■印象に残った藤井猛九段のクレリック系シャツ

――現在はCSR(企業の社会的責任)活動にも意欲的に取り組んでいます。
そのひとつが新棋戦(ヒューリック杯清麗戦)創設など将棋界への支援です。
大山康晴名人が実は相当な和服の目利きだったなど、昔からおしゃれに一言ある棋士が少なくありませんでした。

「将棋界はドレスコードに厳しい社会ですね。
最近も真夏のタイトル就位式にノータイで出席したら棋士の皆さんはネクタイを締めていました」
靴はスリッポンを愛用。「日本間で靴ひもを結び直す時間を相手に待たせたくないから」

――タイトル戦前夜祭のスピーチなどで間近に棋士に接する機会も多いと思います。棋士のファッションをどう見ますか。

「日本将棋連盟の佐藤康光会長や羽生善治九段にオーソドックスなスーツが似合うのは若い頃から着こなしているからでしょう。
同世代で印象に残っているのは藤井猛九段です。柔らかい色合いのクレリック系シャツを着てコーディネートしていました」

――藤井九段は若い頃からカラーシャツを将棋界で流行させるなど、
一種のファッションリーダー的存在で、最近も流行を積極的に取り入れています。若手では誰が印象的ですか。

「清麗戦の立会人だった中村太地七段は、前夜祭では紫系、
対局当日はブルー系のタイと変えてダークスーツに合わせ、おしゃれかつ清潔さを感じさせました」

――最近将棋の対局を見て楽しむ「見る将」と呼ばれるファンも増えています。
中村七段も長時間座って考える対局時にはサイズのゆったりしたスーツ、
ファンとの交流にはぴったりしたものと使い分けているそうです。

「ファションの基本は清潔感でしょうね」

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO50182830V20C19A9000000?page=3