める。
畳の匂いと、さっき焚いたばかりの香の匂いが、空気に溶けている。
窓を隠す障子の隙間からは、外の明かりが星の光のように散らばっている。
鏡の前に座る私は、生まれて初めてと言ってもおかしくないほどに、緊張していた。
唇に紅を差そうとする指が、震えている。うっかり他の箇所に付けてしまいそうになる。
それでも何とか身支度を終えて、私は改めて、鏡に映る自分の姿を見る。
一番綺麗に見えるように化粧をして、髪を結って、艶やかな柄の入った着物に身を包んで。
今の私は、継承者としての体を装った、いつもの私じゃない。
歴史として聞き継いできたとおりの、花魁そのものだった。
あの人は、私のこの姿を見て、どう思うんだろう。
綺麗だと褒めてくれるだろうか。少しでも喜んでくれるだろうか。
それとも……軽蔑されるだろうか。時代にそぐわないことをしたがる、愚かな娘だと。
考えたいけど、考えたくない。不安と期待で、また胸が押し潰されそうになる。
「……しゃきっとしんせい。これがわっちの望みでありんしょう?」
今にも泣きそうな顔をしていた、鏡の中の自分を睨んで、叱りつける。
どんな結果になっても、あの人の厚意を無駄にすることだけは、絶対にしてはいけない。
そんなことになったら、私は私を絶対に許さない。
そう気を引き締めたとき、遠くの方からノックの音がした。
「――!」
体と一緒に、心臓が跳ねた。一度深く目を閉じて、気持ちを落ち着かせる。
「――入っておくんなんし」
入り口の方へ声を掛けると、人の気配が近付いてくる。
部屋に入ってきて、行燈の緋に照らされたあの人の姿は、いつにも増して強く惹きつけられた。
「……これはまた、雰囲気があるな」
アーロンさんはまず部屋を見渡して、次に私を見て、感慨深げに呟く。
「もともと、外国からの客人用に使われる一室とのことでありんす。今夜にあつらえ向きと思い、お借りいたしんした」 平静を装いつつ経緯を説明すると、アーロンさんはそうか、とだけ答えた。
「アーロン様。こちらへ」
鏡の前から、布団が敷かれた畳の上へ移って、腰を下ろしてもらうよう促す。
用意していた膳の前に座ったアーロンさんへ、私は小さな杯を手渡した。
「まずは、どうぞ」
杯にお酒を注ぐと、アーロンさんは黙って受け取って、ちらりと私の方を見る。
「これも、作法の一つというものか?」
「えぇ。基礎中の基礎でありんすな」
「なるほど。確かに趣がある」
納得したように呟いて、アーロンさんは静かに杯を煽った。
寡黙な横顔に、思わず見惚れてしまいそうになる。
もう一杯注ごうとしたけど、アーロンさんは空になった杯を私に向けた。
「酌を返そう」
「でも、わっちは……」
「もちろん酒なんて注がん。……そうだな、茶を淹れてもらえるか?悪いが俺はやり方を知らなくてな」
「……あい、分かりんした」
そんなことを頼まれて、私は少しだけ戸惑いながらも、急いで急須と湯呑みを用意する。
茶葉とお湯を入れて、頃合いになったものを盆に載せて差し出すと、アーロンさんは急須を手に取って、私には湯呑みを取るよう促した。
「ぬし様に酌をさせるなんて……恥でありんすなぁ」
「受けた酌は返すものだと聞いたが、違っていたか?」
「いえ、間違っておりんせん。……頂戴いたしんす」
本当に知らなさそうな口ぶりの疑問に、否定と承諾を返して、私はそっと湯呑みに口を付けた。
淹れたばかりのお茶の熱さと苦みが、喉を通り過ぎていって、ほんの少しだけ緊張が和らいだ気がした。 「それで少しは落ち着いたか?」
「……っ!」
先に置かれていた杯の隣に、湯呑みを置いて、小さく息をついたとき、そんな台詞を投げられた。
思わず顔を上げた先で、アーロンさんは様子を伺うように私を見ていた。
平静を装っていたはずなのに、内心を見透かされていたことを知って、頬が一気に熱くなる。
耐え切れずに目を逸らすと、微かな吐息が聞こえた。まるで小さく吹き出したような音に聞こえた。
「今ならまだ、取り止められるぞ」
次に聞こえたのは、硬い声音だった。まるで最後の警告をされているかのようだった。
私は、そんな台詞を向けられたことで、恥じらっている場合ではないと気付かされる。
甘さを振り捨て、私はアーロンさんをもう一度見上げて、その警告を拒否する。
「止めるなんて、有り得んせん。野暮ったいことは、聞かんでくんなんし」
そして今一度、心の底から愛する人へ、覚悟と願望を言葉にして捧げる。
「……そうか」
分かってくれたのか、アーロンさんはそうとだけ呟くと、静かに目を閉じた。
「なら俺も、踏み止まるのは止めよう」
そんな台詞が聞こえたかと思うと、突然、強い力に体を引っ張られた。
「――!」
一瞬のうちに私は、アーロンさんの腕の中に、捕えられた。
心臓が、早鐘を打っている。
私の体が、あの人の体温に温められていく。あの人の匂いで満たされていく。
「この装いも今夜の為か。――綺麗だ」
低い声が耳元で囁かれる。私の体を抱きしめる手が、背中を伝って、結った髪を撫でる。
間近に感じたあの人の感触に、震えた息が、口から零れた。
脈打ち続ける心臓は痛くなるばかりで、今にも破けてしまいそうだった。
そのうち、本当に破けて死んでしまうかもしれないとさえ思った。 「――このままこうしていればいいのか?それとも、自力じゃ横たわれないか?」
「っ…………ぁ、」
熱の籠った声がまた近くから聞こえて、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
私がちゃんとしなければいけないのに。私が全部やらなきゃいけないのに。
体が動かない。口が開かない。頭が回らない。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
何も答えられず、何も出来ないままで、思わず縋るように、あの人を見上げてしまった。
そのとき、自分の視界が、ぼやけていることに気付いた。
「え……」
気付いた途端、ぼやけた視界がさらに歪んでいって、瞼が重くなっていく。
これは、なに?なにが起きているの?
「アーロン……さ……」
強制的に閉じていく目の向こうに見えた、あの人の表情は、何故かとても辛そうで、
僅かに動いた口が、“すまない”と呟いたように見えた。 深い眠りの淵から、意識が戻ってくる。
あんなに重かった瞼が動かせるようになって、ゆっくり目を開ける。
上には行燈の緋色に照らされた天井が見えて、背中には柔らかい布の感触があった。
「――目を覚ますのが早かったな」
頭の上の方から、溜息交じりの声がする。
目で追うと、アーロンさんが、優しい表情で私を見下ろしていた。
「わっちは……どうして……」
「軽い不眠症によく効くとのことだが……どうやら今夜の事が相当、心労になっていたようだな」
ふっと苦笑を零して、アーロンさんは自分の隣から、湯呑みを持ち上げて私に見せる。
その指先で一緒に持たれていたのは、何かの粉末が入った小さな袋だった。
「夜が明けるまでここにいるから、ゆっくり休め。――それで一夜の約束は、終わりだ」
まるで諭すような口ぶりで、アーロンさんはそう言って、私の額に手を置く。
大きな手から伝わる体温が、とても優しくて温かいと思ったとき、
私は言われていることと、自分がされたことを、全て理解した。
「――ずるい人」
無意識に、そんな台詞が出てしまう。あなたを責める権利なんて、私にはないのに。
それでも、どうしても。私の想いも、覚悟も、はぐらかされたと思ってしまう。
それがとても悔しくて、悲しかった。
「君が惚れたのはそういう男だ。いい人なんかじゃないんだよ」
アーロンさんは、困り果てたような苦笑の中に、ばつが悪そうな表情を混ぜて作っていた。
いっそ、我儘に付き合わされて困っていた、という態度でいてほしかった。
私のことを気遣って、悪いことをした、なんて思ってくれない方がよかった。
横たえられていた布団から体を起こして、アーロンさんの方を向く。
そして、一度は迎え入れてくれた胸の中に手を伸ばして、自分から捕らわれにいく。
「わっち……ほんとに好いとうと。ほんとにあなたを、好いとうとよ?」
あの人の体温と匂いを、また間近に感じると、言葉が次々と溢れていく。 「初めて逢ったときから、ずっと。傍にいて、お話して……こんなにも嬉しゅうて、幸せな気持ちになるんは、あなただけたい。
わっちのいい人はアーロンさんだけ……アーロンさん以外の人なんて、考えられんけん」
もう私は、“継承者”としても、“花魁”としても、体勢を保てなくなっていた。
ただの“私”として、大好きな人に、気持ちをぶつけることしか出来ずにいた。
「未来になんて帰りとうなか……帰ったらわっちは、ひとりぼっちたい。ずっとここにいたい……
あなたがいるなら、戦場でも何処でもいい。わっちは……っ、アーロンさんとずっと……一緒にいたいと……っ」
言葉が溢れていくのと一緒に、目からは涙が零れて、止まらなくなっていく。
きっと目は腫れて、化粧も流れてしまうだろう。酷い顔は見られたくない。
結局私は、自分で始めた事なのに、何もかも中途半端に終わらせてしまうんだ。
この一夜がたとえ、同情からの厚意だったとしても、あの人を悪い気持ちにはさせたくなかったのに。
どこまでも情けなくて、どこまでも悔しい。でもそれ以上に、――悲しくて仕方ない。
吐き出す言葉も無くなってしまった私は、ひたすら泣き続けた。
アーロンさんは黙ったままでいたけど、私を咎めることも、退かすこともせずに、そのままでいさせてくれた。
やがて、自分の泣き声の隙間から、深く息を吐く音が聞こえた。
そして頭の後ろの方で、また大きな手が触れる感触が生まれた。
「――君の気持ちだけは、ありがたく受け取るつもりでいるよ」
そんな台詞が聞こえて、静かに頭を撫でられる。
そうされたことで、私の目から涙が止まっていく。
「君がそこまで俺を想ってくれることも、これから待ち受ける過酷な道を進む支えに
俺を選んでくれたことも、嬉しいと思っている。これは本当だ」
溜まった涙の向こうで揺らぐアーロンさんの顔は、穏やかに笑っていた。
指で涙を拭ってもらうと、その笑顔はもっと鮮明に見えた。
「ただな。俺という男は、どうしたって君には相応しくないんだ。分かってくれ」 そしてアーロンさんは、また自嘲するような物言いをして、苦笑を浮かべた。
それはどこまでも優しすぎる、否定の意思だった。
相応しくないなんて有り得ない。分かれって言われたって、分かりたくない。
あなたを好きじゃなくなるなんて、できるわけない。嫌いになんてなれるわけない。
でも……私はこれ以上、大好きな人を困らせたくなかった。
私は小さく深呼吸をして、ずっと泣かせてもらっていた胸上から離れた。
残った涙を袖で拭い取って、きっと酷い顔になっているだろうけど、なんとか笑ってみせる。
「――分かりんした。今夜のところは、身を引きんす」
そう告げて、私は自分が根負けしたことを認める。やっぱりこの人には敵わない、そう思いながら。
「でもわっちは、諦めたりしんせんよ?何と言われようとも、アーロン様はわっちのいい人。これからもずっと……お慕いいたしんす」
そして精一杯、優雅に微笑んでみせて、改めて想いを伝える。
たった一回はぐらかされたくらいで、私の気持ちは変わらないから。
「今夜はすっかり謀られてしまいんしたけど、いつか帰る日までに、また機会を伺いんしょ」
「……これは、実に手強いな」
最後にそう宣言すると、アーロンさんは驚いて目を瞬かせてから、また困ったように苦笑した。
けど『次なんてない』とか『諦めろ』なんていう台詞は出てこなかった。
私の想いを受け取ってもらえる可能性が、全くないわけではない。それだけでも今は、嬉しい。
「ねぇ、アーロンさま」
また手を伸ばして、さっき私の涙を拭ってくれた指先に触れる。
「どうせ傍にいてくれるのなら、隣で一緒に寝てくれんせん?」
触れた指先をそのまま摘んで捕まえて、そっと力を込めて、またじっと見つめる。
アーロンさんは眉間に皺を寄せると、私の指先から自分の手を逃がした。
そして少し悩む素振りを見せてから、胡坐をかいていた膝上を軽く叩いた。 「ここで我慢してくれ」
ここに頭を載せて枕にしろ、ということらしい。
「……もう。仕方ありんせんね」
添い寝くらいなら聞いてくれると思ったのに。当てが外れて、少しだけ不満を覚える。
でもこの人は、そういう人だから。そういうところも全部、大好きだから。
また敵わないと思い知らされて、私はアーロンさんの膝上に、頭を預ける。
枕としては少し高い気がしたけど、この体温を肌に感じられることが、それ以上に嬉しくて、どうでもよくなる。
そして再び体を横たえたからなのか、薬がまだ効いているのか、また眠気がやってきた。
「……アーロンさま」
「……。なんだ」
うつらうつらとしていく中、愛おしさを込めて名前を呼ぶ。
私が眠るまで見守ろうとしている眼差しが見えて、少しだけ胸が締めつけられた。
「いずれわっちがいなくなっても、わっちのことを……どうか忘れんでくださんしね」
「……。ああ」
ここまでいろいろな想いを言葉にしたけど、本当に一番言いたかったことが、やっと出てきた。
アーロンさんは一言、そうとだけ答えてくれると、また額の上に手を置いてくれた。
私の中が、大好きな人の存在で埋まっていく。不安や寂しさが、置き換えられていく。
……ああ、これならきっと、大丈夫。
ひとりぼっちの未来でも、私は今夜のことを、この温かさを思い出せば、生きていける。
行燈の緋に照らされた、穏やかで優しい表情を、目の裏と記憶の奥深くに焼き付けながら、
私はまた、深くて心地良い眠りの中に落ちていった。 最近戦場場所が大阪しか当たらへんわ。どうなっとるんじゃ?自分東京とか選んどるのに。 6レスもらいます
キュアメ誕生秘話的なのを書きたかった 「はぁ?回復銃の使い方を勉強したい?」
「できればご教授願いたいのですが……」
そう話しかけてきたしづねの手には真新しい回復銃が握られていた。
意図が透けて見えるそれに、どうしたものかと鏡華は溜め息を吐く。
「別に教えても良いけど、何か頂戴?」
「見返りですか。私にできる限りでよろしければ」
「あ、じゃあ徹の1日フリー権とか、駄目なら現物で徹のパンツでも」
「他所を当たります、お疲れ様でした」
「ちょっ、冗談よ冗談!……半分だけ」
その発言にしづねは満面の笑みで応える。
彼女をよく知らない誰かが見たとしても分かるほどの殺意を漂わせながら。
心中穏やかにさせなかったなら御の字か、と鏡華が両手を上に挙げた。
「悪かったわよ、ちゃんと教えてあげるから怖い顔しないの」
「……そうですか、ありがとうございます。でも出来れば冗談は冗談と分かりやすいものの方が良いですよ」
「はいはい、肝に命じておくわ」
冷戦状態、と呼べるほど鏡華の熱は抜けておらず虎視眈々と徹の隣を狙い続けている。
無論しづねも大人しくしているわけではない。
が、今の関係に不思議とお互い心地よさも感じていた。 「それで、回復銃の使い方なんだけど……」
「ふむふむ……」
こうして、新人ヒーラーへの講義が粛々と始められたのだ……
――――――
その、僅か15分後。
「なんですか、傷ついてそうな味方にバーッて!」
しづねは憤慨していた。
「具体的な説明は何一つしやがらねえし、挙げ句放り投げやがった!」
そう、鏡華の解説があまりにも独創的であり、本人の感覚でしか解らないような代物だったのである。
しづねが疑問点をまとめ、それを述べると、手本を見せてあげるからと半ば奪うように回復銃を借りた。
そのまま少し試射した後に首を傾げ、銃を眺めた後に
『あっ、これ私のと違うモデルじゃん。じゃあ良くわかんないやごっめーん』
と投げて返したのである。
頼んだ側とはいえ、杜撰な対応に腹を立てつつ、そういえばこういう人だったとで反省もせざるをえなかった。
ひとまず形だけはお礼を述べて、今に至る。
「誰か他の回復武装持ちに話を聞いた方が良さそうですぅ……」
思いつくのは、対オルガ同盟のリューシャと半オペレーターである九美の二名。
どちらかに聞ければ良いと作戦本部内を彷徨いてみることにした。 暫く捜索した後に二人とも休憩室で発見する。
丁度二人きりで会話して花を咲かせているところに遭遇できたのは運が良かった。
「お二方今大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよしづねさん」
「わ、私も平気です!」
了承を得て、しづねは席に着く。
テーブルにはシュトーレンが置いてあり、リューシャがすぐさま切り分け差し出した。
「ありがとうございます。これはリューシャが?」
「ええ、たまには故郷の味をと思いまして」
「私は卵かけご飯ぐらいしか作れませんから……」
「それは料理とは言いません」
九美の発言を切り捨てつつも一口。
しづねが美味しいと呟くと、リューシャは嬉しそうにはにかんだ。
「それで、私達へのご用は何でしょうか」
「うっかりしてました、危ない危ない。実はですね、回復銃の扱い方と言いますか、回復武装の効率的な運用方法を訊ねたく……」
「回復のことでしたら任せてください!」
先程まで項垂れていた九美が、水を得た魚の如く顔をあげる。
両拳をぐっと握り締め鼻息も荒くなった様相に、しづねは少しばかり引いていた。
が、自分から聞きに来た手前聞かないという選択肢もない。 こうして、しづねは未だ知るはずもない、悪夢の二限目を受けることになったのだ……。
――――――
「うぅ、疲れましたぁー」
顔をぐにぐにこねながら、しづねは途方に暮れていた。
結論から言うと満足な結果は得られなかったのである。
原因は九美であった。
役に立とうと己の知識をフル活用したのだろう、さながらマシンガンどころかガトリングガンのような専門トーク。
リューシャも専門家であり、更に聞き上手な面も相まって止めてくれる気配がない。
しかし素人のしづねにやれ回復の原理だの、最新医療工学だの、戦術理論体系だのは馬の耳に念仏であった。
欲しい情報を得られぬまま、しづねは適当な言い訳で戦線を離脱する他なかったのである。
「……回復は諦めた方が良いのかな」
できることが増えるように、役に立てるようにと手に取ってみたものの。
自分はどこまでいっても『竜胆』なのかと思い知らされているようで。
殺すためでしかなかった、見えない赤に染められた手を眺める。
「なーにしょぼくれてますの」
後ろから肩に腕を回された。
驚いて顔を向ければ、にっこりと笑顔を浮かべた親友。
篠生茉莉の姿がそこにあった。 「茉莉、どうしてここに?」
「友達の危機に駆けつけない私ではなくてよ。と、言えたら格好良かったんですけれどね」
手に持った携帯デバイスを差し出す。
表示されたメッセージの送り主を見れば、先程話していたリューシャからとなっていた。
「アフターケアまで万全とは、女子力の化け物ですか」
「とは言っても私も一度フレイヤに積んだことがあるくらいですし……」
「あら、じゃあ教え甲斐がありそうね」
しづねのみが、急いで振り返る。
デバイスを振りながら近づいてきたのはオルガ・ジェンテインだ。
こちらも笑顔なのだが、どうにも爽やかな印象は一切受けられない。
「なぁッ!?何でテメェが!」
「九美ちゃんから、愛しの妹が困ってるって話を頂いたものだから」
「リューシャが送ったから私も、って流れかしら」
「余計なことをしてくれやがりましたねあの水色」
憤慨するしづねとにたつくオルガ、そんな二人に挟まれ狼狽える茉莉。
このままでは話し合いにすらならない。
親友のため、茉莉はもう一肌脱ぐことに決めた。
「しづね、一旦落ち着きなさいな。今日は回復を学ぶ為にいるのでしょう?」
「そ、それはそうですが……」 「だったらここは我慢ですわ。オルガさんの実力はご存知でしょう?」
「……わかりました。茉莉もいますし大人しくします」
「あら、つまらないわね」
剣呑な空気がひとまず収まり茉莉は胸を撫で下ろす。
落ち着いたしづねが、未だ渋々だが袖から青い銃を出して見せた。
「これが件の回復銃なんです。回復力がイマイチなのと、回復させるタイミングがよくわからなくて」
「……市販品じゃない。茉莉ちゃん、これのリミッター外せるかしら?」
「そういうことならお任せあれ、ですわ」
「はい、回復力については解決したわよ」
いとも容易く目下の悩みが消え去り、開いた口が閉じない。
少し呆れた顔でオルガは続ける。
「それに、回復なんて難しいことじゃないわ。痛がってる人に銃口向けるだけだもの」
「そりゃ痛覚感知なんてNDSF持ってる人は楽でしょうね」
「空白視だって似たようなものでしょう。この用途に限っては」
しづねが言葉につまった。段々と頬が紅く染まっていく。
状況が読めていない茉莉は頭に疑問符を浮かべていたが。
「貴女の小さい手じゃ1人を抱き締めることしか出来ないわ。だから、その1人を大事になさい。」 「膝枕?」
「はい、いかがですか?」
「うーん。…………いや、大丈夫」
食後の一服。
穏やかな昼下がりに出された提案を、風澄徹は已む無く拒否した。
提案側の竜胆しづねは、完全に想定外の事態であったためか三歩歩いた後に振り返ることとなる。
「では早そ……えぇっ!?き、聞き間違いじゃないですよね」
「うん。大丈夫」
「そ、そんな……膝枕は殿方のロマンだとお聞きしましたのに」
男のロマン、と言ったものの、好いた男に膝枕をしたいというのも女のロマンであった。
もふもふの頭を撫でてあげたいし、安らかな寝顔を眺めていたい。
ならば原因をすべきだとしづねは燃え上がる。
「ぎゅーってしたいです!」
「それならいつでも」
「その、ち、ちゅーして欲しいです」
「勿論いいよ」
「じゃあ膝枕を」
「うーん……」
「なんでそこで渋るんですかぁ!」
徹は地団駄を踏み始めるしづねを、頬を掻きながら眺めるだけだ。
暫く唸っていたしづねだが、観念したのか恨めしそうに見上げながら尋ねる。
「せめて理由を、理由をお聞かせくださいまし」
「その、僕の人生で汚点になってるからあまり話したくはないんだけど……」 「そんなの私は気にしませんよ、さあ!」
「そこまで言うんだったら……2年前のことって覚えてるかい?」
2年前、と言われてしづねは暫し黙考した。が、思い当たる節はない。
そもそも適格者に取って時の流れは曖昧過ぎる。
越境作戦中の所謂『死に戻り』のせいで肉体は現在との時間にタイムラグが出てしまっているせいだ。
具体的にどこまでを指すのかがしづねの頭をより掻き回す原因となっている。
困窮極まったしづねは素直に問いただすことにした。
「何かありました?」
「ほら、しづねの誕生日。僕がバイト帰りにそこら辺で倒れた日だよ」
「……あ、ああ!ありましたねそんなことも!」
まだ、越境作戦が始まって少ししか経っていない時期。
個人として扱える身銭がなかった徹は、軍属であるアーロンに頼み込んで自分でもできそうな仕事をいくらか回してもらっていた。
理由は勿論しづねに少しでも良いプレゼントを贈るため。
しかし、その誕生日の朝。徹夜で働いた疲れがたたり、帰り道で倒れてしまったという過去があった。
「それで、膝枕されたら、あの時みたいにまたしづねが泣いてるんじゃないかって不安になるんだ」 「は、はあ。まさかそんな理由とは」
「僕としては結構大事なことなんだけどな……」
「兎に角、理由は分かりました。じゃあ後は簡単な話ですね」
しづねは徹の腕を引っ張って目的地へと移動する。
本日当初からの到着点であった徹のベッドへと。
そして竜胆家の技術を無駄遣いし、軽業のように徹をベッドに押し倒す。
そのまま、仰向けに倒れこんだ徹の頭付近に移動し、正座した自身の両腿に徹の肩を押しつけた。
「ほら、今の私も泣いてますか?」
しづねは確信する。
徹の目に映っているのが、最大級である自分の笑顔だと。
徹も初めは驚き、じっくりと眺めた後、ゆっくりとはにかんだから。
「それで、具合はいかがですか?」
「……ああ。こういうのを至福って言うんだろうな。最高だ」
「ふふ、それは良かった。そのままお眠りになられて結構ですよ、ずーっと見てますので」
「じゃあ甘えさせてもらうね。面倒かけてすまない」
「もう徹さんってば。仰る言葉が間違ってますよ」
「……そうだね。ありがとう、しづね。お休み」
「はい、ごゆっくり」
徹は驚くような早さで夢へと落ちていく。
それを眺めながら、しづねは一回、また一回と優しげな表情で頭を撫で続けるのであった。 読んでる人いるか知らんけどおいこら喰らってました
間空いてすまんですぅ アーケードもおもしろいけどこれとかもおおしろいかも
グーグル検索⇒『稲本のメツイオウレフフレゼ』
Y88EH 「さく、さく」
擬音語を口にしながら、降った翌日の雪を踏みしめる。
結晶が崩れながらロングブーツを受け止める音が耳に心地好い。
慎重に、かつ大胆に、心の赴くまましづねは白道を舞い進んだ。
犬耳を模した膨らみのあるニット帽に少しお高めのマフラーを巻いて、防寒はバッチリしている。
しかし有事の際を考慮するとどうしても手袋はつけられない。
膨らんだ袖の中で、小さな手だけが寒さを訴えていた。
「早く終われば良いのに」
不意にぼやいた言葉は、この荒野に対してか、もしくは越境作戦に向けてかもしれない。
本人さえ真意を知り得ないのであれば、言葉は希望ですらなく、空っぽのままだ。
故に人間は意味を持たせる。
例えばそう、誰かを想うことによって。
「……あ」
そして今、先の発言は楽しくも退屈な時間が、という意味を得た。
彼女の視線が捉えたのは積もった雪と同じくらい白くて、それ以上に高揚させてくれる人の一欠片。
風に靡くマフラーが、本人と一緒に手を振っているのでは。
なんて話したら笑われちゃいますかね、としづねは一人盛り上がる。
とにもかくにも駆け出して、彼の手を掴みこう言った。
「徹さん、お待たせしました!今日は良い天気ですね!」 朝の目覚め。
もはや安全圏に片足を突っ込み始めた片桐家、そして併設された従者寮では警戒の為に夜更かしもしなくていい。
フロンティアストラトスで十二分な衣食住を獲得している竜胆しづねに、早起きしない理由はなかった。
「んんー……今日も良い朝、です」
満足のいく睡眠を得たしづねはその小さい身体で目一杯の背伸びをする。
彼の色、ということで選んだ白い厚手のパジャマと、伸びで意匠の毛玉が揺れた色揃いのナイトキャップが可愛らしい。
気持ちよく起きたお陰で先まで見ていた夢の内容は吹き飛んでしまった。
それでもまだ朧気に覚えているのは、やっぱり愛しい彼のことで。
寝ても覚めても、とはまさにこのことだろう。
多分彼は知らない。
彼女が毎日どうなるのか楽しみであると。彼がどれだけの希望になってくれているのかを。
――――――
「とーおるっ!」
作戦終了直後、片桐鏡華は風澄徹に背後から抱きついた。
緊張が解かれた直後の不意討ちで、徹は思わずよろけてしまう。
「今日は快勝だったね!やっぱりきちんとした回復役がいると違うよねー」
「相手が長期戦に適してない編成で勝ちを拾えただけさ。あと、離れて」 やや強めの口調で彼は鏡華を拒絶していた。
そうでもしないと退かないのを理解している上、面目が立たないと思っている故に。
それでも鏡華は負けじと彼の腕を自身の胸に挟むように抱きしめる。
「いーじゃないちょっとぐらい、徹も私の気持ちわかってるんだからさ。ね、後でデートしようよ」
「駄目だ。わかっているからこそ応えられないし、応えるつもりもないから」
「徹のけちんぼー!」
それを遠くから眺める、メイド服の彼女。
何も思わないわけではない、何も求めないわけでもない。
腹の底には、胸でちくりと痛む度にこぼれ落ちる黒い雫が溜まっていく。
でも、こんなものを彼に見せたくはない、絶対に。
敗走した鏡華が存在に気付きしづねに近寄ってくる。
彼女の心配事は、今はただひとつだった。
「余裕そうじゃないしづね」
「ええ、徹さんなら絶対に私のところに帰ってきてくださると信じてるので」
「その笑いは正妻のよゆーってやつ?フンだ、今に見てなさいよ。愛人枠だろうと必ず徹の愛を勝ち取ってみせるんだから」
心配事を一先ず乗り越えて、彼女は安堵する。
きっと彼は知らない。
この仄暗い感情を。溜まった醜い愛欲を。 誰にも渡したくない。でも、無理を強いて傲慢な女だと嫌われたくない。
そんな、恐れと祈りに満ちた想いを。
――――――
今日のために、正確には明日のために。
主人に無理を言って(二つ返事で快諾であったが)メイドの仕事は午後から次の午前までは休みにしてもらっている。
つまり、誰にも邪魔されず二人きりで過ごせる時間だ。
「徹さーん、えへへ……」
「ちょ、ちょっとしづね、くすぐったいよ」
「やめませんよー、ずっとすりすりしちゃうんですから」
いつもの定位置について、思う存分にじゃれつく。
胸板に頬を擦り付け、その温度と香りに酔いしれて。
マーキングの意図も少なからずあるけれど、彼の匂いでもはや中毒だ。
多分彼は知らない。だからこうして誤魔化せる。
普段より甘えてるだけに見えるはずだ。
「今日はいつもより激しいね、何かあった?」
「……いいえ、何も」
きっと彼は知らない。だからこうして隠し通す。
知ってほしい。見ないでほしい。わかってほしい。だから、気づかないで。
本心と本心がぶつかり合って、いずれ壊れても構わない。
徹に好かれてさえいれば、それがしづねの存在理由になる。 でも、彼は。
「知ってるよ」
静かに口を吸い、終えた後も正面から視線を外さない。
「……え?」
「しづねが頑張っていることも、鏡華が張りついてきて、嫉妬して嫌な思いさせてることも。ごめんね、僕が上手く相手できれば良かったんだけど」
しづねの瞳は徐々に涙を蓄えていき、やがて堰は決壊する。
壊れた蛇口のようにこぼし続ける徹は胸で受け止めた。
心の氷を溶かすように、胸の内に巣食った闇を払うように。
彼は彼女の頭を優しく何度も撫で続ける。
「いや、そんな、徹さんが悪いわけ、なくて、それに」
「でも僕はそんなしづねも可愛いと思うし、綺麗だと思う。ずっと側を離れないでいてほしい」
「や、やめてください、今だけは、だって、私、こんなに嫌な女で」
「君が何と言おうと、君の全部ひっくるめて、僕は君を好きになったんだ」
――――――
そして、深夜。
日付が変わり、待ち望んだ日がやってきた。
彼女がこの世に生を受けた喜ばしい日を祝おう。
腕の中にいる、竜胆しづねという1人の少女の、愛した女の。
彼は知っていた。
彼女が今一番欲しい言葉、それは。
「誕生日おめでとう、しづね。今年もよろしくね」 出撃要請のない日。久しぶりの自由な時間を、茉莉は愛機のメンテナンスに費やしていた。
「フレイヤ。あなたが優秀すぎるから、もうやることがなくなってしまいましたわ」
部屋の片隅に設けられた作業場から、ドック内に鎮座するフレイヤを見上げて、茉莉は嬉しそうに声を掛ける。
直近の連戦においてかなりの無茶をさせていた自覚があったため、今日はフレイヤの全てを診るつもりでいた。
しかしいざ取り掛かってみれば、大きな修理や部品交換も必要なく、あっという間にメンテナンスが終わってしまった。
装甲版のクリーニングも済んだ今、そこには工場から届いたばかりの新品のように綺麗になったフレイヤがいた。
そんなフレイヤをうっとりと眺めながら、余ってしまった時間を次は何に使おうか、ぼんやり考えていると、
「おっいたいた」
突然、背後から誰かの声がして、茉莉は振り返った。
「リカルドさん?こんなところに来るなんて珍しいですわね」
「君を探してこんなところまでやってきたのさ」
思いもよらない訪問者に茉莉が驚いていると、リカルドは軽い足取りで歩いてきて、
更にそんな軽口を叩きながら、ごく自然な振る舞いで手を取る。
「……なにが目的ですの?」
「そんな警戒すんなって。ちょっと相棒を見てほしいんだよ」
熱っぽい視線を向けられていることに気付き、茉莉は慌てて手を払い除け後ずさる。
こちらを睨む茉莉に苦笑いを返して、リカルドは腰に下げていたものを取り出した。
「それは……ワイヤーガン?」
「この前の出撃からなんか調子が悪いんだ。思うように飛ばねえっつーか」
そう言いながらリカルドが武器を差し出すと、茉莉は両手で受け取る。
外観に目立つ損傷はない。何かあるとすれば内部だろうか、と即座に目測する。
「つまりはメンテナンスの依頼ですのね?最初からそう言えばいいのに」
「可愛い子を訪ねて、第一声が野暮ったい用事じゃ悪いだろ?」
「その減らず口、塞げないのなら帰ってもらいますわよ」
「分かった分かった。静かにしてるから相棒を直してくれよ。な?」
二度目の軽口に茉莉がまた睨みを利かせると、リカルドはどうどうと落ち着かせるような仕草をした後で、両手を合わせて懇願する。 「仕方ないですわね……診てみますから、少しそこでお待ちなさいな」
相変わらずチャラい男だと思いつつも、とりあえずその態度で一旦許すことにして、
茉莉はリカルドに椅子を勧めてから、作業台へ預かった武器を置いた。
丁重に分解をして、内部を調べる。ワイヤーを巻き取る箇所が、少し歪んでいるように思えた。
「原因は摩耗と負荷かしら……よっぽど重いものを引っ張ったか、酷使させすぎたんじゃありませんの?」
「どうだったかなぁ……あ、そういやこの前の戦いで最後に相手したのはあっちのジョナサンだったな」
「ジョナ……って、これでパグを引っ張ったんですの!?」
「狙ってやったわけじゃないんだ。本当はあっちのレディ達を捕まえたかったんだが、割って入ってきたパグに引っ掛かっちまってな。あれにはほんと驚いたぜ」
「なんてこと……よく壊れませんでしたわね」
「使い手の腕がいいからな。巨大ロボットだってこの俺にかかれば小鳥も同然だ」
「はぁ……あなたの“相棒”は邪念まみれですわね。こんなオーバーワークまでさせられて、かわいそうに」
大仰に格好をつけながら、誇らしげに語るリカルドを横目で見つつ、茉莉は大きな溜息をついて、手元のワイヤーガンを労うように撫でる。
「まぁまぁ。おかげでそいつは今、世界一麗しい整備士に修理してもらえてるんだ。悪い気はしてないはずさ」
「……減らず口は塞いだんじゃなかったんですの?」
「おっと、正直な感想がつい出ちまった。こんな綺麗で繊細な手捌きを見て、嘘はつけないからな」
そうおどけつつ、先程から器用に動かされる手元を見物していたリカルドは
その上にあった不機嫌そうな表情に、片目を瞑ってみせた。
歯の浮くような台詞と態度に戸惑いと苛立ちを覚えるが、褒められたこと自体は少しだけ嬉しかった。
茉莉は小さく咳払いをして、それ以上の発言を制すると、改めて作業に集中することにした。
「……他の子を庇って捕まるなんて、ほんとバカなんだから」
歪な形になっていた部品を交換しながら、茉莉はぽつりと小言を漏らす。
先程のリカルドの話から、そのときの場景は容易く想像できた。 「こっちでもそうよ……後ろばっかり気にして、危なそうな子がいたらすぐ助けに行っちゃって、この前だって一緒にいた私を置いて戻っちゃって……」
手を動かしながら、今度は自分の記憶が呼び起されて、更に愚痴が零れる。
「私は前線に一人で大変だったんですのよ?なのに『茉莉ちゃんは強いから大丈夫だよ』って……なんにも分かってないんだから!」
「荒れてるねぇ。可愛い顔が台無しだぜ?」
思い出していくにつれて腹が立っていき、わなわなと肩が震え出してきた頃。
すぐ隣からそんな言葉を掛けられて、茉莉ははっと我に返った。
「こっちのジョナサンとは相変わらずか。苦労してんな」
「し……知りませんわよ!あんな鈍感間抜け男のことなんて」
憐れむような目線と、からかうような口振りを突っぱね、茉莉はそっぽを向く。
その声がほんの少しだけ、悲しそうな雰囲気を纏っていたことにリカルドは気付いた。
「そうだなぁ。本当にどうしようもない奴だな、あいつは」
「……え?」
呆れたような溜息と共に発せられた、そんな物言いが気になって、茉莉は思わず向き直る。
すると作業台から離した手を掴まれて、引き寄せられた。
「こんなに一途に想ってくれてる子が側にいるのに気付かないなんて、そのうえ寂しい思いもさせてるなんて、贅沢な奴だ」
油とグリスで汚れた手を撫で、リカルドは神妙な面立ちでそう言葉を続ける。
唐突のことに理解が追いつかず、茉莉はされるがままに硬直していた。
「俺だったらほっとかないけどなぁ。こんなに可愛い子、すぐモノにして他の誰にもやらねえよ」
「な……っ!?」
そんな台詞と、再び熱っぽい視線を向けられて、茉莉は一気に顔が熱くなる感覚を覚えた。
急いで手を振りほどこうとしたが、何故か体が動かなくなっていた。
みるみるうちに真っ赤になっていく顔を見上げ、リカルドは不敵な笑みを浮かべると、
空いていた手で小さな顎に触れ、距離を詰める。
「なあ。そんな鈍感野郎なんてやめて、俺にしてみないか?――お嬢さん」
「――ッッ!!」
そして戸惑い揺れる目をじっと見つめ、わざとトーンを落とした声で、渾身の台詞を囁いた。 「な……な、なっ、なにを言っていますのあなたは!!」
自分がされたことにようやく頭が追いついてきて、茉莉は絶叫する。
そしてありったけの力を込めて、リカルドを振り払った。
「あなたにそんなこと言われても全ッッッ然嬉しくないですわよ!!だいたい女性を捕まえようとして武器を傷めた男がどの口で言ってますの!!?」
「うーん、それを言われると耳が痛いな」
理解に追いつかない感情のせいで薄く涙目になりながら、茉莉はリカルドの誘いを真っ向から拒絶し捲し立てる。
正論をストレートにぶつけられたリカルドは、言葉を濁しながらばつが悪そうに頭を掻いた。
しかし息を切らして肩を上下させている茉莉が目に入ると、改めて可愛いと思いつつ小さく吹き出す。
「でも気が変わったらいつでも俺を選んでくれていいんだぜ?君の場所は空けておくよ」
「お・こ・と・わ・り・ですわ!!」
調子に乗ってもう一言を手向け、ここがそうだと胸に手を当てながら、また片目を瞑ってみせると、
気持ち良いほどによく通る威勢のいい声で、拒否の意が返ってきた。
「ほら終わりましたわよ!さっさと“相棒”を連れて帰りなさいな!」
「おっ、もう直ったのか?すげぇな」
荒々しくも正確に分解したものを元に戻し、茉莉はリカルドに武器を突き返した。
受け取ったワイヤーガンを構えると、リカルドは何もない場所へ試し打ちする。
ワイヤーが狙った方向へ思った通りに飛んでいくのを確認して、完全に調子が戻ったことを知った。
「さすがだ、完璧に直ってやがる。君に頼んでよかったぜ茉莉ちゃん、ありがとな」
「また同じような理由で壊したりしたら、二度と直してあげませんわよ!」
「そりゃ困るな。なるべく気を付けるとするか」
もっと大切に扱えという叱咤を込めて釘を刺したが、返ってきたのはおどけた口振りの返事だった。
「あ、そうだ。今日のお礼はまた改めてするからな。楽しみにしてな」
作業場から出ていく途中、思い出したように振り返って最後にそう告げると、
リカルドは格好つけた別れの挨拶を残して、去っていった。 「まったく……何なんですのあの人は!」
静かになった作業場で、茉莉は憤慨しながら工具を片付けていた。
先程取り外した部品を捨てようとしてふと、油とグリスで汚れた手元が目に留まる。
留まった瞬間、先程まで包まれていた大きな手の感触と、汚れを拭うように撫でてくれた指の感触が呼び起こされた。
また頬が熱くなる感覚を覚え、不本意ながらも鼓動が大きくなっていく心臓を、服の上から押さえつける。
「あんな言葉……あんな人に言われたくらいで……こんなに取り乱すなんて……っ」
長く想い続けている相手がいながら、こんなことで動揺してしまった自分が許せずに、茉莉は自身に対して怒りをぶつける。
掛けられた言葉を拒絶する意思に反して、心臓の音は静かになりそうになかった。
茹だるような頭の中で、遊び慣れた大人の男にからかわれたのだと、取り乱すだけ馬鹿なのだと何度も言い聞かせ、自分自身を宥めるしかなかった。
「このお代は、高くつきましてよ……!」
酸素が足りなくなって、大きく深呼吸をした後。
脳裏に残っていた調子の良い笑顔に対して、後日のお礼は何十倍にもして返してもらおうと決めた。 公式茉莉がヤッベエダロ言ったままでなにもないのが意味深だったから思いついただけ 茉莉ちゃんとセックスしたいなぁ
と思う僕なのであった――
つづく リューシャのおっぱいって雪見だいふくみたいに真っ白で美しいよね リューシャちゃんでシコり終わったらしづねちゃんに罪悪感が出てきてちゃった しづねの竜胆式メイド流温泉巡り
―ポロリもあるよ― 鏡華「身体が…いうこときかない!あん♥!」
主水「ぐふふっワシの真加部流淫経穴刺激式高速愛撫(スタングレネード)からは逃げられんぞ!」
鏡華「あっあっ♥」 フロンティアSの世界なら鏡華とかパンツ売ったりしてお金稼いで風すみに貢いでそう 茉莉ちゃんのお尻は摩擦係数ゼロ!
ガッテンしていただけたでしょうか?
ガッテンガッテンガッテンガッテン このガイジいちいちネタに使う題材が古臭いのなんで?
90年代のエロ同人世代のジジイなの? まつりかの まんこのにおい くんくんくん
まつりかの まんこのにおい くんくんくん 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) 確定じゃないし中の人とゲームと創作はそれぞれ別です故
心持ち書きやすくはなるけど アニメでも漫画でも脈ありで中の人も脈あり
ワンチャン4きたら設定リセットで公認カップルになる可能性あるな ゲーム作品としちゃユーザーが想像できる余地を残す
ってのが定番でありユーザーにも優しいことなんだろうけど
まあ所謂「公式からの餌」は非常に美味しいことに違いはないので
もし本当なら普通に二人をお祝いもするけど
そういった面でも嬉しいっちゃ嬉しいですね 確実にどんな人でも可能な副業情報ドットコム
参考までに書いておきます
検索してみよう『立木のボボトイテテレ』
ZF6 三つもらいます
あと私事で恐縮ですが落とさなければ薄い本が出ます 知らぬ間に。
「あれ、今日も外してる」
ふと無いことに気づく、彼女の白い相棒、ヘッドドレス。
公私混同をしたくない場面、特に自分の前では外すことも多いけど。
最近はそれ以外でも見当たらないのを知ったのはいつからだろう。
「特に必要ないと言いますか、むしろ邪魔かなーなんて」
「そうなんだ?ちょっと失礼」
「んぅ……」
まだ付いてる角を模したカチューシャの間から腕を通していつものコミュニケーション。
頭を撫でやすくて良い、とは思うものの。
僕だけが知っていた彼女が他の奴にも見られていると、暗くて熱い風が渦を巻き始める。
こうして、惚けて手に頭を擦り付けてくる顔や、もしかしたら別の顔なども、気が気でない。
「徹さん、如何なされました?」
「んー…………?しづねに隠し事はできないからなぁ」
しづねはたまに自分が重い女の子だと自称するが、僕の方がよっぽどだと自負している。
些細な事象なのに頭の内から排除できないのは、当然彼女のことだから、ではあるのだが。
「空白視せずとも分かります。だって、徹さんのことですから」
「そんなに分かりやすいかな?」 「ええ。だって頭なでなでがちょーっと雑になりますから」
彼女の喜ぶ顔が見たくてやっていたのに、それ以外を気取らせてしまうとは情けない。
一息吐いて、雑念を忘れる。そして流れの勢いに任せて。
わしゃわしゃ。
「もぉー!今度は強すぎですよぉ!」
「ごめんごめん」
「……まあ、先程よりはマシですけれど」
乱してしまった髪と心を整えるように、丁寧に、丁寧に撫でていく。
ようやく彼女の全開笑顔が見られたので安堵できた。
「それで、今度はどうしたんですか?」
口にも出したが彼女に隠し事は通用しない。
隠すようなことでもないはずだが、気恥ずかしさは消えるものではなく。
単に好きな女の子の前でみっともない姿は一厘たりとも見せたくないというただの見栄だ。
犬にでも食わせてしまえ。
「最近、よくヘッドドレス外してるな、と思っただけだよ」
「本当に?」
「本当に。ただ、それだけなんだけどね」
それだけ、ではない顔をしてしまっているのだろう。
しづねは撫でられたまま頬に人差し指を当てて考え始めた。
うんうん唸りながら知恵を絞り出す。
そこに彼女のNDSFである空白視を介せずに。 曰く。
「便利ですけど、カンニングしないと分からないなんて関係は嫌なので。私は貴方とごく普通の恋人でありたいんですから。なるべく控えていきます」
とのこと。
本当に、僕を喜ばせることに長けすぎている。
そんな彼女だが思案の結果がようやく出てしまったらしい。
「あ、わかりました。徹さんも相変わらず可愛いですね」
「だから男に可愛いは褒め言葉じゃないって」
「良いんですよ褒め言葉で。だって私にだけは弱味を晒してくれてるってことじゃないですか」
撫でられを中断して、包むように抱き締めてくる。
気温以外の熱さが肌に染み付いて離れない。
頬擦りをされればそこから融解しているのではないかと勘違いするほど。
「ヘッドドレスは本当に、邪魔だと思っただけです。メイドメイド言うのも片桐家以外だと違うかなって」
「それってつまり」
「徹さんのもの、ですからね私。それに、私だって隠し事は殆どしませんよ」
「殆ど?」
「そうです、殆ど。こういうことだけはご容赦してくださいましね」
そう言って袖から出されたのはラッピングされた箱が一つ。
「今年もお誕生日おめでとうございます、徹さん!」 筐体撤去が相次いで先行き暗雲しか見えない中
この徹しづ話が数少ない心の支えの一つになっているというね乙 中学生でもできる嘘みたいに金の生る木を作れる方法
暇な人は見てみるといいかもしれません
2chまとめで副業できる方法とは?『立木のボボトイテテレ』
6A9 1-1 楽勝
1-2 楽勝
1-3 うんこ
1-4 楽勝
2-1 楽勝
2-2 楽勝
2-3 楽勝
2-4 楽勝だけど羅針盤死ね
3-1 楽勝だけど羅針盤死ね
3-2 面倒くさい
3-3 楽勝だけど羅針盤死ね
3-4 死ね
4-1 楽勝
4-2 楽勝だけど羅針盤死ね
4-3 楽勝
4-4 楽勝
5-1 面倒くさい
5-2 楽勝
5-3 ゲージ復活すんな死ね
5-4 潜水戦果稼ぎ復活で神
6-1 ゲージ復活すんな死ね
6-2 ゲージ復活すんな死ね
6-3 ゲージ復活すんな死ね
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