「それとも、こちらが場所を用意した方がいいか?」
「!! ――っい、いえ!そんなっ……ぬし様の手を煩わせるなんてこと、しんせん……!」
そう聞かれたことで、混乱から抜け出した私は、慌てて首を振る。
……聞き間違いじゃない。夢じゃない。
アーロンさんが、私の願いを聞いてくれようとしている。私が欲しいものを、くれようとしている。信じたいのに、信じられない。

「四日……四日後の、夜。その日になったら、アーロン様はただ……わっちの元へ、来てくださんし」
「――分かった」
喉が詰まりそうになりながら、なんとかそう言葉にして伝えると、
静かな声色の返事を返されて、約束が交わされた。

アーロンさんは背を向けると、黙々と廊下を歩いていった。
その後ろ姿を、私はいつまでも、いつまでも、見続けていた。
静かに、激しく鼓動を繰り返す心臓を、胸の上から押さえながら。