知性と体力で勝負 「チェスボクシング」 仏
https://www.afpbb.com/articles/-/3249704

【11月9日 AFP】滴る汗と荒い息――ニコポルはフックをかわし、アッパーカットを繰り出した後、
集中力を取り戻そうと必死になりながら、チェスボードのビショップを慎重に動かした。

 チェスとボクシングを組み合わせた「チェスボクシング」はかつて、
フランス人アーティスト、エンキ・ビラル(Enki Bilal)氏のコミックに登場する想像上のスポーツにすぎなかった。
だが、今では現実のものとなり、世界中で試合が行われている。

 チェスボクシングは、ブラル氏の1992年の作品「冷たい赤道(Cold Equator)」が基になっている。
この作品はニコポル三部作の最終章で、主人公のニコポルはボクシングの力強さとチェスの知性を組み合わせた戦いで勝利する。

 ビラル氏はAFPの取材に「ある時、登場人物たちを剣闘士にように壮大で豪華に対決させたいと思った」
「人間の美徳のまさに本質、つまり最高の知性と強さを表すスポーツを見つけたかった」と語った。

「すぐにひらめいたのはチェスだった。高潔さという点でボクシングも重要だ。
その暴力行為の裏には動きと空間が一体になった哲学がある。登場人物たちがリング上にいる姿がすぐに浮かんだ」

 ニコポルがリングに立ってから約10年後、
オランダのパフォーマンス・アーティストのイップ・ルービング(Iepe Rubingh)氏が
チェスボクシングをコミックから本物のリングに連れ出した。

 ルービング氏は2003年、チェスボクシングの試合を開催。世界チェスボクシング機構(WCBO)を立ち上げ、
インテレクチュアル・ファイトクラブ(IFC)を通じて世界各地で試合を行った。現在、世界10か国に競技連盟があり、
ドイツや英国、インドを中心に約3500人の選手がいる。選手の大半は男性だ。